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    sena

    絵心が壊滅的なのでスクショくらいしかない。小説しか書けないよ!
    pixiv→https://www.pixiv.net/users/63156921

    アイコンはいらすと.や様よりお借りしました

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    sena

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    呉秋さんの素敵な結婚❤杏千ちゃん絵に悶絶し、意味の分からない話を書いてしまった😄(何故なのか)

    とりあえず勢いで書いたので、支部に上げる頃にはもうちょい加筆修正(+設定)したい。
    何がどうなったか不明ですが、杏千(+愈+珠)という謎メンバーです。多分杏千ちゃんパートより二人のパートの方が長い。正直タイトルは思いつかなかったのですが、愛だけは込めました!

    #杏千
    apricotChien
    #煉獄兄弟
    purgatoryBrothers

    Look at me!赤と白のタキシードに身を包み、鏡の前に立ってみる。…やっぱり、こっちの方がいいかな。元々宛がわれていた白のネクタイを外し、候補の一つとして用意されていた蝶ネクタイに手を伸ばした。

    「…うん、これにしよう」

    白も悪くないけど、この紅白のタキシードには赤い蝶ネクタイの方が合っている気がする。初めて身に付ける蝶ネクタイに悪戦苦闘しながらも、何とか結び終えたリボンは少し不格好だ。…人のネクタイを結ぶのは得意なんだけどな。若干歪んだリボンを直しながら、毎朝の光景を思い出して、僕は鏡越しに笑ってしまった。

    ――さて、話は数十分前に遡る。
    折角の休日だからとドライブに出掛けた僕たち兄弟は、都心から少し離れたこの場所を訪れていた。広大な土地に慎ましく建てられた建物は、兄曰く『写真館』らしい。そして殆ど説明のないまま車は止められ、僕が状況を飲み込めずにぽかんと呆ける中、兄が笑ってシートベルトを外してくれた。ほら、と優しく手を伸ばされ、掌にそっと手を重ねる。幼い頃から何度も繰り返された、僕たちの儀式みたいなもの。キリッと上がった眉と目尻が少しだけ下がって、重ねた掌を柔く握られる。そしてそのまま立たせてもらい、僕たちは少し離れた場所にある写真館へと歩き出した。

    『わぁ…!』

    大きな掌に手を引かれ、目の前に広がる向日葵畑に息を呑んだ。ステンドグラスが散りばめられた、洋風な写真館。そこへ続く道の両端に、僕の背丈ほどの向日葵が咲き誇っていた。ここには遮るものがないから、太陽の光を一身に浴びたのだろう。すくすくと育った向日葵は、鮮やかな花びらが少し眩しいくらいだ。そんな夏の象徴に、兄の足がぴたりと止まった。空いた掌が伸ばされたかと思えば、花びら触れる直前で離れていく。触れることを戸惑うようなその仕草は、慈愛のこもった眼差しも相まって、まるで神聖なものを相手にしているようだ。向日葵に誰かを重ねるようなその眼差しに、胸がきゅっと締め付けられる思いがする。…一体、誰を想っているのだろう。急に不安になって手に力を籠めれば、向日葵に注がれていた兄の視線がこちらに向いた。少し寂しげだった瞳が、僕を捉えて柔らかく細まって、前方に見える写真館へと向けられる。そして何でもない顔で『そろそろ行くか』と笑った兄上は、僕の手を引いて歩き出す。そんな兄の背中を見つめながら、ふと思う。そう言えば、写真館に何の用だろう。一歩先を歩く兄に尋ねたかったが、視線に気付いた兄は『今に分かる』と笑うだけで、答えは教えてもらえなかった。

    …そこからはもう、怒涛の展開だった。出迎えてくれたのは書生姿の男性で、僕たち…いや、兄を見るなり『本当に来たのか』とげんなりした顔で呟いた。また来てくれと言ったのはそちらだ、リップサービスって知ってるか。何やら小声で一言二言交わしていたけど、最終的にはあちらが折れたらしい。心底面倒くさそうな顔で地下に向かって『珠世様ッ!』と叫んだ後、手前の赤い扉を指差しながら『部屋にあるのを勝手に使え』と告げて、彼は奥に消えてしまった。な、何だったのだろう。訳が分からないまま首を傾げる僕に反して、兄はあれだけで分かったらしい。ひょいと腕を取られ、彼が指差した部屋まで連れて行かれる。そして呆然と立ち竦む僕をよそに、兄は部屋に置かれた二組の包みを手に取り、片方を僕に手渡した。

