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    すいせい

    しがない字書きです。
    C翼…早田受け(淳まこメイン、他は反まこ・がくまこ・松まこ等)&翼受け(松翼多し、源翼・小次翼・葵翼など)
    黒バス…黒子総受け(笠黒多し、他は相棒黒やマイナー黒など)
    ダイヤ…沢村総受け(哲沢・金沢など)
    ヤマト…古代総受け(加古メイン)

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    すいせい

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    ハッピーバースデー、俺!!!
    と、いう事で。自分の誕生日に自分の書きたい話を書きました!何とか当日中に書き上がったよ~~~~誤字脱字あったらサーセン!という慌てっぷりです。
    ちょっと詰め込んだ感がありますが………まぁ良し!っという事で。

    #淳まこ
    innocent-lookingSeaCucumber

    【淳まこ】誤解その感情はいつの間にか早田の中で生まれて、気が付けば大きく膨れ上がっていた。けれど滅多に会う事のない相手だった事とサッカーに集中していた事で、感情が抑えられなくなるような事がなかったのが幸いではあった。会えるとしたら高校サッカーの全国大会で、その人物が試合を観戦しにスタジアムまで足を運べば……の話。譬えスタジアムまで来ていたとしても、会う確率は非常に低い。だから、彼との関係が変わるなんて事は、思いもしていなかった。
    「それは、僕と付き合いたいって事だよね?」
    低い確率だったのに再会した、彼に。
    つい口から溢れてしまった、『好き』の言葉。
    早田のその言葉に対してそう返してきた三杉の姿に、ただ呆然とする事しか出来ない。けれどその顔は段々と赤く染まり、目線が少し逸らされる。どう答えて良いのか判らないのだろう早田は微かに口を動かす事しか出来なくて……。そんな彼に対して三杉はうっすらと笑みを浮かべた。
    「それじゃあ、付き合おっか」
    言われた言葉に早田は大きく瞳を見開いて、それから顔を赤く染めたまま小さく頷いた。
    それが、高校三年生の冬の事。
    「誰とも付き合う気はないよ、今も……この先も」
    そして、誰かに対して三杉そう言ったのを聞いたのは……それから一年半ほど経った日の事。全日本ユースの一員として召集された合宿で、偶然立ち聞きしてしまった話。
    「そ、っか」
    色々と腑に落ちてしまった早田は、足早にその場から去っていった。



