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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    ちょこ

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    ポケモンパロ
    よその子さんお借りしてます
    (モブが出てます)

    チャンピオン戦 四人目の四天王を倒し、チャンピオンが待つ部屋へと来た。目の前には銀髪の自分と同じ年齢の青年がいた。ここの地方のチャンピオンは二人いる、他の地方では大体一人で、ここも一人になるはずだった。だが、最終決戦で決着がつかず、特例として二人のチャンピオンが誕生したのだ。そう、目の前にいる青年はそのチャンピオンの一人。その青年は、自分が来ることはとっくに分かっていたのか、余裕そうな、でも人懐っこい笑顔で出迎えてくれた。
    「おー! 来た来た! いや久しぶりに挑戦者と戦えるの楽しみすぎたわ」
     そういえば、大抵追い返されてると聞いていた。そもそも、ここの地方の四天王もトレーナーとしてのレベルが他の地方よりも高く、自分も挑戦してやっとここまで来たのだ。
    「ルールは聞いてるよな?」
     ここでのルール、チャンピオンが二人いるため、前半三匹、後半も三匹を選んで対戦するのだ。前半に選んだポケモンは、後半では選べない。回復の薬等の道具も個数が限定されている。だからだろう、その三匹を選ぶのが頭を使う。下手な選出にすると返り討ちに合うし、かと言って適切に選べたとしても、不利な状況をひっくり返すのがチャンピオンだ。
    「俺はもう選び終わってるから」
     青年はゆっくりでいいからな、と笑って言う。自分は悩みに悩み、三匹を選び対峙する。
    「お? 準備できたか? なら軽く自己紹介! オレの名前はダミア! 二人いるチャンピオンの一人。本気でぶつかるからな!」
     そう笑い、白髪の青年───チャンピオンの一人のダミアが勝負をしかけてきた。お互いモンスターボールを投げ、ポケモンを繰り出す。
    「楽しいバトルにしようぜ!」
     ダミアの最初のポケモン───グラエナが技を繰り出しただけて分かった、やはりレベルが高い、と。よく育てられているし、なによりダミアとの信頼関係が強いのが伝わってくる。だけれど、自分だってポケモンとの信頼関係は強いと思っている。
     ダミアは楽しそうにバトルをしている、強者の余裕があるのかもしれないけれど、まるで初めてポケモンを貰ったあの時の気持ち、初めてポケモンバトルをした時のあの高揚感。これらの気持ちを体験してるかのように、楽しそうだった。純粋なポケモントレーナーなのだろう。
    「やるじゃん! 手応えのあるバトル、お前も楽しいだろ!」
     お互いに二匹目のポケモンが倒れ、最後のポケモンを繰り出す。強い、やはり強い。けれど、負けたくない。自分がそう思うように、ダミアもそう思っているのだろう。笑っていたが、目は覚悟を決めたかのように見ていた。
    「ウィンディ! フレアドライブ!」
    「ルカリオ! はどうだん!」
     お互いの技がぶつかり、煙が巻き起こる。煙のせいでよく見えず、自分とダミアはじっと煙が引くのを待つ。煙が薄くなり、ポケモンの姿が見えてきた。そこには膝を地面につきながらも、じっと真っ直ぐ見ているルカリオと、地面に項垂れたウィンディが居た。
    「戦闘終了! ウィンディ戦闘不能! 勝者! チャレンジャー!」
     審判が声を荒らげる。自分は駆け寄り、ルカリオを見る。ルカリオは自分を見ると、笑ったような気がした。
    「お疲れ様ウィンディ。……負けたー! お前やるな!」
     ウィンディをモンスターボールに戻したダミアが、自分らに歩いて近づいた。
    「めっちゃ楽しいバトルだったぜ! でも、まだ終わりじゃない。次のチャンピオンが待ってるからさ、準備しててな!」
     お互いに握手をした後、ダミアは奥への部屋へと行った。自分はその背中を見送りつつ、後半戦のポケモンの順番を選ぶ。

