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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    アイドラ小説
    文化祭ifの続き

    何回したか忘れたアンコールが終わった、未だに歓声や賑わいを見せる観客らに手を振る時雨、何故か顔が強ばってるような気がするが歌ってる時の忘れかけていた感情を思い出していたからかどこか清々しい。巡が時雨に肩抱きをすると笑って観客に向けて言う。
    「長いライブも終わりだ!また俺と水無瀬はアイドルじゃなくなるけど、今日またこうしてみんなに会えたのは嬉しい!ありがとう!」
    ほら、と巡が時雨につつく。観客らはみんな時雨が何を言うのか待っていた。シン、と静かな時間が流れたあと、時雨は恐る恐る話す。
    「………みんな、俺がこんなふうに変わって驚いたかもしれない。……がっかりさせたかもしれない、俺の口からは何も皆に言えない。この返答にすら皆は……心配するかもしれないね、………けど、今日ここに立てて良かった、楽しかった。……みんなが笑顔でよかった、ありがとう」
    時雨がそういうと観客から自分の名前を呼ぶ声が沢山聞こえた、声綺麗だった、がっかりなんてしてない、色んな声が聞こえ目の前が滲んで見える、頭をぽん、と優しく撫でる巡。彼は何も言わなかったが目つきは優しく自分を見ていた。観客が思い思いに自分や巡のことを叫ぶのを手を振り答えステージから下がる。ステージ脇に入った時ふらついた時雨を慌てて巡が支えた。
    「おい!大丈夫か?!」
    「……大丈夫です。久しぶりだったんでふらついただけです」
    久しぶりのステージで色んな感情が混ざってしまったからかどうも力が入らない。頭がぼんやりとする、吐き気がするような、でも胸は熱い。巡やスタッフが心配そうに見るのを横目に何とかふらつきつつも立つ。立つのだが足の震えが止まらない。
    「俺と保健室行こう、顔色が悪い」
    「……佐々木先生はこれから教え子のところに行くのでしょう。大丈夫です、歩けますし1人でゆっくり行くので……」
    「いや、そんなフラフラでほっとけない。保健室送る、その後行くから」
    「……大丈夫です、よ」
    巡の忠告を無視して歩こうとするががくり、と力が抜ける。倒れそうになった時雨の腕を掴む巡。振り向いて巡の顔を見て逃げられないな、と思わず思ってしまった。時雨から見た巡の顔はどこか怒ってるように見えたから。
    「……保健室一緒に行くぞ、ほら寄りかかっていいから」
    「………すみません」

    「多分誰も来ないだろう、ゆっくり休めよ?」
    「……すみません」
    保健室に入ると誰もいなかったがベッドは誰も使ってなかったため時雨を寝かせる。横になれて幾分か気分が楽になったような気がしてきた。喉乾いたら飲めよ、と机の上にお茶のペットボトルを置くと巡は時雨のそばに行く。
    「それじゃ俺は行くからな?」
    「……ご迷惑おかけしました。………今日はありがとう……ございました」
    もごもごとなってしまったがそういうと巡は笑ってそのまま教え子を探しに行った。1人になった時雨は保健室の天井を見る。文化祭だが保健室まで来るような人は居ないからか静かだ。先ほどまでの吐き気などは落ち着いてきたが、胸の熱さだけは未だに消えていない。そっと起き上がり机を見ると使ってなさそうな紙とペンが丁度あった。それを見た時ふと思った。
    ──曲を書きたい
    気づいた時にはペンを持って黙々と曲を書いていた。あの時ライブで感じた感情をペンに込める、たまに曲を書いてる時は気持ちなんて考えきれてなかったが、今は違う。一刻も早く完成させたい。どのくらい時間が経っただろうか、もしかしたらそれほど経っていないのかもしれない。ペンを置くと出来上がったばかりの曲を見る。歌詞などはまだないが、それをみて歌う。
    「──、──……」
    ライブをしたばかりだと言うのに声は相変わらず透き通るような透明で綺麗な声だった、水無瀬時雨の1番の武器、と言われたぐらいの歌声だ。誰にも聴かれる心配がないからか途切れることなく歌い、歌い終わったあとに黙って紙を見た。いつもだったら破り捨てるそれを破かず、そっと畳んでポケットにしまう。
    ──この歌は、自分には合わない
    目を伏せそう思うと、巡が置いてくれたお茶を1口飲むと保健室を後にする。この曲は、自分の引き出しにしまおう、そう思いながらゆっくりと歩く。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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