    全日本ユースの合宿にて。夕食も入浴も済ませて後は就寝のみとなり、招集メンバーは各々に短い自由時間を過ごしていた。さっさと割り当てられた部屋に戻る者もいれば、談話室で他愛もない話をしている者もいる。反町は後者で、サッカーの事やプライベートな話を数人と行っていた。そのメンバーも時間と共に減っていき、三杉と二人きりという珍しい状況になる。丁度良いかと思った反町は、三杉の方へと視線を向けて口を開いた。
    「そう言えばさ、三杉って今まで誰とも付き合った事ねぇの?」
    早田以外にというニュアンスを含めて尋ねれば、三杉は「ないよ」と即答した。
    「めっちゃモテてたのに?よりどりみどり……なんて言う気はないけど、告白されて試しに付き合ってみるとかもなかったのかよ。軽い気持ちでサ」
    「ないよ。誰とも付き合う気はなかったからね。僕は付き合っている相手を優先に考える事は出来ないし、何か言ってこられても面倒なだけだから」
    酷く冷たい声で言われて、反町は思わず苦笑した。そんな男がよくもまぁ遠距離恋愛なんて事を選んだものだと思う。滅多に会えないのだから、必然的にメールやラインなどで連絡を取り合う事が多いだろう。それは面倒だとは思わなかったのだろうかと不思議にも思ってしまう。
    「そりゃあ、付き合ってると大変な事もあるけど……。でも、楽しいじゃん。恋人がいるの。嬉しいとか幸せとか、そういう気持ちの方が多いと思うんだけど」
    反町も高校時代に交際なるものをした事はある。確かに面倒だと思った事はあるし、こちらの都合を考えてくれなかった時に苛立ちを覚えた事もあった。けれどそれは感情のある人間であれば当たり前の事だ。それをどこまで許せるかだと思うし、無理なら別れるという選択肢を取るだけの事。
    「考え方は人それぞれだからね、否定するつもりはないよ。でも僕は、誰とも付き合う気はないよ、今も……この先も」
    三杉の口調は淡々としていて、寧ろ冷たいようにも聞こえる。けれど、彼のその表情を見れば判る。早田以外の誰とも付き合う気はないと、彼だけは特別な相手なのだと言っているのが。
    「そっか。なら別に良いけど」
    告白したのは早田からだと本人から聞いた。告白するつもりなんてなかったのに、つい口を滑らせてしまったのだと。そうしたら三杉からの返事は思っていなかったもので、彼と付き合う事になったと報告された。その時の早田の姿が可愛くて、大事な友人の幸せが長く続くようにと思ったのを昨日の事のように思い出す。
    「けど、ちゃんと好きって言った事あんの?デートとかも」
    不意に脳裏を横切った疑問を、この際だからと反町は口にする。三杉と恋バナなんてそう出来る機会はないし、大事な友人の事だからちゃんと確認しておきたい。遠距離恋愛といっても一年半も付き合っているのだ。好きの言葉の一つや二つ、それにデートもちゃんとした事があるのか気になる所である。
    「………」
    反町の問いかけに対して、三杉は何も言わなかった。その表情からどちらもまだなのだと反町は悟る。いくらイケメンでモテモテの男であっても、誰とも付き合う気のなかった三杉は恋愛に関しては少々どころか結構なポンコツだったらしい。
    「いや、ちゃんと言ってやれよ。アイツの事だから付き合って貰ってるんだって片想い気分のままかもしれねーよ?」
    「まさか、いくらなんでもそんな事は……」
    自分たちは一年半も付き合っている。確かに殆ど会う事は出来ていないし、デートもした事がなければ好きだとも言ってはいない。それはメールやラインで伝えたい言葉ではなく、ちゃんと早田に直接伝えたいと思っているからだ。
    「あのなぁ、三杉みたいなモテるイケメン相手に自意識過剰になんてならねーよ。そういう性格じゃねぇじゃん、アイツは。ちゃんと言葉にして態度に出さないと伝わらないって」
    反町の言葉に三杉は何も言えなかった。確かに彼の言う通り、早田はそういうタイプの人間ではない。こちらが全く気持ちを伝えていない以上、反町の言葉通り片想い気分のままかもしれない。
    「合宿が終わったら、約束してるから」
    早く誤解を解きたかったけれど、今は全日本の合宿でこの場所に来ている。サッカーの合宿に恋愛事を持ち込むつもりはない。それに合宿が終わったらその足で一緒に行動する約束をしていて、その時に初デートも『好き』の言葉も伝えるつもりでいた。だから……。
    「なら、良いけどな」
    そう言ってニッと反町は笑った。



    合宿中は三杉と付き合っている事を、早田は忘れる事にした。恋愛事で動揺してサッカーに支障をきたす訳にはいかないからだ。だから三杉にはあくまでもチームメートとしての付き合い方をして、ただ一緒に行動する事は何となく避けた。どちらにしても三杉とは一年半の付き合いはあるけれど、恋人らしい事なんて何一つしていない。メールやライン、時々テレビ電話のようなもので顔を見ながら話をしていたくらいの、思えば友達と何の変わりもないような交流しかない。

