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    NANO

    @bunnysmileplan1

    置き場
    もしくはデ④推しさんの名前でメディア検索するとだいたい出てくる。

    ⚠⌚裏🐼
    ⚠passは一話のキャプション

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🐼 🐼 🐼 🐼
    POIPOI 34

    NANO

    ☆quiet follow

    喧嘩した時空院と燐童にそれぞれのアプローチをする谷ケ崎と有馬。

    不思議な味方「丞武」
    後ろから掛けられた呼び声に、時空院は振り返らずに答える。
    「ご心配なく。少し風に当たってくるだけですよ」

    些細なことで阿久根と言い合いになった。
    二人の距離感は有馬や谷ケ崎と違って、ある一定のラインがある。
    時空院も阿久根も基本的には自分から争いを引き起こすのではなく、中立の立場をとってチームの輪を保つ立ち回りをするタイプだ。互いにそれを口にはせずとも理解している。
    傍から見ればその距離感は素っ気なく見えるのかもしれないが、当人達は特にそれに不満もなければ改めるつもりもない。
    二人の共通点。それは「人間らしくない」と評されること。過去の生き様ゆえに二人とも感情的になることが少なく、仕事と割り切ればどんな冷酷な判断も躊躇なく出来る、いわば仕事人枠だ。

    でも、「人間じゃない」わけじゃない。

    「私にだって虫の居所が悪い時はあります」
    淡々とした冷たい口戦に無理やりシャッターを下ろしてアジトを出て行った時空院を、谷ケ崎は無理に引き止めようとはしなかった。ただ、「独りにはさせない」という気配だけは伝わってくる。
    「私も言葉が悪かったのは認めますが、あれで引き下がらない彼も強情だ」
    誰にともなく、否、背後の谷ケ崎が聞いていると分かっていて、そんな言い訳を吐いてしまう。まだ少し苛立ちを含んだ時空院の背中を眺めて、谷ケ崎はふむと少し考えて言う。
    「俺にはどっちもどっちのように聞こえた」
    正直な感想だ。ここで時空院の肩を持って取り繕うとしないところが谷ケ崎だった。
    審判の意見を聞いて、時空院はようやくうっそりと振り返る。じーっと睨んでくるその不服気な表情に、けれど谷ケ崎は再度静かに断言した。
    「どっちも悪い」
    はっきりそう言われると、時空院もむうと口を尖らせるしかない。
    「喧嘩両成敗ですか…」
    「別に成敗するほどのことでもねえだろ」
    珍しく拗ねたように上目に睨んでくる時空院に、谷ケ崎はついにそっと笑ってしまう。殺すターゲットがいない普段の生活ではチームの中で一歩下がって物事を見ているような振る舞いをする時空院が、こんな風に子供みたいに不満を表に出すのは正直どこか面白くもある。
    谷ケ崎は笑みを隠さずにさてと空気を入れ替えて、ポケットから手を差し出した。
    「さっき渡そうと思ったのに、お前らが騒ぎ始めるから渡せなかった」
    「? なんですか?」
    不意に差し出されたその握られた手は、さっさと受け取れと時空院の胸に押し付けられる。まだ不服さを訴えていたつもりが、なされるがままに確認もせずに受け取らされる。
    「……え」
    コロンと手の平に転がったのはガムシロップのポーションが二つ。さすがに驚いてまじまじとポーションと谷ケ崎を見比べてしまう。呆気に取られている時空院に向かって、谷ケ崎はうむと満足げに頷く。
    「これで少しは機嫌直せ」
    まるで聞き分けのない子供でも相手にしているかのような宥め方。でも谷ケ崎にとってはきっと悪ふざけや嫌味ではなく本心なのだろう。
    ……自分でも単純だと思うが、こんな幼いやり取りで、頑なだった心は軽くなっている。嘘偽りもなく無意識に人に優しさを配る。それがきっと本来の谷ケ崎の根にある人間性なのだと思う。
    「驚きましたね」
    気が立っていた自分が馬鹿らくしくなって、つい茶化してしまった。
    「どうやら私の味方は伊吹だけのようです」
    少し大袈裟にポーションを胸に抱き込んでおいおいと泣き真似をしてみると、谷ケ崎は不思議そうに首を傾げる。

    「そんなことないだろ」

    ……あぁ…まったく、一番厄介なのはこういう真っすぐな人間だ。
    「……本当に伊吹には、…」
    一拍、時空院は谷ケ崎を見やる。続けようとした言葉はけれど口にはせず、やんわりと微笑んでぼやかした。モヤモヤとしていた気持ちは、すべて柔らかい春のような風に吹かれていく。
    (敵わない)
    こんな一言で絆されてしまうのだから、どうやら自分もすっかりそのマイペースに染められている。

