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    sinohara0

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    sinohara0

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    无风の日とやらにかこつけて7月の原稿の作業進捗晒させてください。マジで风が性的な知識がないせいで初夜どころかディープキスに失敗する二人の続きです見て見てママーーーーーー!!!!!

    「…………っ! ふー、しー」
    「血が出てる。ごめんな」
     無限が出した舌を風息が躊躇いなく指で挟み込んで、丁寧に傷口を探そうとする。全く想定していなかった彼の行動に、無限は思わず息を飲んだ。口の中の傷なんて見つけたところでどうしようもないのだが、多少の傷であれば癒せる彼にとっては意味のある行動なのかもしれない。
     唾液に覆われた表面を指先が滑る感触に背筋がぶるりと震えそうになるのに、それを与えてくる風息の声は無限を案じるものでしかなかった。深く口づける意味を知らない彼は、舌に発声と食事の補助以外の役目があるなんて想像もできないのだろう。でなければこんな場面で何の躊躇いもなく、無限の舌を捕らえるなんて考えられない。
    「ん、ここかな。よかった、そこまで深くはなさそうだ」
     舌の脇にある味蕾がなくなる辺りに傷を見つけたらしく、風息が安堵の息を吐きながら目を細める。自分が作ってしまった傷を検めて満足したらしい指が離れていって、無限は知らず知らずのうちに抑えていた呼吸を元に戻した。
    「あのね、風息。人の舌はあまり触るものではないよ」
    「あ、ごめん、指なんて綺麗なものじゃないもんな」
    「そうではなくて……少しゆっくり話したいから、私の部屋かあなたの部屋に行きたいんだが」
     一体どこから話せばいいのだろう。小黒は子供の頃から人間の文化に触れてきたこともあって、性に対する情報は適時得てきていたようだったので教育に悩むことはなかったのだけれど。
    「じゃあ、俺の部屋で」
     自分の部屋の方がいくらか安心できると思ったらしく、それほど時間をかけずに風息が向かう場所を選んだ。風息が立ち上がったソファを支えにして立ち上がると、風息に触られた感触の抜けない舌を口内で動かす。そうすればじくじくと傷口が痛んで僅かに感覚をごまかせた。
     立ち入った彼の部屋の机には多肉植物の寄せ植えが一つ置いてあった。ぷにぷにした見栄えの塊を見ていると、洛竹が持って来てくれたのだと風息が教えてくれた。木とか花とかは外に一杯あるからちょっと毛色の違うものを、ということだったらしい。
     挿し木や株分けで増やしたものが離島にいた面々の家にあると風息は言う。虚淮にはこれくらい手がかからないのがちょうどいいらしいが、天虎はどうしても構いたくなってしまって大変だとか。
     触りたくなってしまう見目をしている多肉植物から意識を離し、無限は先にベッドに腰かけた風息の脇に腰を下ろす。何事かと関心の乗った視線が寄せられるのを感じながら、無限はひとまず教えるべき内容を頭の中で組み上げていく。
    「人間は口を性的な接触に使うことがある」
    「キスだけじゃなくて?」
    「うん、相手の肌に触れたり舐めたりする」
    「あ、ということはさっきのって」
    「そういうことだ。そういう使い方をするから、医者でもない限りおいそれと舌に触る物でもない」
     なるほど、それはすまなかった、と本当に分かっているのかいまいちはっきりしないものの、とにかく真剣な様子で風息が謝罪してくる。それからしばらく考え込む様子を見せてから、生徒が教師に質問する時のように軽く挙手をして見せた。
    「なんでそういうことをするんだ? 生殖行為に必要のかそれ」
    「なんで……?」
     真剣に訊ねられると、答えに窮してしまう。風息が指摘する通り、卵巣にまで精子を届けるという目的のためには無駄な行為であるかもしれなかった。関係を深めるたり性感を得たりするためのスキンシップではあるのだが、そもそもなぜ人間がそう進化してきたのかなんて無限には分からない。無限どころか、正確に理由を知っているものがこの世にいるかすら怪しかった。
    「そういうものだから……?」
    「そういうもの……」
     無限の回答に満足出来ないらしい風息が少々眉間に力を込めて唸る。人間の本能に染みついた衝動に深く関わる行動だから、妖精には理解が難しいのかもしれない。
    「人間というか、お前はそれをして楽しいってことだよな?」
    「うん、楽しいというより興奮するって言った方がいいだろうけど。そもそも本能に基づくものだから、しっかりとした理屈もないかもしれないし、必要ないと思う人もいるかもしれない」
     無限の回答を受けて風息がぱちくりと目を瞬かせる。するとかしないとか一貫しない話をしてしまっているので、混乱させてしまったのかもしれない。
    「興奮」
    「うん」
    「お前が」
    「そう、あなたに触れたら興奮する」 
     人を何だと思っているのかと思いながらきっぱりと言い切ってやれば、風息の頬がぶわりと色づいた。ようやく、彼は自分が無限から性的な対象として欲望を抱かれていると理解できたのかもしれない。
    「続きをさせてもらっても?」
    「あ……」
     下がった視線を絡め取るために覗き込むように顔を傾けて訊ねれば、無限の視線に堪えかねたのか風息が小さく声を零す。視線も逃がしたかったのだろうが、その前に捕らえられてしまったせいで、上手く動かせなくなってしまったらしい。
    「お前がしたいなら」
