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    NANO

    @bunnysmileplan1

    置き場
    もしくはデ④推しさんの名前でメディア検索するとだいたい出てくる。

    ⚠⌚裏🐼
    ⚠passは一話のキャプション

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    POIPOI 34

    NANO

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    有馬vs谷ケ崎(バスケット

    One on One言い出したのは、有馬のほうだった。

    「1on1やろうぜ」

    場所は都会の片隅。時刻は深夜。
    谷ケ崎と有馬は二人で 燐童と時空院との合流を待っている時間だった。
    何処か待ち合わせるのに手頃な場所をと歩いている時に迷い込んだそのエリア。
    一辺の壁はどこかのチームのロゴや下品な落書きで汚されていて、年季の入ったフェンスに囲まれている。入り口のフェンスも外れてしまいそうなほど、古いバスケットコートだった。
    二つの街灯が頼りなくハーフコートを照らしている中を 有馬は遠慮なく進んでいく。誰かがコート脇に放置していったペットボトルや空き缶。その中にはボールも転がっていた。
    「まだ時間あんだろ」
    拾い上げたボールの硬さを確認して、何度か地面にリバウンドさせる。なんとか使えそうだ。ほらと連れにボールを見せてみる。
    ぽてぽてと有馬のあとをついてきていた谷ケ崎は 小首を傾げていた。
    「ワンオンワンってなんだ?」
    …マジかよ。
    コイツはたまにこういう世間知らずにもほどがあるところがある。どんな育ち方したんだか知らないが、…まあ素直に人に聞けるだけマシか。

    「お前バスケはやっただろ?」
    ムショの体育は退屈だった。相手になるやつがいなかったし、やられたらやり返せとファールのやり合いがメインになって苛々するだけだった。
    谷ケ崎もあぁと頷くが、溜め息混じりだ。
    「やらされてただけだったし、結局全員殴り合いになってただろ。ルールとかシュートはよく分からねぇな」
    あの中じゃ谷ケ崎とはあまり関わりがなかったのだが、同じような経験をしていたのかと思うと少し可笑しい。

    「まぁ適当に軽く教えてやるよ」
    俺だってやるならフェアがいい。そこまで何も知らないガキを相手に勝ち誇っても、バカらしいからな。
    ほらとボールを谷ケ崎に渡すと、とても驚いた様子で目を瞬いてきた。
    「……んだよ、俺だって人に教えるくらい出来るわ」


    「脇はもう少し締めていい」
    真面目にリングの真正面から。それを徐々に立つ位置を変えさせて。フリースローを何回か打たせてみる。
    「左手は添えるだけでいいんだよ」
    どうしても力むフォームを直してやりたくて、隣に立った有馬が見本を見せてやることにする。
    有馬が放ったボールはまるで最初から決まっていたかのように弧を描いて、どこにもぶつからずにネットを抜ける。
    シュパ。その軽やかな音に、谷ケ崎は……たぶん犬ならわくわくと尻尾が立っていたんだと思う。
    ………そんな幻覚はさておき。

    谷ケ崎は持ち前のフィジカルの高さですぐに吸収していく。ほんの数分で、五本のうち三本は入るようになっていた。センスが良い。悪くない。これなら楽しめそうだ。
    谷ケ崎の腕をバシと軽く叩く。ボールを取り上げた。
    「さすがに飲み込み早えな、やろうぜ」
    ここまでルンと機嫌が良さそうな有馬は、珍しかった。

    ーROUND1ー

    「俺からな」
    有馬は緩いドリブルで 谷ケ崎の周りを歩く。攻められるゴールをどう守るものなのかは教えていない。まあ…そのくらい自分で考えろ。
    ディフェンスを軽く抜いてゴール下でジャンプしながらボールを軽く放る。レイアップ。
    これもまた、教えてはいない。
    あっという間に抜けていった有馬を捉えられなかった谷ケ崎は、少し茫然としていた。
    「まあこれくらいは準備運動だな」
    やれやれと舐めきった声色で言ってみせると、その目の色が変わる。谷ケ崎がこんな挑発に乗るのも珍しい。
    「足くらい踏まれると思ってた」
    「初心者相手にそんなこすい真似するかよ。これくらいはフェアにいこうぜ」

    さて、まず1点。ここからどう遊ぼうか?