    観念したように笑った時空院は、やれやれと肩をすくめて息をついた。
    「戻りましょうか。何か甘いものでも買って」
    時空院が放っていた棘はすっかり抜けて、いつもの調子に戻ったようだった。
    「燐童は固めのプリンが好きだぞ」
    すかさずそう言ってみると、時空院の足ははてと立ち止まる。
    もっとツンとした態度で「別に阿久根くんに買っていくわけではありませんよ」と返してくるかと思いきや、時空院はハハと小さく笑った。
    「そうですか、ではファミリーカートにしましょう。あそこのこだわりプリンは良い固さなんですよ」
    有馬くんにも何か買っていきましょうねえ。そう続ける時空院の楽しげな様子に、このあと起こるだろう有馬の尊い犠牲を予感しながら、谷ケ崎も後ろを歩き始めた。


    ーー……


    「で?」
    「だから!僕は悪くないって話ですよ!」
    時空院と燐童が口論している頃、有馬は外に出ていた。一服終えて戻ってきたら、何やらひどく落ち込んでいる燐童だけがアジトに残っていたのだ。
    「あいつらは」と聞いたが最後、燐童のダムは決壊し、マシンガントークを浴びるに浴びていた。

    又聞きの有馬にしてみれば、中身はくだらない兄弟喧嘩のような話だ。
    その流れで谷ケ崎が燐童ではなく時空院を追っていったということは、向こうのほうが少し深刻にピリついていたのだろう。あれだって別にただの頭がおかしい変態なだけじゃない。人の言動に苛立つことだってあれば、誰かのフォローが必要な時だってある。「人間」だからな。

    けれど一人で残された燐童にしてみれば面白くない気持ちも分かる。
    自分は悪くないのに!と一生懸命訴えてくる様子を眺めていたら、自然と口角が上がってしまう。燐童は有馬のそれを見逃さず、目を据わらせた。
    「ちょっと、何笑ってるんですか」
    「あ?別に笑ってねえわ」
    「······殺しますよ?」
    まさかそのセリフをお前が吐くのか。ついに誤魔化せずにハッと短く笑ってしまった。直後、燐童が静かに右手をグーにして振り上げるので、両手の平を見せて降参を示す。
    「ムカつく気持ちも分かるけどな。でもお前のことそんなに怒らせんのはあのバカくらいだなと思って」
    「僕結構有馬さんにも怒ってません?」
    「あ悪ぃなそれは全然気付いてねえわ」
    直後、燐童が静かに右手をグーにして振り上げるので、再度両手の平を見せて降参を示す。
    冗談はさておき、と有馬は座っている椅子に深く背中を預けて燐童を見た。大人げなく怒っている顔を見ていると、なぜかしみじみと(こいつも人間だな)と思い知るのだ。

    「まあ変に取り繕って無理に笑って許そうとするよりいいんじゃね?」
    「……え」
    思いがけず自分が長年抱えているものを捉えられ、言い返す言葉を飲み込んでしまった。固まっている燐童に、有馬はため息交じりに笑ってみせる。
    「俺らの関係で今更相手に好かれようとする必要もねえんだし。ムカついたらそうやって吐き出してやりゃいいんじゃねえの。知らねえけど」
    そもそも何もかもカッチリハマった四角形ではないのだから。まともな仲良しこよしなんてする必要はない。

    「…………、」
    怒りでハイになっていた燐童は、そこで妙にストンと腰が落ち着いた。
    「……意外ですね」
    「何がだよ」
    「有馬さんに説得される日がくるとは思いませんでした…」
    「お前俺のことなんだと思ってんだよ」
    裏切られた過去は取り除けない。人間関係にどうしても不安が先立ってしまう身としては、有馬のスタンスは心強かった。
    こんな些細なことでも、怒ってもいいんだぞと許されると、何だか逆に怒りは収まってしまった。
    ……しっかり宥められてしまった自分を自覚して、ちょっぴり悔しく思う。
    「常日頃から他人にブチギレてる人から言われると有り難みも違いますね」
    調子を取り戻した燐童のわざとらしいニッコリ笑顔に、有馬はやれやれと息をつく。
    「絶好調で何よりだよ…」
    殴られたくはないので、そうやって笑いながら怒ってるほうがお前らしいな。とは言わなかった。

    ーー……

    アジトに帰ってきた谷ケ崎と時空院は、片手にコンビニの袋をぶら下げていた。
    この状況でお買い物かよと有馬は眉を上げたが、どうやら彼らなりの仲直りの提案だったらしい。燐童のほうはまだぎこちなく、ツンとした空気を放ってしまっている。
    「阿久根くん」
    「何ですか続きなら受けて立ちますよ」
    「先程は申し訳ありませんでした。八つ当たりのような真似をしてしまいました」
    買ってきたものをテーブルに置いて、時空院はそれをしおらしく燐童の前に差し出した。

