朝雨ようやく訪れた、束の間の逢瀬。
戦や軍務に追われ、お互い思うように会えぬ日々が続いてましたが、昨夜、荀攸殿の屋敷を訪ね、一晩を共に過ごすことが叶いました。
翌朝。
そろそろ発つ刻限となるのに、どうにも身体が動きません。
(まだ、荀攸殿の側にいたい)
このまま屋敷を出てしまえば、また次に会えるのがいつになるのか…
そう思うと、とても名残惜しいです。
身支度に手を伸ばそうとしたその時、
ぽつり、ぽつりと屋根を打つ音が…
それはすぐに、本降りの雨へと変わりました。
「……雨が」
思わず漏らした私の言葉に、荀攸殿がそっと手を添えられました。
その手は、まるで昨晩と同じように、指を絡めて離さないように、穏やかで、優しくて……
…心臓が……その、興奮しかけました。
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