    ーROUND2ー

    さすがに同じ手は二度食らわない。
    有馬にレイアップされないよう、ゴール下まで粘るディフェンスが展開された。高さでは谷ケ崎のほうが確実に上だ。
    ドリブルでゴール下まで入った有馬は右手でレイアップのフォームに持っていく。
    もちろん、目の前の谷ケ崎はジャンプでそれについてきていた。ジャンプディフェンス。さすがに圧を感じるが、想定内。
    (素直だな)
    右手だけでなく両手でボールを掴み直し、放つと見せかけたそれを空中で下に下げる。弾道を塞ぎにきている谷ケ崎のブロックをかわした。
    「!」
    間近、谷ケ崎がしまったと顔を歪めたのが分かった。ディフェンスの脇を抜いたボールを次の瞬間には左手に持ちかえ、軽くリリースしフィニッシュ。
    レイアップからのフェイントを入れたダブルクラッチ。高いフェイクテクニックだった。
    2点目。

    「…それは教わってない」
    「教えてねえからな」
    ついに口に出た不満を、有馬は素知らぬ顔で受け取って流した。
    「フェアじゃないだろ」
    「ハッ、なんだよ手加減してほしかったのかぁ?」
    「…………。」
    むうと吐き出される溜め息は諦めではなく、一矢報いる決意が深まったのを感じた。
    何をどう騙されたのか分かってるなら、これも対策してくるんだろうな。お前なら。


    ーROUND3ー

    次はディフェンスをさせない。
    「!」
    外周から動かずにすぐにシュートフォームに入った有馬に、谷ケ崎は一瞬目を見張る。
    そこから打つのか。今からプレッシャーをかけて間に合うか?いや…、
    距離を詰めすぎるよりも弾道を捉えたほうがいいと判断し、弾道を予測しジャンプで腕を伸ばす。これくらいは届く。

    けれど有馬はふわりと身軽なものだった。

    谷ケ崎が飛んだと同時に、ジャンプシュートする体勢を少し後ろに反らせる。空中で軽く仰け反りながら、ボールを放つ。弾道は谷ケ崎の読みより若干上で弧を描いた。
    フォームの変形に気づいた時には既に時遅し。すでに飛んでいた谷ケ崎がくそと舌を打って悪あがきで伸ばした指先は、微かにボールにかすった。
    その微細な触りで、ボールはリングの端に弾かれた。ノーポイント。ボールは転がって有馬のもとに戻ってきた。
    「ハハ、マジかよ」
    シュートが外れたにも関わらず、有馬は笑っている。拾い上げたボールを指先で遊ばせる余裕すらあった。
    「お前あれで届くのかよ」
    どうすっかなあーと呟きながら、ドリブルでまた外周を歩いていた。
    (…試されたのか)
    もうこれ以上、切り込む隙は与えたくなかった。


    ーROUND4ー

    ザッと互いに低い姿勢で対峙する。
    さぁ勝負だ。
    有馬の足は小刻みに重心を左右にステップさせている。その体重がどちらかに寄った瞬間に踏み込んでくるのだと理解した。
    見逃さないように注視していたら、ふと有馬が軽く笑った吐息が聞こえた。
    「いいじゃん」
    完全に、この試合展開を支配している側の発言。
    足元の重心は右に切り込むと思わせておいて左に切り替える。そのフェイントを見切ったと思ったが……そう見切ったことを、見抜かれていた。

    谷ケ崎が釣られて一歩左に身体を寄せたタイミング。有馬はくるりとターンで谷ケ崎を抜き去った。
    すぐに後ろから手を伸ばしたが 有馬にとっては追いつかれることも想定内。谷ケ崎の手が届くよりも先に手首を返した鋭いシュートを打つ。
    速やかな、3点目。

    「···どうして分かった?」
    動きが読まれるのには何か原因があるのだろう。有馬は谷ケ崎の目をつんと指差す。
    「てめえが"見てる"からだろ」
    有馬の重心を見ていることが逆にこちらの動きを読まれることになる。
    なるほど。喧嘩と同じだ。読み合い。探り合い。騙し合い。


    ーROUND5ー

    「ラストか」
    ギュッと踏み込むシューズの音が変わった。
    「ーっ!?」
    速い。今までのドリブルとは段違いだった。手加減されていたと痛感する。だが抜かれるわけにはいかない。
    視線でシュートを狙うタイミングを読む。
    読んだと思ったが、……