    「…………え?」
    再戦に構えていた燐童は 肩透かしを食らって戸惑っていた。
    「え···何ですかこれ」
    「固めのプリンです。伊吹から、阿久根くんに渡すならこれが良いと教えてもらったので」
    ははーんと目が据わる。その視線は一旦は時空院の背後にいる発案者にも向いたが、谷ケ崎は眼を反らして知らん顔を決め込んだ。
    「……こんなもので僕を懐柔できると思ったら大間違いですよ」
    静かに言い返す燐童の顔色を見て、けれど時空院も負けていなかった。演技めいた仕草でしょんぼりと肩を落とす。
    「それは残念……」
    そうして速やかにビャッとプリンに手が伸びる。
    「ではこのプリンは私が!」
    「誰も食べないなんて言ってません!」
    ガシ! 奪われそうになったプリンを掻っ攫い、胸に寄せる。一瞬の攻防を制し がるるると威嚇してくる燐童に、時空院は惜しくも空を切った手をひらひら踊らせて笑う。
    「おや? それを受け取るということは、私を許してくださるんですか」
    「それとこれとは話が別なんですよ」
    「キミそんなに食い意地張ってました?」
    「それは時空院さんのほうじゃないですか?」
    さっきまでの心を入れ替えた空気はどこへやら。
    向き合った二人は再び互いに意地の張り合いを始めてしまう。

    (……おいおい何やってんだコイツらは)
    うんざりと傍観する有馬は一瞬だけ谷ケ崎と目を見合わせた。
    静かに首を振った谷ケ崎はただ黙って眺めるに徹するようだ。確かに、こればかりは割って入る話題じゃない。

    こんなのはくだらない茶番だと、本人達も気付いている。
    しばらくして、根を上げたのは燐童のほうだった。
    「~~ぁあもう!すみませんでした…!」
    頑固に張り合っていた視線を、耐え切れず振り払う。 素直に謝るのは少しだけ不安で、燐童は俯いてしまう。
    「~…あの、…まあ、僕も強く言い過ぎました」
    「それは私も同じですねえ」
    時空院の声は決して鋭くはなく、いつもの明るさを放っていた。
    「でもこれからもお互い遠慮せずに腹を割って言いたいことは言い合っていきましょう」
    なんとも伸びやかな声色に驚いて、顔を上げた燐童は目を見開いている。
    「思えば人生でこんな間柄、なかなか得られるものではありません。それに、」
    時空院は小首を傾げて、燐童を試すように覗き込む。ニヤリと笑んだ。
    「キミをからかうのはとても楽しいですしねえ」
    「からかう言うてる···!!」
    咄嗟にキーッと悔しそうにツッコミを入れる燐童は、それでもどこか安堵して楽しそうだった。


    二人なりの答えに落ち着いたのだろう。そっと小さな息をついて、谷ケ崎も席に落ち着いた。その対面で、有馬はあーあと腕を伸ばして言う。
    「お疲れ」
    「そっちもな」
    普段は仲裁される側の自分達が、たまにはこんな役回りを担うのも悪くない。

    パン! さぁ皆さんと手を打って、時空院は注目を受ける。大きな声はアジトに響く。
    「さあ!せっかくの仲直りです!お茶にしましょう!有馬くんにはアプフェルトルテ・ミット・ロジーネンを買ってきましたよ!!」
    「何だそれふざけんなどこに売ってんだよ」
    堂々と取り出されたスイーツは到底一人では食べきれないサイズの焼きリンゴを使ったホールケーキ。

    「有馬だけじゃない、この四人で食べるんだ」

    四人でなら食べきれると根拠もなく言ってのけた谷ケ崎の言葉は、個々を生きてきた三人の心の隙間に少しだけ触れていた。

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    Replies from the creator

    NANO

    DOODLE⚔ステ帰チョ編、情熱√からの二次創作
    え、魔王と鬼の共闘胸熱すぎん???
    絶対互いにその力量認め合ってるやん····でも憎しみ合ってしまったがために素直に仲良くはもうなれないやん·····でも絶対に互いに···っていうか信長様は顕如のこと好きじゃん····顕如と戦いたかったのに離脱されて「ヤツの無念が乗った刃、貴様には重すぎる」って信玄にわざわざマウント取るのなんなん???もう、仲良くしな????
    犬も食わない■ただのらくがき。願望。知識ゼロ。私が書きたいから書いただけ。なんも知らんけど、とにかくあのステ魔王は絶対に顕如さんが好き。
    今思い返すと孫一編でも孫一のこと気にかけて戰場にいる顕如に「今のお前とは戦わない」的なこと言ってたもん。好きじゃん。




    暴動は沈静化し、諸悪の根源であった毛利元就の軍勢は引いていった。
    被害を受けた民の保護や犠牲となった命を弔うのは顕如を筆頭に彼を慕う者達だった。

    集う門徒達に指示を出していた顕如は現れた信長の姿に手を止める。その様子で周囲を囲う門徒達も一斉に信長に気づき 総毛立つ。その中心で顕如が静かに錫杖を上げれば、それだけで門徒達はすぅと身を引いていった。
    信長は背後に従えていた光秀をその場に留め、単身ゆっくりと進み出る。その表情や姿勢に敵意はない。意図を汲んだ顕如も同じくゆっくりと自陣から進み出た。
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