    『着替えが終わったら、呼んでくれ』

    その言葉と共に優しく肩を抱かれたかと思えば、そのまま兄は部屋を出ていってしまった。…一体、何が始まるのだろう。本日何度目かの疑問を胸に、先程手渡された包みを解いてみる。するとそこに入っていたのは、赤と白のタキシードで。そこでやっと、僕は兄の真意を悟ったのだった。

    ***

    着替え終わったら呼んでくれと言われたものの、何となく自分からは動けなかった。…僕たちは恋仲で、ここは写真館。そしてお誂え向きなタキシードが用意されている。さて、この三つから導き出される答えとは。聞くまでもない問いだったけど、答えを出すのは気が引けた。か、勘違いかもしれないし。でも…もしかしたら。そんな葛藤を胸に、鏡の前を行ったり来たりしていると、不意にノックの音が響いた。コン、コン、コン。規則的な音に肩をびくつかせ、慌てて時計を見つめれば、着替え始めてから既にニ十分以上が経過していた。まずい、兄に違いない。ささっと髪を撫でつけて、僕は扉に向かって返事をした。

    「ど、どうぞ!」

    動揺してつい声が震えてしまったが、扉の向こうの相手には聞こえたのだろう。少し気配が揺らいで、ドアノブがゆっくりと回るのが見える。お待たせしてすみません、準備に手間取ってしまって。兄にしては静かに開かれる扉を前に、僕は見え透いた言い訳を唱えてみた。脳裏には一瞬で兄に看破される未来が浮かんだが、今更別の言い訳も思いつかない。そんな勝ち目のない言い訳を告げようと、開かれた扉に目をやったその時。そこにいたのは痺れを切らした兄ではなく、和服姿の美しい女性だった。

    「――失礼します。寸法はいかがですか?」
    「え…あ、大丈夫です」
    「それは良かった。お相手は既に”奥”でお待ちです」

    黒く美しい髪を後ろに束ね、和服姿のまま微笑む彼女に思わず息を呑む。初めて会うはずなのに、何故か懐かしいと思うのは何故だろう。母も日本的な美しさを持つ人だけど、彼女はまた違った美しさがある。まるで、人ならざる者のような。そこまで考えて、僕は首を振った。儚げな雰囲気がそう思わせるのか、また違った”何か”があるのか。それは僕には分からないけど。悪い人ではない…と思う。いや、思いたい。数ある写真館の中、兄がこの人たちを選んだのならば。きっと、大丈夫。そんな予感と共に彼女に向き合えば、何かを探るようにこちらを見ていた彼女はぽつりと呟いた。

    「…お似合いですね」
    「え?」
    「いえ、何も」

    まるで何かを懐かしむように、赤い唇は僅かに揺れる。結局それはよく聞こえなくて、彼女も目を伏せて微笑むだけだった。そして謎の女性…いや珠世さんは、いくつか説明をしてくれた。ここは知る人ぞ知る写真館で、普段は滅多に来客がないこと。写真を担当するのは先程の愈史郎さんで、彼女は衣装を担当していること。やけに準備がいいのは、事前に兄が頼んでいたからで、「貴方のタキシードもお相手が選ばれたのですよ」と教えてくれた。…どうやら自分の知らない間に、色々と話が進んでいたらしい。何だか急に恥ずかしくなって首元に手をやれば、彼女は僅かに目を見開いた。

    「…やはり、そちらを選ばれたのですね」
    「と、言うと?」
    「お相手はその色を選ばれたのですが、僭越ながら私が白のネクタイを用意したのです」

    ですが、あなたはそれを選んだ。
    紫がかった瞳に射抜かれて、居た堪れなさが倍増した。…別に、白のネクタイでも良かった。それは本当だ。ただ何となく、この色に惹かれた。僕たちの色だ、なんて。ただの直感だと思っていたのに、まさか兄が選んでくれていたなんて。じわじわと熱を持つ頬を隠すように、掌を当てて熱を冷まそうとする。落ち着け、こんな顔で写真を撮ってもらう気か。一向に逃げない熱に焦れて、手で顔を扇いでみたが効果は薄い。それどころか兄の装いを想像してしまい、更に顔が赤くなった気がする。…あぁ、完全に墓穴を掘った。恥ずかしさのあまり頭を抱えた僕をよそに、珠世さんは涼しい顔で扉を指差した。

