陰陽師パロ 後日談その② 秋めいてきたある日、楓の木の下に座りながら、私はポツリと言った。
「もしもさ、私が他の術者に惚れたら、信房はそっちに行かせてくれるのかな」
「……なんだそれ」
近くにいた笹貫が、呆れたように肩を揺らす。
「そもそも、他の術者のところになんか行けないだろ?人に見紛うほどのレベルで顕現を保ってくれるのは、信房だけだと思うけど」
「それは分かってるよ」
思わず、眉を寄せた。笹貫のことは嫌いではないが、しれっと信房のことをよく分かっている感を出すところは気に入らない。
その昔、八重桜に取り憑いていた私は、正直それなりに悪さをしていた。生前陰陽師だったこともあり、霊力だけはあったのだ。それこそ、怨霊と噂されるくらいには人間の恨みを買ってきた。
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