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    hanakanzashi410

    @hanakanzashi410

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    hanakanzashi410

    MOURNINGちようら♀水ノ綾のあれ
    強いちよさんが見たかったんだ
    一歩、また一歩と、砂浜から森へと入っていく。その道すがら、点々と赤黒く変色している血液に新しい命を与え、一つずつ海へと返していく。
     千代金丸が神嫁にと選んだ浦島は人としては悲運の渦中にいた。あれほど清らかで美しく力を持った巫女を娶りたい、娶ると決め、儀式の日まで待つつもりだった。しかし儀式の日を目前とした今日、浦島は賊に殺されてしまった。最期の日までは人のことして生かしておこうと、護りの飾りを渡していたというのに。
    (でーじはごーやつが触ったか……)
     神が手ずから与えたものは、与えられたもの以外が触れることで穢れ、力を失っていく。浦島は身に着けていただろうが、さすがに湯あみなどで外していたところを誰かが触れたのだろう。そのおかげでこの異変に気付くことが遅れてしまった。
    「浦島は、ここで射られたのか……」
     転々としていた血痕の始まりの大きな血だまりの跡。千代金丸はそこに触れ命を与えた。浦島の清らかな血から生まれた小さな亀に「浦島のところへ」と頭を撫でて向かわせる。亀は小さくうなずいて海のほうへとゆっくりと歩いていった。
    「さて……」
     立ち上がると千代金丸は煙の上がるほうへと、また 2945