天使×孤児BL 1「……♪」
「…………何さ」
孤児となった僕には、それは吉報だったのだろうか。目の前には天使がいた。
神の遣いらしく白い装いに『それらしい』羽。しかしながら、あまりにもこちらを舐めて見下したような、ふさわしくない表情。
「いいよ、続けなよ。ボクはその方が好きだから」
自暴自棄になって人に手を掛けている最中であった僕でも、一瞬手を放し、相手は逃げていく。これは、神の遣いの振る舞いではない。これだけは分かる。
「勿体ない、逃げちゃったね。さて、どうする? 成功しようがしまいが、キミは追われる身になっていたわけだけど」
「……いや、ちょっと待ってよ。全然理解が追いつかない」
頭がこんがらがっている僕に、『あはは、仕方ないなあ』と笑いながらその『天使』は説明を始めた。
「だってさ、天界の上の方は悪い人を地獄行きにすることを考えてはいるけど、人間界で直接やってしまったほうが手っ取り早いじゃん? ちょうど良かった、キミに任せたくてさ」
「嫌だ」
「駄目だよ、これはいま運命となったんだ。手始めに、暗殺をしてみようか」
僕の運命はあまりにも突然に、転落から破滅へと進むことになった。