    4点目。

    あっという間だ。本当に追いつく間もなかった。
    「………」
    素直に、すごく悔しい。
    ゴールを通り抜けて跳ねたボールを片腕に取り上げ、谷ケ崎と目が合った有馬はにやと笑った。
    空いたもう片手で両目を塞ぎ、ベッと舌を出してみせる。
    「素直すぎんだよ、お前」
    カカカと得意気に笑う。視線がポイントだと言われてそのまま視線を追い、それが読まれて返されたのだ。
    言い返す言葉は見つからず、むむうと惜しんで睨むしかない。遊ばれている。
    パシッとパスが飛んできた。

    「さあて。俺から何点取れるかな?伊吹くん」


    ーROUND1ー

    まずは一呼吸。躍起になったところで足許を掬われるだけだ。
    一つずつ、お返ししてやろう。
    最初に見たシュートを思い返してみた。あれなら出来る気がする。
    「………」
    ドリブルから、決して足を踏み出す。ゴールまでの距離と速度。自分の身体の動かし方ならよく分かっている。
    「お。」
    レイアップだ。有馬はその谷ケ崎の動きを止めるのではなく、むしろ部活の先輩が後輩を見守るように見送った。
    1点が入る。初めてにしては違和感のない軽やかな踏み切りとフォームだった。
    「見様見真似にしちゃよく出来てる」
    わざとらしい拍手で讃えてやっても、谷ケ崎が返してくるのはじとと据わった可愛げのない面だった。


    ーROUND2ー
    ゴール下まで切り込んだまでは良かったが、有馬にだって同じ手は二度通用しない。見逃してはくれない。そんな甘いやつじゃない。
    自分がされたことを返そうと空中でフェイントしようとしたが、その手はしっかり見抜かれていた。
    「!っ」
    急に有馬が身体の内側に飛び込んでくるようなディフェンスをしてきた。体格差があるからこその厄介な圧のかけ方だ。
    距離を詰められたせいで飛んでいた姿勢が崩され、ボールが手の平からすり抜けていってしまった。ノーポイント。
    「んなすぐにフェイクが出来るわけねえだろうが」
    コロコロコロ。明後日の方向へとアスファルトを転がっていくボールに、有馬はケタケタと笑っていた。


    ーROUND3ー
    嫌なディフェンスを食らったことで、谷ケ崎はアプローチを変えることにした。
    とりあえずあの厄介なテクニックに捕まりたくない。ふとゴールを見やる。
    「………」
    自分がここからボールを放って、あのネットに届くものなのだろうか。
    さっき有馬に見せてもらった手本は本当に滑らかで、打った瞬間に『入る』と分かるほどだった。……やってみる価値はある、気がする。これは意図せずのスリーポイントへの挑戦だ。
    「はいはい初心者にゃ入らねえよ」
    谷ケ崎の狙いを察した有馬はそう肩を竦める。もはやゴール下からは動かない。ディフェンスはせず、外れるボールを見送るスタンスのようだった。

    谷ケ崎が放ったボールは一度リングにぶつかった。
    「ほらな、入ら」
    嘲笑う有馬の言葉は続かない。
    真上に打ち上がっていたボールはリングの上をぐるりと沿って、そのまま溢れ落ちるようにネットの中に落ちていった。

    「2点目だ」

    堂々とただそれだけを言い放つ谷ケ崎に、有馬は顔を歪めて舌を打つ。
    その位置からじゃ試合なら3点だ、とは…教えなかった。


    ーROUND4ー
    ビギナーズラックで点を取られたのが気に食わなかったのか、次のラウンドでは急にしつこいディフェンスを当てられた。
    バウンドするボールを猫のように弾かれて、それこそまさに瞬殺。一瞬の隙も与えずにノーポイントにさせられた。
    「よっしゃ、次でラストだぜ」
    勝ち誇った笑み。負けず嫌いはお互い様か。