    やっぱ、気ィ使わせたんやろなぁ。

    遠距離であるという事は、普通の交際なんて出来ないという事だ。それもあったのかもしれない。全日本ジュニアユースの一員として一緒に戦った早田の事を、三杉は気を使ってくれたのだろうと思う。これだけずっと離れた状態で付き合っていれば、いずれは気持ちが離れていくか他の誰かに向くだろうと。早田の頭の中にはそんなマイナス思考としか言えない事しか浮かばない。
    だから、決めた。
    「三杉」
    合宿の最終日。本来であれば解散した後に三杉と一緒に東京に行く約束をしていた。明日の夜には大阪へ戻るのだけれど、それでも一緒に過ごす事が出来ると楽しみにしていた……のだけれど。早田に声を掛けられた三杉は、いつもと変わらない表情のままで視線を彼に向ける。
    「早田、それじゃあ行こ……」
    「今まで付き合うてくれて、ありがとうな」
    うっすらと笑みを浮かべて、早田は言う。絶対に悲しい表情を見せてはいけない、三杉が罪悪感を持つような態度をしてはいけない。そんな事を考えながら、とにかく早田は平常心を保つ努力をする。
    「ほんならまた、試合で」
    ニッコリと自然な笑顔を浮かべながらそう言って、早田は駅の方へと向かって歩きだした。そんな早田の姿に唖然としてしまったのは三杉と、偶然通りかかって現場を見てしまった反町だ。二人共、何が起こったのかすぐには理解出来ずにいたのだが……。
    「………今の、どういう意味……」
    「別れようって事じゃね?」
    「え、何で」
    「理由なんて知るかよ。でも、今日の約束もなかった事にしてるじゃん」
    今度は試合で会おうと、早田は言った。つまりそれは今日の約束はなかった事にしたという事。用事が出来たとかそういう理由ではない、別れるから反故にしたという事だ。
    「どうして……」
    急に別れると言われる理由が、三杉には全く思い浮かばない。何がどうなっているのか判らなくて、頭の中が混乱している。そんな三杉の姿をジッと見つめていた反町だったが、小さくため息を吐いてからゆっくりと口を開いた。
    「何か勘違いしてるかもしれねーし、とにかく追いかければ?自分の気持ち伝えて、相手の気持ち聞いた方が良いと思うけど……」
    「そうだね、ありがと!」
    そう言うが早いか、三杉は自分の荷物を掴んで早田の後を追いかけた。走って追いかければ、駅に着く前に彼を捕まえる事が出来るだろう。そしてその三杉の考えは間違っておらず、五分ほど走ったところで彼の姿を捉えた。
    「………」
    まさか三杉が追いかけてきていると全く思いもせず。彼の前から去った早田は最初こそは早足で歩いていたものの、自分の姿が見えなくなっただろう場所からはその歩みはゆっくりとなった。ちゃんと笑えていたと思う、泣きたい感情は抑えている事は出来ていたと思う。段々と涙が浮かんできているが、駅に着くまで堪えよう。そんな事を考えながら歩いていると、不意に腕を強く掴まれた。
    「え……」
    「ちょっと待って!」
    驚いて振り返れば、そこに三杉の姿があった。思わず早田は瞳を見開く。三杉が自分の事を追いかけてくるなんて、想定外の事だ。一体、何の用事があるというのだろうか。
    「な、に……か」
    「どうして、いきなり別れようって言うんだい?理由は?」
    三杉の表情は怒っているように見えたが、どこか悲しそうでもあった。誰とも付き合う気はないと言っていたのだから、別れる事に理由を知る必要があるのだろうか。そんな事を思う。けれど不意にあの時の三杉の声を思い出して、早田は堪えていた涙をひとすじ零す。
    「早田、どうし……」
    「誰とも付き合う気ないって、言うてたやん。これからも、ないって……」
    反町との会話を早田は聞いている、間違いなく三杉がそう言っていたのを。そんな早田の言葉に三杉は驚き、「聞いてたんだ……」と言葉を漏らした。けれどすぐに早田の顔を見つめると、三杉はゆっくりと口を開いた。
    「確かに僕はそう言った、誰とも付き合う気はないって。それは君と付き合う前から思っていた事だし、否定はしない。でもね」
    早田の腕を掴んでいた手を移動させ、三杉はそっと彼の頬に触れる。
    「君が僕を好きだと言ったあの時、僕は当たり前のように君と付き合う事になるんだって思った。嫌な気持ちなんてなかった、面倒だとも思わなかった。僕はただ、君と付き合える事が嬉しいと思ったんだ」
    頬に触れていた手を動かすと、三杉は指で零れ落ちている早田の涙を拭う。
    「誰とも付き合う気はない、これから先もずっと。それは君以外と、っていう意味で話していたんだよ。僕は恋愛事には慣れていなくて、言葉足らずだったんだ。……早田、僕は君が好きだよ」
    三杉の言葉に早田は驚き、ジッと彼の顔を見つめる。
    「ちゃんと言葉にしておけば良かったって、今もの凄く後悔してる。もう僕にはチャンスはないのかな。このまま本当に別れないといけないのかな」
    見つめてくる早田に対して、三杉も真っ直ぐ彼の顔を見つめながら言葉を紡ぐ。三杉の言葉に偽りがないと判ったのだろう早田は、フルフルと首を横に振った。
    「ホントは、別れとうない……三杉の事、好きやもん」
    「有難う」
    その言葉と同時に三杉は腕を伸ばすと、早田の体を引き寄せた。それからギュッと強くその体を抱きしめる。流石に人目があるのですぐに抱擁から開放すると、今度は早田の手を強く握り締めた。
    「じゃあ、約束通りに東京へ行こう。僕は君と初デートが出来るのを、ずっと楽しみにしてたんだから」
    笑みを浮かべてそう言う三杉に対して、早田は少し恥ずかしそうにしながらも小さく頷く。
    「俺も、楽しみにしてた」
    「うん、行こう」
    笑みを浮かべて三杉が促せば、早田もゆっくりと歩き出す。握られた手を離すことなく、二人は駅の方へと歩き出した。
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    すいせい

