「ところで、ずっと気になっていたのだけれど」
十二神の秘石を巡る最中、ドワーフラビットに変身したメネフィナ様は、無邪気な声で私に話しかけてきた。
「な、何でしょうか?」
私の足元をぴょんぴょんと跳ねる姿は何とも可愛らしい。思わず抱き付きたくなってしまうが、その正体はエオルゼア十二神の一柱である。そんな不敬な真似は出来ない。
「やっぱり。貴方、とっても愛されているのね!強い願いが、貴方を取り巻いているもの!」
「え、えぇっ!?」
かと思えば、私の正面に立ち止まり、突飛なことを言い出したのである。
「そうか、ハツナはイシュガルドのアイメリク議長と結婚しているんだったな」
「なるほど。主から私への信仰心を微かに感じ取ったのは、それゆえか」
何の気なしに言ったのは、デリックさんだ。それに同調するかのように、フェンリルパップに変身したハルオーネ様も頷いている。
「ま、ままま待ってください……そんなの、感じ取れるものなんですか……!?」
「そうねえ、それも一つの祈りの形でしょう?貴方を深く愛する人が、貴方を想っている。そこにあるのは、間違いなく人と人の絆だわ。たとえあなたがどこにいようと、その想いはずっと貴方に寄り添っていたのね」
「ずっと……寄り添って…………」
――――その人は、いつもあなたのそばにいますよ。
エルピスで出会ったときの、ヴェーネスさんの言葉が蘇る。私の懐にあった、擦り切れた手紙を見つめながら紡がれたものだ。
あのときも、今も、ずっと彼は――。だから私は喪いたくなくて。守りたくて、必死だったんだ。
「私には、見えないけれど……メネフィナ様のおっしゃる通りなら、とても幸せです」
そう言って、胸に当てた手を握り締めた私に、メネフィナ様はよかったわね、と、笑いかけるのだった。