    これまでの試合展開を思い返すと、ふと気付かされる。
    自分は、有馬に見せられたテクニックを返している。
    教わったことをすぐに身につけたくて、実践してしまう。素直だなと何度か言われた言葉の意味がようやく分かった。
    あれは自分が点を取るためだけではなく、自分がディフェンスに回った時のための布石だったのだ。
    谷ケ崎の動きは、有馬が作っている。
    …とは言え、初心者の自分に出来ることは多くない。有馬のようなテクニックはすぐには身につかないし、そんな付け焼き刃ではさっきのように弾き返されるだけだ。

    考えろ。自分に出来ることを。


    ーROUND5ー

    開始と同時に有馬は(へえ)と眉を上げる。谷ケ崎のドリブルの勢いが変わったのだ。
    迷いや思惑のない強い音。それまでは探り探りだった目付きも、今回は強い意思で有馬を見据えている。
    今までの腹の探り合いを捨て去った谷ケ崎は、ボールを両手で持ったままぐっと踏み込む。ジャンプして、そのままリングに叩き込もうとしていた。
    (この距離じゃ無理に決まってる)
    なんだ、案外短気な策に打って出たな。やれやれと笑ってやろうとしたその瞬間。
    (おいおい嘘だろ)
    その距離からじゃ届かない。そう思ったのに。谷ケ崎が飛んだ瞬間に察した。コイツは、……届くのか!

    「くそが…!」
    慌てて防ごうと自分も飛び込んでぶつかり合ったが、その体幹を揺らすことは出来ず、弾かれたの有馬のほうだった。

    ダァン!!

    思いきりの良いダンクシュートだった。
    深夜のコートに、叩きつけられたリングの音が響き渡る。反響が消えていくまでの間、有馬は唖然と口を開けていた。
    リングに手をかけてぶら下がっていた谷ケ崎は、ストンと身軽に着地する。
    いやいや…さすがに、そのパワーには敵わない。
    「おいおい谷ケ崎、お前最後の最後にゴリ押しかよ」
    参ったなと笑う有馬は、やはり上機嫌だった。


    ー……


    勝敗は4対3。有馬の勝ちだ。
    「戻ろうぜ、もういい時間だろ」
    こんな良い運動をしたのは何年ぶりだ。悪意や返り血のない勝負も、たまには悪くない。勝ったしな。
    あーあと腕を空に伸ばす有馬は、清々しく深呼吸していた。
    「勝ち逃げか?」
    背中に飛んできた言葉は、まるで駄々を捏ねる弟のようで。
    「あ?俺に勝とうなんざ十年早えーわ」
    谷ケ崎はそれでも納得しないのか むうと微かに不貞腐れてボールを抱えている。じとりとした表情で動こうとしないその頑固さに、思わず笑ってしまった。

    …ったく…仕方ねえなぁ。

    「また今度な」
    そんな"約束"をしたのさえ、何年ぶりだった。

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    Replies from the creator

    NANO

    DOODLE⚔ステ帰チョ編、情熱√からの二次創作
    え、魔王と鬼の共闘胸熱すぎん???
    絶対互いにその力量認め合ってるやん····でも憎しみ合ってしまったがために素直に仲良くはもうなれないやん·····でも絶対に互いに···っていうか信長様は顕如のこと好きじゃん····顕如と戦いたかったのに離脱されて「ヤツの無念が乗った刃、貴様には重すぎる」って信玄にわざわざマウント取るのなんなん???もう、仲良くしな????
    犬も食わない■ただのらくがき。願望。知識ゼロ。私が書きたいから書いただけ。なんも知らんけど、とにかくあのステ魔王は絶対に顕如さんが好き。
    今思い返すと孫一編でも孫一のこと気にかけて戰場にいる顕如に「今のお前とは戦わない」的なこと言ってたもん。好きじゃん。




    暴動は沈静化し、諸悪の根源であった毛利元就の軍勢は引いていった。
    被害を受けた民の保護や犠牲となった命を弔うのは顕如を筆頭に彼を慕う者達だった。

    集う門徒達に指示を出していた顕如は現れた信長の姿に手を止める。その様子で周囲を囲う門徒達も一斉に信長に気づき 総毛立つ。その中心で顕如が静かに錫杖を上げれば、それだけで門徒達はすぅと身を引いていった。
    信長は背後に従えていた光秀をその場に留め、単身ゆっくりと進み出る。その表情や姿勢に敵意はない。意図を汲んだ顕如も同じくゆっくりと自陣から進み出た。
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