Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ahelioslover

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 5

    ahelioslover

    ☆quiet follow

    20210926
    フェイキスwebオンリー 眠れない夜に口付けを
    展示小説です

    #フェイキス
    phacis

    melt melt meltキースを祭りに誘ったのは、言うなれば思いつきってやつ。別にジュニアとディノを一緒に誘っても良かったし、ビリーやグレイを誘ってもよかった。
    だけど、あとから考えれば、なんとなく、夏の暑さに浮かされて、この関係を一歩進めたくなったんだと思う。

    「ねぇ、アレ食べたい。」
    色とりどりの屋台の中から一際カラフルで目を引くかき氷の店を指さす。
    「買ってくれば?」
    そういうキースはここに来てすぐちゃっかり缶ビールを手に入れて、ずっと上機嫌だ。昔ディノとブラッドと来たことがあると言っていたから、それを思い出しているのかもしれない。
    「キースも食べようよ、俺メロンにするからキースはイチゴね。」
    「いやオレビール飲んでんだけど。」
    「うるさいなぁ、奢ってあげるから食べて。」
    たかが氷を削っただけ、それに色と味のシロップをかけただけ。それなのに結構な値段がする。お祭り騒ぎの中で食べることによる付加価値なのか、それともただの場所代か。たかが仕事上の関係だけ、それにたまにセックスするだけ。こんな俺たちの関係はどれほどの価値がつくだろうか。普段は何も考えずにただただこの爛れた関係を過ごしているが、例えば何かの弾みで結婚の話が出た時、例えば目の前のカップルの指に光る指輪を見た時ふと思う。この関係の行き着く先はどこなんだろうか。
    ビールがまだ残ってるからと躊躇うキースから、汗をかく缶を奪い取って一気にあおる。成人して少し経ったけどまだビールは美味しいと思えない。苦くて、刺激的で、よく分からない味だ。
    「ああっ!お前!何してんだよ!」
    素直にショックを受けるキースがいじらしい。大人しくかき氷を食べてもーらお。
    「すいません、メロンとイチゴ一つずつ。」
    大きくて透明な氷の塊は、白くてふわふわの雪となって味気ない紙のカップに降り積もる。直ぐに雪山のようになったなと思えば、上からぎゅうと押さえ付けられて、一度シロップがかけられる。人工的で鮮やかすぎるほどのピンクとグリーン。そしてそれが見えなくなるまでまた氷を積もらせる。店員がカップをクルクルと回せばまあるくなって、童話なんかに出てくる山のようだ。もう一度シロップをかけて、店員がこちらに顔を向ける。
    「お兄さん、練乳かける?」
    「じゃあメロンだけお願いします。」
    きっとキースはそんな甘いもん食えねぇ、って言うかなと思って俺の分だけ頼む。出来上がったものに先がスプーンのようになったストローをさして、俺の手に渡される。

