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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    アイドラ小説
    世良の1番の夢がかなった日
    真くんお借りしてます
    ※世良の妹が出てます

    「里奈さん、外出許可だせれますよ」
    医者からそう言われた時、世良は嬉しさで顔が笑ってしまった。実は【chic】のライブにどうしても妹である里奈を呼びたかったのだ、自分があの子のために考えて書いた曲があったから。最近妹の調子もいいと聞いていたため、もし許可がおりたら、と願っていたのだ。
    「……ありがとうございます」
    「……世良くんのライブに行けれるって喜びそうですね」
    担当医からそう言われ笑顔で返す、そのまま妹の待つ病室へと行った。病室に入った時笑顔で出迎えてくれた妹、そんな妹の頭を優しく撫でながらポケットから取り出したのはライブのチケットだった。最前列のよく見える席、初めてチケットを見た妹はキョトンとした顔で受け取った。
    「お兄ちゃんこれなぁに?」
    「これはな、お兄ちゃんのライブのチケット。……妹ちゃんに来て欲しいんだけど……」
    「え!わたしお兄ちゃんのライブに行けれるの!?」
    「お医者さんが行ってもいいって、ママとパパに連れて行ってもらいな?」
    「わぁい……!お兄ちゃんのライブ!」
    余程嬉しいのだろう、やった、やったとはしゃぐ妹に微笑む。妹にはスマホで撮った映像しか見せていない、実際に来て、自分の歌を聴いて欲しいと常に願っていた。
    「俺も妹ちゃんが来るの楽しみだからな!来週の土曜日だから体調整えないとね」
    「うん!うん!」
    今日はその話でお見舞いは終わった、病院から出て同じユニットを組んでいる真に連絡すると真も嬉しそうな反応をしてくれた。反応を見て世良は嬉しそうに笑う、よかった、妹がライブに来れて。後は自分の歌で、Hackで妹に世界の色を見て欲しい、そう願いながら帰路に着く。家に着いて両親に説明をしてチケットを渡した、両親も嬉しそうに笑っていた。
    「世良、ライブ楽しみにしてるからな」
    「終わったら家でお祝いしましょうね」
    「……うん、妹ちゃんと一緒にね!」

    「世良!妹ちゃん来るんだろ?」
    ライブ当日、衣装に着替えていた時真が嬉しそうに聞いてきた、先程連絡があって既に会場に入っていると聞いていた世良は真にそう言った。
    「うん、体調も大丈夫だって」
    「良かったなほんと、里奈ちゃん来れて」
    「……うん、ほんとよかった」
    「世良ー、泣くのはまだ早いからな」
    からかうように言ってきた真に笑うと帽子を被りステージ脇に行く、スタッフが合図を送ると真に拳でコツン、と合わせてから向かう。ステージに入ると2人の入場を待っていたと言わんばかりの観客の声でうるさいくらいに溢れていた。そしてすぐ妹と両親の姿が目に入る、マイクを手に真が明るく声を出す。
    「みんなー!今日はありがとな!楽しんでくれな!」
    「今日実は俺の妹ちゃん来てるの!みんな知ってるよな?俺いつも妹ちゃんの話してるし!へへ、いいお兄ちゃん見せれるように頑張るから!」
    ファンからの掛け声でよかったね、と飛んできて思わず笑う、こうして妹の事も心配してくれたり、受け入れてくれているファンもいる事が世良にとっては嬉しかった。
    「今回の歌は俺の書き下ろし、色んな世界を歌で見て欲しいなって思いを込めて書いたよ」
    「世良の歌、今回もいいからみんな聴いてくれよな!」
    曲が流れる、書き下ろした曲は実は妹のために作ったのだ。自分がアイドルを目指すきっかけをくれた妹、白とほんの少しの色しか知らない妹のために作った。美しい夢を見て欲しい、と。曲に合わせて照明を煌びやかに彩る、歌いながらファンを、そして妹の顔を見た時、思わず目を見開いた。