    DONEハッピーバースデー、俺!!!
    と、いう事で。自分の誕生日に自分の書きたい話を書きました!何とか当日中に書き上がったよ~~~~誤字脱字あったらサーセン!という慌てっぷりです。
    ちょっと詰め込んだ感がありますが………まぁ良し!っという事で。
    【淳まこ】誤解その感情はいつの間にか早田の中で生まれて、気が付けば大きく膨れ上がっていた。けれど滅多に会う事のない相手だった事とサッカーに集中していた事で、感情が抑えられなくなるような事がなかったのが幸いではあった。会えるとしたら高校サッカーの全国大会で、その人物が試合を観戦しにスタジアムまで足を運べば……の話。譬えスタジアムまで来ていたとしても、会う確率は非常に低い。だから、彼との関係が変わるなんて事は、思いもしていなかった。
    「それは、僕と付き合いたいって事だよね?」
    低い確率だったのに再会した、彼に。
    つい口から溢れてしまった、『好き』の言葉。
    早田のその言葉に対してそう返してきた三杉の姿に、ただ呆然とする事しか出来ない。けれどその顔は段々と赤く染まり、目線が少し逸らされる。どう答えて良いのか判らないのだろう早田は微かに口を動かす事しか出来なくて……。そんな彼に対して三杉はうっすらと笑みを浮かべた。
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    すいせい

    DONEハッピーバースデー、俺!!!
    と、いう事で。自分の誕生日に自分の書きたい話を書きました!何とか当日中に書き上がったよ~~~~誤字脱字あったらサーセン!という慌てっぷりです。
    ちょっと詰め込んだ感がありますが………まぁ良し!っという事で。
    【淳まこ】誤解その感情はいつの間にか早田の中で生まれて、気が付けば大きく膨れ上がっていた。けれど滅多に会う事のない相手だった事とサッカーに集中していた事で、感情が抑えられなくなるような事がなかったのが幸いではあった。会えるとしたら高校サッカーの全国大会で、その人物が試合を観戦しにスタジアムまで足を運べば……の話。譬えスタジアムまで来ていたとしても、会う確率は非常に低い。だから、彼との関係が変わるなんて事は、思いもしていなかった。
    「それは、僕と付き合いたいって事だよね?」
    低い確率だったのに再会した、彼に。
    つい口から溢れてしまった、『好き』の言葉。
    早田のその言葉に対してそう返してきた三杉の姿に、ただ呆然とする事しか出来ない。けれどその顔は段々と赤く染まり、目線が少し逸らされる。どう答えて良いのか判らないのだろう早田は微かに口を動かす事しか出来なくて……。そんな彼に対して三杉はうっすらと笑みを浮かべた。
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