    「さぁ、もう参りましょう。きっと、お相手が限界でしょうから」

    少しひんやりとした手に背中を押され、扉の前まで導かれる。穏やかな口調ながら、有無を言わさぬ彼女の雰囲気に圧され、僕は兄を思い出していた。…せっかちな兄のこと、確かに今頃痺れを切らしている頃だろう。腕を組んだまま、何とも言えない笑顔で僕を待っている姿が浮かぶ。一足先に愈史郎さんの待つ部屋に向かったらしいし、もしや既に一悶着あったのでは。珠世さん不在で気が立っている愈史郎さんと、普段はインスタント麺の三分すら待てない兄。兄が手を出すとは思わないけど、愈史郎さんの血管が心配だ。不安になってドアノブを握った瞬間、僕はふと思ったことを口にした。

    「…あの、何でさっきから”お相手”と?」

    ずっと気になっていた。何故先程から、珠世さんは兄を”お相手”と呼ぶのだろう。金の髪に特徴的な眉。そして、見間違いようのない炎の瞳。何十代と続いた煉獄の血を、僕たちは色濃く受け継いでいる。そんなよく似た僕たちを、周りはいつだって兄弟として見てくれた。たとえ街中で手を繋いだって、ましてや唇が触れそうな距離まで近付いたって。仲のいい兄弟ね、の一言で片付けられる。そんなに仲がいいと、お互い相手が出来た時に大変ね。そんな言葉を添えて。悪気の無い、むしろ親しみを込めた盲目さは、僕たちには好都合な筈なのに。お前たちは何処まで行っても兄弟なんだ、と言われているような気がした。

    そんな、どこからどう見ても血縁者である僕たちを、何故。その答えが知りたくて、僕はゆっくりと振り返る。…先程の口ぶりからして、兄はここに何度か足を運んでいるのだろう。兄を知っているなら、僕を見れば僕を見ればすぐに兄弟だと気付くはずなのに。”お相手”なんて、まるで。勝手に舞い上がって勝手に落ち込む心臓が、縦横無尽に暴れ回っている。そんな僕の心を見透かしたように、珠世さんが優しく笑った。

    「とてもお似合いのふたりだったので、つい」
    「…お似合いでしょうか」
    「えぇ、とっても」

    お写真を撮るのが楽しみですね。
    そう微笑んだ彼女に背中を押され、僕はやっと一歩踏み出した。赤と白のタキシードに身を包み、珠世さんと共に、兄と愈史郎さんが待つ部屋へと歩いていく。…もしかしたら、今日の写真に深い意味なんてないのかもしれない。それでも形あるものを遺せることが嬉しくて、僕はやけに重厚な扉に手を掛けた。ゆっくりと開かれる扉の先、外から見えたステンドグラスに光が差している。まるで教会だ。幼い頃に一度だけ参列した結婚式を思い出しながら、僕は光の差す中央に視線を向けた。

    長い時間待たされて仏頂面の青年の横、白を基調としたタキシードを纏った兄がそこにいた。先程までの作られた笑顔は、僕に気付いた途端に綻んで。こちらに向かって優しく伸ばされた掌に、無性に泣きたくなる。ずっと待っていた、なんて声が聞こえた気がして。

    (…どうか、深い意味がありますように)

    油断すると溢れ出しそうな涙を堪え、光の差す先に歩き出す。たった十数歩がやけに長く感じながらも、差し出された掌に、そっと自分の手を重ねた。お待たせしました、そう告げた時の兄の笑顔があまりに優しくて。愈史郎さんの『遅い!遅すぎる!!』なんて小言は、ほとんど耳から通り抜けてしまった。