    ──あぁ、妹が笑っている。

    真っ白な世界でしか知らなかったあの子が、病室の小さな窓の世界を見るしかできなかったあの子が、目をキラキラと宝石のようにして笑顔で自分を見ている。その笑顔がすごく眩しくて、胸が熱くなる。何故か視界がぼやけてみえた、隣をふと見た真は少し驚いた様子で世良に駆け寄る。世良が静かに涙を流して泣いていたからだ、一瞬何かあったのかと焦った真であったが、すぐに理由がわかり世良のパートを変わりに歌い出した。
    「……っ、ぁ……」
    歌わないと、と思っていたが声が出ない。ファンらも心配して掛け声をかける、その声は聞こえているのに、涙は一向に止まらない。
    ──あぁ、妹ちゃんが笑ってる。綺麗な笑顔だ、妹ちゃんから色が見えてるんだ。綺麗な色が、その色は病室の真っ白でもなく、小さい窓から覗く朝日や昼の日差し、夕日や夜の色でもない。綺麗で眩しい色が、俺が願って願って、がむしゃらに頑張ってきたことが、妹ちゃんに伝わったんだ。
    「世良、里奈ちゃんが心配してる、お兄ちゃんなんだろ?」
    真がボソリと耳打ちで言いつつ歌う、真の言う通り妹は心配そうに世良を見ていた、何故自分が泣いてるのか分かっていなかった。反対に両親は涙ぐんでいた、世良がなんで泣いているのか分かっているから。涙をふいてマイクに歌を込める。
    「──、──……」
    涙のせいであまり上手く歌えなかった、マイクを持つ手が震える、真は貰い泣きしてるのか分からなかったが涙目だった。ファンの中に世良に感情移入したからか泣いている子もいた。身体中が熱い、色んな感情が溢れてそれが歌に出る、嬉しい、本当に嬉しくてどうにかなりそうだ、と。自分の願いがたった今叶ったのだと、それはHackのおかげかもしれない、Hackがあって、妹が自分にアイドルになって欲しいと言ってくれなかったら、真とは出会えてなかったし、アイドルではない自分だったかもしれない。いろんな”もしも”が浮かぶ。
    曲が終わり歌いきった時、真の肩に顔を埋めてしまう。真は優しく世良を抱きしめ背中を撫でる。ボロボロと泣く世良、泣きながらも真に今の気持ちを伝えた。
    「真、まこと、ありがとう。お前のおかげで、妹ちゃん、が、笑ってる」
    「世良が頑張ったからだろ?世良が誘ってくれたから、俺も里奈ちゃんと出会えたし、ステージに立てれたんだ」
    「う、ぁ……、俺、俺……」
    涙のせいで中々言葉が出ない、もっと言いたいことがある。妹が笑ってる、病室で見せる少し諦めたような笑顔じゃない。本当の笑顔が見れてよかった、それは真のおかげでもある。色んな感情で涙が止まらない、妹に自分の思いが伝わったのが、嬉しかった。ライブ席から拍手が聞こえた、綺麗な歌だった、泣かないで、いろんな優しい言葉が世良に真にかけられる。その時世良を呼ぶ妹の声が聞こえて声の方へ顔を向ける、妹の顔はまっすぐな笑顔で世良を呼んで手を伸ばしていた。世良はステージから手を伸ばし妹の手を握る。小さくて暖かい手だ。
    「お兄ちゃん、あのね、あのね、すごかったよ。キラキラしてたの、お兄ちゃんの歌!」
    「ほんと……?お兄ちゃん泣いちゃったけど……」
    「それでもね、こう、胸が暖かくなったの。ぽかぽかして、もっと聴きたかったの」
    「……妹ちゃん」
    思わずステージから降りて妹を抱きしめる、自分の歌がキラキラしていた。これ以上の嬉しい言葉なんてない。アイドルをしてよかった、自分にとって大切な妹が、笑っているのだから。すこしして妹から離れてステージに戻る。くるりと向いた世良の顔はもう泣いてなかった。
    「みんなごめんな!泣いちゃった!」
    「世良、もう大丈夫?」
    「もう大丈夫!さーて泣いたお詫びにアンコール聞くよ!」
    そう言うとファンから曲名が聞こえた、【chic】のデビュー曲が聞きたいと。それを聞いて2人で笑う、曲が流れだしマイクを持ち直し、真と目が合い笑うとで高らかに言う。
    「じゃあ、次の曲は俺らのデビュー曲!」
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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