     意を決したらしく顔を上げて、小さく喉を鳴らしてから風息が普段の口調を装って答える。彼に集中していたので末尾が僅かに揺れたのは簡単に分かってしまったが、指摘するのも可哀想ではある。
    「あなたは?」
    「したこともないことをしたいかなんて決められないだろ」
     なるほど、それは一理ある。風息は年若い妖精ではあるが、想像もつかない行為をやってみたいとあっけらかんと言えるほど子供でもない。
    「風息、ここに手を置いて。嫌になったら叩いて教えてほしい」
    「分かった」
     風息の腰に手を回して、その腕に彼の手を置いてもらう。風息が確かめるように腕に触れて、軽く叩くと子をあやす時のような振動が伝わってくる。遠慮する必要はないと告げると、緊張した様子で風息が頷いた。なんとなく、予防接種を受けさせられる子供の面持ちにも似ている。
    「そうだ。血の味がしてしまうかも」
    「それは大丈夫……あっ、いやどうだろう。お前程の力量の人間の血だとちょっと酔うかもしれない。ああ、でも実際にそういう食性があるわけでもないし、ひょっとしたらそういうこともあるかもってくらいで」
     風息の腰に触れる指先が僅かに力を持ってしまったのに気づいたらしく、風息が慌てて否定する。彼も人間を食らう妖精の存在は知っているのだろう。そういう者達にとって、かつての未熟な無限の存在がいかに魅力的であったかも想像には固くはない。
     今更思い出して恐ろしいと思うことでもないが、いまだに不躾な視線を寄越されると不快に思うこともある。けれど、物欲しそうに無限を見る瞳が紫色をしているのであれば。
    「試したことはない?」
    「……試す機会もないだろ。他人の血を口に入れるなんて」
    「じゃあ、試してみようか」
     案外悪いものでもないと結論付けて、風息が反応を返す前に彼の顎を指で掬い上げる。制止しようと上げようとした声は、すぐに無限の口に飲み込まれてしまった。風息が逃げ出そうとする予兆を察して腰に回す腕の力を強めながら、顔を逸らせないように手の平で頬を覆う。
     開いたままの唇に舌を滑り込ませれば、大きく肩が弾んで腕に沿えていない方の手が無限の脇腹辺りの服の生地を引っ掴む。無限が歯並びを確かめるために舌を這わしていると、上手く鼻から出しきれなかった呼気が喉の辺りに溜まるのか時折呻き声が漏れた。艶っぽさはなく、苦しそうなそれに少々申し訳ない気持ちになりながらも、ほの暗い欲求が灯り始めるのを感じる。
     概ね綺麗な歯並びではあるが、黒豹の妖精に相応しく発達した犬歯だけが少し歪な位置にある。鋭いそれを舐め上げてから歯茎を舌先でつつきに行くと、風息が腕に沿えていただけの指先に力を込めた。叩かれるのかと思ったが、ただ指の腹が無限の腕を押さえつけるだけである。
     歯茎を舐め終わる頃には上手く飲めなかったらしい唾液が風息の口角を汚していた。唇を食むように動かせば、唾液でぬめるのが分かる。自らの唾液を喉を動かして飲み込んでから、歯の内側に舌を伸ばして口蓋に舌を押し付けると、鼻にかかった声が混ざる息が漏れた。
     舌先に集中するために落としていた瞼を持ち上げると、混乱の只中にある風息の紫の瞳と視線がかちあった。自分が一体何をされているかも分からずに、無限の瞳を隠す瞼と曲線の少ない睫毛の先を見るともなく見ていたのだろう。急に視線が合ったのに驚いたらしく、舌に歯が押し付けられて無限も俄かに緊張してしまった。
     風息も再び噛みつきたくなかったのか、慌てて口を緩めた代わりにぎゅっと瞼を落としてしまう。嵐が棲み着いた瞳が隠れたのを寂しく思いながら、無限は舌を伸ばして風息の舌を捕らえた。
    「んっ、んん……⁉」
     ざらりとした舌先が自分の舌の裏を舐め上げる感触に動揺したのか、風息がくぐもった悲鳴を上げる。腕を押さえつけていた指先が堪らず丸まって、無限の服の生地を爪が引っ掻く。無限を制止する手段を忘れてしまっていないか不安を感じながらも、無限は風息の腰を抱く手に力を込める。腰が引ける風息の身体が押し付けられることもあって、彼の引き締まった筋肉の形が手に取るように感じられた。
     傷口がある部分を風息の味蕾になすりつければ錆びた味がしたのか、風息の舌が逃げる仕草をする。かぷりと口を開いて角度を強くして口づけて、より深くまで風息の口内に入り込む。縮こまる舌を宥めるように舐めれば、風息の鼻先から漏れる震えた空気が頬を撫でた。
    「く……んっ……」
     息苦しくなってきたのか、風息の舌の力が緩んだ隙をついて再び舌を絡め取る。じゅ、と音を立てて飲み切れなかったらしい唾液を吸い上げると、驚愕に風息の目が見開かれた。風息の唾液を飲み下しながら舌先を擽って、それから静脈の辺りを舐め上げる。
     その感覚の生々しさに気を取られたらしく、もう風息は瞼を落とす余裕もないらしかった。無限に至近距離から眺められる眼球には困惑と未知の感覚のせいか、涙の膜が出来てしまっている。
    「ふっ……は……」
     最後は舌を絡めて好き勝手に柔らかさを楽しんで、無限はようやく風息を解放した。満足に呼吸が出来ていなかったらしい風息が喘ぐように肩で息をしながら、顔を上げているのも大儀だとばかりに俯いてしまう。
    「どうだった?」
     どう、とおうむ返ししてから風息が唸る。それから分からない、なんてぼそぼそと口にするものだから、どうにも愛おしさが込み上げてしようがない。
    「やだ」
     再び口づけようとしたら、慌てた風息の手の平が無限の唇を覆ってくる。理由を訊ねれば、手の平に擦れる唇の気配がくすぐったいのか、風息の口角が強張った。
    「……分かんなくなるから、嫌だ」
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