     一方、ダミアとの戦闘を見ていたもう一人のチャンピオン、レイフは準備をしていた。すると、ダミアが帰ってきて、レイフに言う。
    「レイフー! 負けたー! アイツめっちゃ強いわ」
    「見てましたよ、相性が不利な相手に勝つとは。腕がいいのはよく分かりました」
    「アイツ待ってるから、もう行くだろ?」
    「えぇ、負けません」
     そう言ってレイフは部屋を出る。その背中をみたダミアは、回復に出したウィンディをボールから出し、ブラッシングをしつつポツリと呟く。
    「レイフの目、本気だったな」
    「ガウ」
    「俺が負けるとあんな風になるもんな〜」
    「ガウ……」
     ウィンディは何か言いたげな顔をしていたが、ポケモンの言葉が分からないダミアは気づかなかった。
    「んじゃ! 俺も見ようぜ、移動するか〜」
     そう言うと、ダミアはウィンディをボールに戻し部屋を出る。バトルコートの所に、丁度バトルを見れるスペースがあるのだ。一応、部屋にもモニターがあり、そこからでも見れるのだが、ほぼバトルコートに直接見に行っている。そっちの方が体験出来る空気が違う。ダミアが着くと、丁度レイフもバトルコートにいた。
     レイフは真っ直ぐとトレーナーを見る。相手もレイフを見た。ダミアとあまり身長が変わらないように見える、髪の色も似たような色だ。けれど、レイフが自分を見る目が、ダミアと違うのだけはよく分かった。
    「どうも、自己紹介を。チャンピオン二人目のレイフと申します。バトルを見させて頂きました。俺らに挑戦するだけの力量はあるなと感じました」
     そう言うと、レイフはモンスターボールを取り出す、挑戦者である自分もまた、ボールを握る。
    「ダミアを倒したからには、楽しませてくれますよね」
     そう言った、レイフの目がどこか鋭く睨んだのは気のせいではない。
     レイフのバトルは、一言で言うなら冷静が良く似合う。先程のダミアとのバトルは、押されてはいたが楽しかったし、なにより自分も笑っていた気がする。一方、レイフは微笑みはするが、冷静でどこか余裕のあるバトルをする。
    「へぇ、面白いですね」
     現に、一匹目を撃破されたと言うのに、その口ぶりには余裕を感じるのだ。六体持ちのバトルじゃないため、一匹倒されたのなら焦るはずだ。けれど、その焦りを感じない。こうも、チャンピオンにも真逆に性格が違うのかと思った。自分の一匹目が倒れ、すぐに二匹目を出す。嫌な汗が自分の顔をつたう、だが、すぐに顔を振る。自分が怖気付いてどうする、と指示を出すを攻防の末、ほぼ同タイミングでお互いの二匹目が倒れた。次が最後の手持ちだ、これでバトルが決まる。
    「……面白いですね」
     レイフがそう呟いたのが聞こえた。その口ぶりが、先程の余裕さを感じなかったのは気のせいだろうか。三匹目を繰り出した時、レイフの顔を見た。レイフは自分を見ている。その顔が、さっきの微笑みと違って、口角を上げ笑っていた。
    「ここまで俺を追い詰めるの、ダミアくらいだと思いましたけど……。楽しいですね」
     ずっと無言で見ていたダミアも笑っていた。あのレイフが押されている、と。あの挑戦者は見えないだろうが、ダミアは気づいていた。レイフの額に流れる汗を。けれど、レイフは焦ってはいない。むしろ楽しんでいるな、と。
     レイフの最後のポケモンはシャンデラ。レイフのエースポケモンだ。まさかここで繰り出すとは、挑戦者は強く拳を握る。息が詰まりそうだ、一つ間違えたらあっという間に追い詰められる。けど、自分がチャンピオンになれるかもしれない可能性は消えていない。攻防で、シャンデラの体力を削る。ここまで来れば、挑戦者はそう思った時。レイフはかいふくのくすりをシャンデラに使った、挑戦者はしまった、と顔を曇らせる。かいふくのくすりの事まで頭が回らなかった、自分は既に使ってしまっている。手負いの自分のポケモンに対し、体力を全回復したシャンデラ。レイフは、シャンデラに指示を出す。
    「シャンデラ、オーバーヒート」
    「……! ガブリアス! よけろ!」
     一瞬、指示が遅れてしまった。反応が遅れてしまったのだろう、オーバーヒートが当たり、ガブリアスは倒れてしまう。
    「ガブリアス、戦闘不能! 勝者、チャンピオンレイフ!」
     審判の声は大きいはずなのに、その声が聞こえなかった。自分は帽子を深く被り、顔を伏せ目を閉じる。目の前は真っ暗だ。悔しい、後一歩だった。後一歩でチャンピオンになれたかもしれない。自分の判断が間違っていた、もっとこうしていたら、そればかりが頭を埋め尽くす。
    「すみません、よろしいですか」
     ハッ、として目を開け顔を上げる。目の前にはレイフと、後ろにはダミアもいた。
    「素晴らしいバトルでした」
    「すげーよ! レイフをあそこまで追い込んで!」
    「……でも負けました」
     目の前が涙で歪む、あぁ、自分は泣いているのだなと感じていた。みっともなく大声を出して泣きそうになるのを堪えつつ、目をゴシゴシと擦る。
    「また! ……また、挑戦します」
    「お待ちしてます」
    「またやろうなー!」
     自分は静かに部屋を出る。歩きながら涙は溢れていたが、どこか気分は晴れやかだった。負けたというのに。
    「今度こそ、勝とうな」
     ボールの中にいるガブリアスに向けて、そう呟いた。
     挑戦者が出ていった後、ダミアは言う。
    「いや凄かったな、レイフあそこまで押されたの久しぶりだろ」
    「油断してなかったんですけどね……。……彼、いいトレーナーです。なにより、チャンピオンとしての器はあります」
    「そこまで褒めるの珍しいな」
    「まぁ……。……でも、負けるつもりも、この座を譲る気もないですけどね」
    「それは同感! 今度は負けねーようにしないとな!」
     二人でそう笑い合うと、部屋を出た。
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