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    ytgr_9u

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    ytgr_9u

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    本丸のバグによって分裂したこてぎりくんと振り回されるおてぎねさんの話
    (おてこて前提)

    #おてこて
    hand

    「おってぎねさんっ!」「おてぎねさん!」
     両腕を引っ張られた俺は心の底から困惑していた。
    「こて、ぎり……?」
    「「はい!」」
     綺麗にハモった2振りはどちらも紛れもなく篭手切江で。いつも通り昼寝して、起きた時に両脇に篭手切江がいるなんて、誰が想像できただろうか。
    「おてぎねさん!私と一緒に万屋行こう!」
    「だめだよ!おてぎねさんは私と一緒に畑当番があるんだから!」
    「畑当番……それはちゃんとやらなきゃだね」
     1度は納得したような篭手切だったが、すぐに何かを思いついたようにパンと手を打つ。
    「私も手伝うから、早く終わらせて一緒に万屋行こう!」
    「手伝ってくれるの?」
    「もちろん!」
    「……じゃあ!」「おてぎねさん!」
    「「行こ!」」
     俺の意思は何一つ聞かれないまま、両腕を篭手切にひっぱられてずるずると畑まで連れていかれる。
    「なぁ篭手切……」
    「「なんですか?」」
    「あ、いや……なんでもない……」
     2振りが一生懸命畑を耕しているところで「ちょっと休もうぜ」なんて言えるもんじゃない。篭手切は分裂しても篭手切だなぁと思いながら、俺もせっせと手を動かすことにした。
     けどやっぱり、同じ篭手切江でも個体差があるようで、水やりの仕方ひとつ取っても個性の違いが出ていた。1振りは効率的に広範囲に水を撒き、もう1振りは一つ一つ丁寧に状態を見ながら水をやる。
     素早く、けれど確実に。違うようでいてどちらも篭手切らしいやり方だ。
     2振りの篭手切の動きを観察していると「「おてぎねさん!手動かして!」」と怒られてしまった。


    「……ねぇおてぎねさん。向こうの私には内緒だよ」
    「おてぎねさんちょっといいかな……これ、頑張ってるからあげる」
     作業の途中で、互いに隠れるようにどちらの篭手切からも飴玉をもらった。
     気が合う仲間なのか、競い合う好敵手なのか……。
     そんなこともありつつ、畑当番を普段の半分の時間で終わらせた俺たちは、3振り揃って万屋に向かったのだった。
     甘味に目をつけた篭手切江2振りに上目遣いでねだられて、すっからかんになってしまった俺の財布のことは知らないことにしておこう。
     俺も分裂できたらよかったのかなぁ……。
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