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    ruicaonedrow

    エタるかもしれないアレとかコレとか/ユスグラ/パシラン/フィ晶♂/銀博/実兄弟BL(兄×弟)/NovelsOnly……のはず

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    ruicaonedrow

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    わたしのユスグラ感は、父性の顕現というのを推す次第

    #ユスグラ
    yusgra

    おかえり甲板から精一杯身体を伸ばして、遠く消えていく影を見送る。ルリアなどはそれこそ、その影が完全に見えなくなるまで一生懸命手を振り続け、見えなくなっても尚、縁に手を掛けてつま先立ちになって、暫くそのまま景色を眺めていた。
    「行っちゃいましたね」
     もう何度となく繰り返したその台詞に、応えるものだっていつも変わらない。
    「今度も、無事に帰ってくるよ」
     これはある意味で願い、あるいは希望だ。こういったものは口に出せば現実になると聞いたことがある。なので、こうやって、……いつも同じやりとりになってしまうのはある意味、仕方ない。ルリアはそれを聞いて「そうですね」と寂しげに笑い、そこから動けない僕の前を通って、艇の中へと消えていく。ぱたぱたと軽い足音が彼女の後を追い、扉が閉まる音を最後に、はたりと途絶える。
    「……」
     僕は。
     そうして、ひとりぼっちになった後、そうっと縁に近付く。最早影すらも残らず、何事も無かったかのようにひっそりと佇む町並みを、ただ、見遣る。
     ――それは、遠い思い出だ。多分、記憶に残る、古めかしくも色褪せないもの。
     ――大きな、……大きな父親の背中。振り向きもせず、ただ……ただ真っ直ぐに前を見据える父の、
     唐突に吹いた風のあまりの冷たさに、僕ははっと顔を上げた。見れば空は一面灰色に覆われ、周囲はうっすらと暗くなっている。濡れた土の匂い。間違いない、これは一雨くるだろう。濡れてしまう前に、早く艇の中に戻らなくては。
    「彼は、……」
     口に出し、けれどその先をきゅっと噤む。風景から無理矢理に目を引き剥がし、外套の襟元を寄せて、甲板を蹴って駆け出す。ちょうど扉が閉まるか閉まらないかの頃に、待ってましたとばかりに降り始めた雨が世界を覆った。
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    ruicaonedrow

    DONE一幕一場(状況説明)
    KA-11.
     ここまで道が混んでいるなんて何時振りだろうと、ラモラックは思った。少なくとも、直近ではないことだけは確かだ。
     第一師団がブルグント地方で戦果を上げたときだったろうか。それとも、第三師団が見習いたちと共に近隣の盗賊団を壊滅させたときだったろうか。英雄ロットが不在の今、好機とばかりに攻め込んできた賊を、モルゴース率いる魔導師団が完膚なきまでに叩きのめしたときだったかもしれない。
     ああ、……あのときは本当にスカッとした。魔術の師匠たる賢女モルゴースの勇姿は勿論のこと、魔導師団と騎士団との一糸乱れぬ見事な波状攻撃。悲鳴を上げ、武器を放り投げ、這々の体で逃げていく奴らの情けない姿といったら! それと同時に、この国は前線基地ばりに、常に戦争と隣り合わせなのだと実感した。知識の上では理解していたものの、こうして目の当たりにするとみんなどうして仲良く出来ないのか不思議でならない。お腹が空いて気が立っているとかなのかなぁ。それなら、食べ物が沢山あるところが分けてあげたらいいのに。困っている人がいたら助けてあげて、食べ物も半分こしてあげる。それで一件落着だっていうのにさ!
    11028

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