    「キース、はいこれ。」
    キースは目線を一度かき氷に向けて、俺を見て、もう一度かき氷を見てからそっぽを向いた。どうしてそんな態度なのか思い当たることはひとつしか無かったし、どうせ一緒にいるなら怒らせといていいことは無いのでとりあえず謝ってみた。
    「ねぇ、機嫌直してよ、ビール飲んだの悪かったって。」
    「……いや、それはもういい。ンな事よりさ、お前、無意識?」
    「無意識……?」
    「それ、オレの色とお前の色。」
    俺が人工的と評した鮮やかなピンクはキースには俺のトレードカラーにみえたようだ。メロンはキースのトレードカラーより多少濃いけれど、練乳をかけたところは乳白色とグリーンが混ざって確かにパステルグリーンと言える。
    「ほんとだ、気づかなかった。」
    「ふぅん、まあせっかくだし貰うわ。」
    キースは俺が突きだしていた方のカップを受け取って、シャクシャクと食べ始めた。キースのあの態度は照れていたのか、そう思うと愛しさが止まらなくなって、同時にすごく恥ずかしくなった。もうこれは、愛のない関係なんて無理ではないか。いや、以前から愛は確かにあった。ジュニアやディノに対する感情も愛だし。でも、それ以上の、愛しくて、手元に留めておきたくて、時に閉じ込めたくなるような、うらはらで、どうしようもなくたまらない愛。世間一般的にこれを恋と言うならば、俺は否定できない。
    カッと熱くなる頬を冷やすようにかき氷をかきこめば、キーンとアイスクリーム頭痛が襲ってくる。
    「っ…痛っ」
    「がっつきすぎ、そんなに急がなくたってまだ溶けねぇよ。」
    「わかってる。」
    そういうキースだって親指の爪ほどしかないスプーンにこんもりと氷を積んでぱくりと食べれば、うっと顔を顰めている。
    「アハ、キースもじゃん。」
    「別に俺は急いで食ってるわけじゃないからな、一口が大きいだけ」
    んべっと子供のように舌を出すキースに、この人はコレだから……と呆れてしまう。28歳、成人男性、俺の目から見なくとも色気というかエロいところがあるこの男は、時々、いや、再三かもしれないな、とにかく子供のような態度をとる時がある。これはキースにとって甘えの態度だということに気づいてしまった人間は底なし沼から這い出でることはできない。特にキースの幼い頃のことを知っている人間は、尚更自分は許されている、甘えられていると思い込んでしまうのだ。
    加えて、イチゴ味のシロップの色が移った舌は鮮烈な紅色で目に毒だ。俺の色に染まった舌は食べてしまいたいほど扇情的で、みだらで、世界で一番に愛しい。
    「キース、もう1回舌出してよ」
    「なんでだよ、ん。」
    「アハ、キースのべろ、俺の色。」
    いや何でかわかんないのに出すなよ、と思いつつ、出された舌をはむと唇で噛む。そのまま柔く口付けて、自分の舌をキースのに絡ませる。ひんやりしている舌先から辿って、体温がそのままの舌の付け根の方まで。おそらくキースの色をしている俺の舌ととけて混ざって二人の色になるように。互いの間に漏れる吐息の間に、ふと腹に響くような轟音が明るい光を伴って鳴る。息継ぎの仕方を忘れたのか、それらにもまるで気づかず眉間に皺を寄せて少し苦しげなキースの頭をぐっと引き寄せれば、思ったより強い力で肩を押された。
    「……っ、こんなところで、誰かに見られてたらどうすんだよ。それこそ……恋人でもあるまいし。」
    「花火に夢中で誰も見てないよ。ほら。」
    その瞬間打ち上がった花火は、ピンクと緑の光を放って広がり、パチパチと音を立てて満天の星空のように散っていった。呆気に取られているキースに耳元で囁く。
    「恋人ならいいの?」
    たちまちこちらに気を戻したキースは慌てふためいて弁解する。
    「それは言葉の綾というか、そうじゃなくて」
    「俺は、キースの、恋人になりたいよ。」
    「へ?」
    「今までセフレなんて名前つけてたけどさ、俺、もうキースのこと、愛しちゃってるんだよね。」
    「お前、」
    「キースは?俺に、なんの愛もなく抱かれてる?」
    キースが俺たちルーキーに家族愛みたいなものを抱いてるのは知っている。だから、少しいじわるだったかな、と思ったが、今押しておかないとキースが逃げるのが目に見えている。ここが、互いの気持ちを氷解させる最後のチャンスかもしれない。
    「俺は、キースの器用で不器用で、子供っぽいけど大人びてて、強いのに弱いところ、あと残り全部。愛してるけど。」
    「………オレは、いや、オレもお前のこと大事に思ってる。お前のこと愛してるよ。」
    「じゃあ俺の好きなとこ教えてよ。」
    「っお前、グイグイ来るな……。お前の、スカしてんのに負けず嫌いなとことか、あっさりしてるように見えて意外と情に厚いとことか……いじらしくて可愛いところとかあと全部、好きだ。」
    最後の一音と同時にパッと空が明るくなる。花火もいよいよフィナーレといったところだろう。次々と上がる花火の明かりで互いの顔が良く見える。照らされた赤い顔を二人見合わせて吹き出す余裕があったのはつかの間だったと思う。どちらともなく口を合わせれば、残ったのは鮮やかな色水だけだ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏👏👏👏👏😭🙏🙏🙏💖💖💖💖💖💯😭💖💖🙏☺☺☺💞💞🙏🙏🙏🍑☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    ahelioslover

    DONE20210926
    フェイキスwebオンリー 眠れない夜に口付けを
    展示小説です
    special breakfastなんだか早く起きた朝は、気分が軽い。寝る時間はいつもと変わらないから睡眠時間で言うと短いはずなのに、これが終わったらあれもしようかな、この後これもできるな、みたいな気分になる。昨夜小腹がすいたのをおして寝てしまったこともあり、俺の今日最初の行動は朝食づくりと決まった。ジュニアとディノは朝からランニングに行ったらしく食器立てには既に二枚皿が並べられていた。俺の早起きは、彼らにとっては早起きではないらしい。そのうちキースも起きてくるだろうと、その半乾きの皿を取り出してクロスで拭いた。
    まずはバケットを適当な厚さに切る。食べ応えはほしいけどあえて分厚すぎないように。前のオフに、話題になっていたベーカリーで買った全粒粉のバケットは、カットするだけでいいにおいがした。二切れをトースターの中に突っ込んでとりあえず放置、食べる直前に焼き上げたいからまだつまみは回さないでおく。そうしたら冷蔵庫からアボカドを取り出して縦にナイフを入れる。アボカドって不思議な切り方するよなあ、なんてとりとめのないことを考えながら、種の周りにナイフを添わせて実をぐるりと一周し。左右それぞれを手でぐりぐりとずらせば鮮やかなグリーンのお出ましだ。種も皮も取り除いたら、斜めに薄くスライスしていく。
    1435

