かきかけ〜「篭手切江、貴方にお願いがあります」
「はい、なんでしょう?」
食事を終えて自室に戻ろうとしている途中、主からの呼び出しがあった。私が軽く身だしなみを整えてから主の部屋へ赴くと、主は珍しく浮かない顔をしていた。そしてしばらく躊躇ってから徐ろに口を開いたかと思えば、開口一番にこう告げた。
「先に遠征の任務についている御手杵を回収してきてほしいのです」
「……回収?」
聞き慣れない表現に、私は思わず言葉を繰り返す。
「実は……」
聞くところによると、とある時代に遠征した御手杵の状態があまりよくないものらしい。しかし、主の説明もまた雲をつかむような、要領を得ないものだった。
「主。その、『良くない状態』と言うのは?」
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