お前は知らないのだ。
己の細身を恥じるように半ば無意識に身をよじる姿がいかに俺を煽るか。
丁寧にじっくりと、ひらいて、ゆるめて、とかして、ぐずぐずに、どろどろに、とかして。
普段の理知的な瞳をこうして前後不覚なまでに追いやる愉悦。
そして同時に沸き起こるさみしさは、快楽に溺れるお前が俺のことを見ているようで見ていないような、そんな気にさせられるせいだ。
冷徹な科学者の目をしたおまえを、溶かすのは俺だ。
難事に沈着冷静な判断を下すおまえを、溺れさせるのは俺だ。
揺るがぬ堅牢な理性と知性を持つおまえを、堕とすのはこの俺だ。
だから。
焦点の定まらない視線をとらえるように、目の前にいるのが誰かを教え込むように、お前の名を呼ぶ。
401