    ahelioslover

    PROGRESS例のツイートの妄想
    読みたいので書きました、冒頭ちょっと
    「もしもしキース?…ん?あああっ!今日こっちで足りないからって使ったかも。…うん、ちょっと聞いてみる、……うん、オッケー!また連絡する!」
    上司のディノが当直明けとは思えないテンションで電話の応答をしているのを横目でぼーっと眺めていると、大きな青い目がこっちへ向いた。
    「申し訳ないんだけどフェイス今車出せる?島の方から一人入院患者が来るんだけど、そのための病院の車朝がた救急で使っちゃったからその車持っていってほしいんだ。」
    「…港に行けばいいの?」
    「そう!もう着いてるらしいから。当直明けなのにほんとごめんな〜俺今から外来出なきゃいけなくてさ。」
    「了解〜。」
    「キースっていう俺の同期が患者さんと一緒にいるから指示聞いてくれれば大丈夫!ブラッドくらいの背の癖毛!多分すぐわかるからよろしくな。」
    手元の残り少ない缶のカフェラテを一気に流し込み立ち上がる。スクラブの上にパーカーを羽織り、ロッカーから靴とキーを取り出す。

    男と患者はすぐに見つかった。車椅子に乗った朗らかに笑う老人と紺のリネンシャツをラフに着た癖毛の男。船着場に近い駐車場に車を置いてそちらへ向かうとむこうも気付いたようでこち 846

    ahelioslover

    MOURNING力尽きて触ってない書きかけあったので供養
    フェイキスになる予定だったフリージャズピアニストやってるキースの過去的ななにか、フェイスは全く出てこない
    モブも出てくるしキースが可哀想
    落ち着いた照明、淡く光を受けるボトル、艶やかに磨かれたグラス、滑らかな革張りのスツール。その中でビンテージのピアノに向き合うくたびれた風貌の男にフェイスは見覚えがあった。

    気がついた時には家をとび出ていた。母親が消えてからその分まで暴力はキースに向かってきた。齢10にも満たない子供には、逃げるしか方法が無かった。
    走り続けて十数分、夜でも鍵の管理の甘い教会があった。最近は父親が昼間に家にいる時間が増えたため、昼も夜も世話になる羽目になった。世話と言ってもここにあるのは古いアップライトピアノと硬い木のベンチだけだが。キースは寝付けない時、マフラーペダルを踏みつけてさらにホコリ避けのフェルトカバーの上から鍵盤をならす。最初は一音一音確かめるように、慣れると街で流れる流行のポップス、公園のベンチにずっと座っているじいさんが持ってるラジオから流れるジャズ、教会でたまに開催されるピアノリサイタルのクラシックまでなんでも弾いた。運もお金もなかったが才能はあったようで一度聴けばだいたい何でも弾けた。楽しいわけではなかったが、何かから逃れるための手段としてピアノはピッタリだった。
    しばらくすると孤 1439

    related works

    recommended works

    kirikirid

    DONE【フェイキス】
    お題:チャイナ
    チャイニーズマフィアパロ
    マフィアの若ボスフェイスくん×拷問が上手な側近キースさん
    ※軽度の血がついてます
    #FKワンドロワンライコラボ_おかわり
    チャイナ「お前に、その価値があると思うの」
    白檀の香が焚かれた部屋にメノウ石が施された彫像、金額に換算すれば恐ろしい桁になるであろう飾り物の数々。その部屋の真ん中で決死のような表情で膝をつく男性と、キセルを吹かし嘲笑う青年。問われた言葉に男性は言葉を詰まらせる。ここで何かを言わなければ自分は数刻後には東シナ海に沈むと理解しているのだ。
    「ボス、俺の忠義はっ」
    「その忠義に泥をぬったのは、お前だよ」
    ボスと呼ばれた青年、フェイスの髪と同じ濡羽色の羽織が翻される。組みなおした足を動かせば、跪つく男を別の男が腕を掴み部屋の外へと引きずっていった。ボスへ酌量を求める悲鳴が消えたということは、男は地下室へと連れていかれたのだろう。生きたまま海に沈めば上々、けれどもその隙を見せてしまえば同じ男がネズミのように湧き出るだけだ。ならば、地下室の声が廊下に響くくらいが丁度良い。フェイスの意図を汲み取るのが上手な側近はきっと良い方法を提案してくれるのだから。
    2198