    ***

    「…で、どう撮る」

    顔に不機嫌です!と書かれた愈史郎さんが、年代物のカメラを取り出して苦々しく問いかけてきた。…彼が怒るのも無理はない。元々僕が着替えに手間取っていた上に、珠世さんと話し込んでしまったこともあって、結局三十分近く待たせてしまったのだ。目が合うや否や「珠世様と二人きりなんて…!」と恨み節を言われたけど、珠世さんに庇ってもらったお陰で、今は若干落ち着いたみたいだ。まぁ、珠世さんが書斎に戻ってからは、何で俺がとか、珠世様は優しすぎる…とかぶつくさと文句は言っているけど。そんな不機嫌な愈史郎さんに、僕の隣に並び立った兄が快活に笑った。

    「君に任せる」
    「ハッ…丸投げか」
    「いや、その道に精通した者に任せるのが一番だ」

    最高の一枚を頼む。
    そう力強く頷いた兄に、愈史郎さんが苦虫を百匹くらい噛み潰したような表情を浮かべた。慌てて「僕からもお願いします」と頭を下げれば、彼の表情は更に険しくなる。ど、どうしよう…事態が悪化したかも。内心冷や汗をかきながら隣を見やったが、兄は全く動揺していなかった。視線だけで『大丈夫だ』と告げた兄と同じタイミングで、愈史郎さんの盛大な舌打ちが響いた。簡単に言いやがって、やってやろうじゃないか…なんて文句を言いながらカメラの調整を始めた彼に、こっそり兄と目配せをする。いい男だろう?いい人ですね。堪えられずくすくす笑い合えば、目聡い彼に「何を笑っている!」と怒られてしまった。

    「おい、これを持って二人で並べ」
    「わっ!…薔薇の花束、ですか?」
    「白の薔薇なんてあるのか。綺麗だな」

    いいから並べ!と雷を落とす彼に従い、兄とふたりで目印の場所に立つ。…兄と写真を撮るなんて、何年ぶりだろう。僕は覚えていないけど、昔はよく家族写真を撮ってもらったらしい。生まれた時の写真も、七五三の写真も、僕の隣にはいつだって兄がいた。しかも片方が相手を見ていたり、互いに見つめ合ったりするものだから、父上は写真を撮るのに苦労したのだとか。確かに昔のアルバムを見ると、お互いが正面を向いている写真は殆どない。今も昔も、僕は兄上ばかり見ていたのか…と恥ずかしくなる。しかも久方ぶりに撮る写真が、まさかこんな写真になろうとは。白薔薇のブーケを握りしめ、その花弁の美しさに一瞬見惚れた時。ブーケを握る手に、大きな掌が重なった。

    「その服、よく似合っているな」
    「…珠世さんに聞きました。兄上が選んでくださった、って」
    「あぁ。これを選んで正解だった」

    一目見て、これだと思った。
    微笑みながらそう告げた兄は、僕を見ていない。真っすぐカメラのレンズを見つめ、シャッターが切られる瞬間を待っている。そうだ、よそ見をしている場合じゃない。また愈史郎さんに怒られる…と僕も前を向いたものの。やはり隣が気になって、ちらちらと視線を送ってしまった。…何で今更、顔が見たいと思うのだろう。写真を撮った後なら、いくらでも見れるのに。急に我慢耐性がなくなったのか、右隣を見上げたい欲求を必死に抑え込む。我慢、写真を撮るまでは我慢。前方では、愈史郎さんが中々訪れないシャッターチャンスに蟀谷を脈動させているのが見えて、僕は慌てて笑顔でレンズを見つめた。

    すみません、愈史郎さん。今度こそ撮ってください。今自分が出来る最高の笑顔を浮かべ、レンズに向かって笑い掛ける。記憶は薄れてしまうけど、写真なら色褪せない。あの頃も、写真を撮っておけばよかったなぁ。そんなことを考えながら、彼がシャッターを押す気配を察知した…直後。急に隣から視線を感じ、僕は無意識に目を合わせてしまった。

    パシャッ!
    年季の入ったカメラ特有の、鈍いシャッター音が響く。それを他人事のように聞き流して、僕はひたすら炎の瞳を見つめていた。あれだけ重ならなかった瞳は、今は全く逸らされる気配がない。それどころか、兄の顔はみるみる内に近付いて、いつしか鼻先が触れ合うほどの距離まで迫っていた。知らない間に僕の手から離れていたブーケは、僕たちの顔を隠すように掲げられている。そしてブーケの作る影と共に、兄の顔がゆっくり近付いて。このままだと、触れてしまう。ついいつもの癖で目を閉じれば、すぐ横で兄が笑った気配がした。ぐいっと距離が詰められて、互いの唇が触れ合う…まさにその瞬間。ステンドグラスも割りかねない程の雷、いや怒号が、部屋中に響き渡った。

    「――貴様ら!レンズを!見ろ!!」
    「すまん、耐えられなかった!」

    部屋どころかこの建物中の窓を揺らしたのでは…と思うくらいの怒声に、唇は触れ合う前に離れてしまう。直前まで夢見心地だった僕も、流石にその音に我に返り、目を見開いて固まってしまった。怖くてブーケの向こうが見れないが、明らかに愈史郎さんが怒り狂っている。そんな彼の状況は察しているだろうに、同じくブーケの影に隠れた兄は、愈史郎さんに何やら返事をした後、「やり過ぎたな」と小さく笑った。

    「あんなに熱烈に見つめられたら、無下にする訳にもいくまい」
    「や、やめてください…恥ずかしい…」
    「はっはっはっ!」

    揶揄うような眼差しに耐えられず、兄の胸元に顔を埋める。それを笑って受け止めてくれた兄が、優しく背中を撫でてくれた。その手つきが優しくて、まるでふたりきりのような錯覚をしたけれど。地を這うような低い声を出した愈史郎さんの、「いっそ接吻の写真でも撮ってやろうか」という提案を丁重にお断りし、やっと僕たちは”普通の”写真を撮ってもらったのだった。


    Look at me!
    (今も昔も) (お互いしか見えない)





    素敵な杏千ちゃん結婚式絵に感銘を受け、ついつい書いてしまった。
    何故珠世さん&愈史郎さんコンビが出たのか、私にも分かりません。神のみぞ知る。
    お互いしか見えてない兄弟っていいですよね。あんなに見つめ合っているのに、少しの余所見すら許せないなんて…っていう密かな独占欲もいいと思います。

    <花言葉>
    向日葵:憧れ、あなただけを見つめる、情熱
    白薔薇:心からの尊敬、無邪気、純潔、相思相愛、約束を守る、私はあなたにふさわしい、あなたの色に染まる
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    sena

    DONE呉秋さんの素敵な結婚❤杏千ちゃん絵に悶絶し、意味の分からない話を書いてしまった😄(何故なのか)

    とりあえず勢いで書いたので、支部に上げる頃にはもうちょい加筆修正(+設定)したい。
    何がどうなったか不明ですが、杏千(+愈+珠)という謎メンバーです。多分杏千ちゃんパートより二人のパートの方が長い。正直タイトルは思いつかなかったのですが、愛だけは込めました!
    Look at me!赤と白のタキシードに身を包み、鏡の前に立ってみる。…やっぱり、こっちの方がいいかな。元々宛がわれていた白のネクタイを外し、候補の一つとして用意されていた蝶ネクタイに手を伸ばした。

    「…うん、これにしよう」

    白も悪くないけど、この紅白のタキシードには赤い蝶ネクタイの方が合っている気がする。初めて身に付ける蝶ネクタイに悪戦苦闘しながらも、何とか結び終えたリボンは少し不格好だ。…人のネクタイを結ぶのは得意なんだけどな。若干歪んだリボンを直しながら、毎朝の光景を思い出して、僕は鏡越しに笑ってしまった。

    ――さて、話は数十分前に遡る。
    折角の休日だからとドライブに出掛けた僕たち兄弟は、都心から少し離れたこの場所を訪れていた。広大な土地に慎ましく建てられた建物は、兄曰く『写真館』らしい。そして殆ど説明のないまま車は止められ、僕が状況を飲み込めずにぽかんと呆ける中、兄が笑ってシートベルトを外してくれた。ほら、と優しく手を伸ばされ、掌にそっと手を重ねる。幼い頃から何度も繰り返された、僕たちの儀式みたいなもの。キリッと上がった眉と目尻が少しだけ下がって、重ねた掌を柔く握られる。そしてそのまま立たせてもらい、僕たちは少し離れた場所にある写真館へと歩き出した。
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