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    ちょこ

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    ちょこ

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    アイドラ小説
    シエリ解散前の話
    想先輩と瑪瑙の話(昔の話)

    学院内のレッスン室にて、キュッ、キュッと靴と床の擦れる音、大きな鏡の前でダンスをしては振り付けの確認をしている想と瑪瑙。そつなくテンポよく振り付けをこなす想の一方、ステップのひとつに今ひとつ分かっていないのか止まってしまう瑪瑙。何度も見たはずだが上手く足が動かず思わす首を傾げてしまう。
    「……?」
    「あ、瑪瑙。そこは半テンポ早く右足を出すの」
    「……半テンポ」
    想が気づきお手本として踊ってみせた、ここで、こう、と想が言ったのを真似てつまづいたステップを練習する瑪瑙。何度かやっていくうちにすんなりと足が動き、出来なかったステップが出来た。
    「あ、想先輩出来ました」
    「おー、瑪瑙はやっぱ飲み込み早いなぁ〜。このままだったらデビューの日も上手くいくよ」
    「想先輩の隣でも相応しい僕でいられるように頑張ります」
    「そんな畏まらなくてもいいからな」
    想と瑪瑙はユニットを組んでいた、ユニット名は「cieri」、もうデビューの日に歌う曲も出来ており、音源も貰って練習していた、そして1週間後には実際に衣装を着て撮影などをして、デビューという形だ。まさか仕事の先輩である想とユニットを組むとは思わなかったが、彼と組めるのは瑪瑙にとっては嬉しかった。彼となら上手くいくはず、と思っていた。
    「もう少ししたら今日は練習やめようか、楽しみだなぁ、瑪瑙と歌えるの」
    「僕も、楽しみですよ。……あの日見たアイドルみたいに、出来るんだなって」
    そんなたわいも無い話をしながらレッスンをしてその日は終わった。
    撮影の日、衣装を来た瑪瑙はスタジオに入ると既に想が準備を終わらせてスタッフと話していた。瑪瑙に気づいた想はこちらを向いてやや拍子抜けした顔をした。そしてこちらに近寄って驚いた声を上げた。
    「え、瑪瑙髪切った?」
    「……あぁ、イメージに合うようにって言われまして」
    「そうなんだ、似合うよ」
    「ありがとうございます、少しだけスースーしますが……先輩も衣装似合ってますね」
    そんな話をしつつスタッフからの指示を聞きながら撮影をする、椅子に座り目線をカメラに向ける瑪瑙。その後ろで椅子に背もたれつつ指で想のトレードマークと言っていい指先でハートを作る。そうして今日の撮影などが終わる、終わったあと瑪瑙に笑いかける想。
    「お疲れ様、デビュー楽しみだな」
    「お疲れ様です。……はい、そうですね」
    楽しみだ、どんな光景が見れるのか楽しみでならない。ここまでしたのだ、必ずデビューの日も上手くいく、そう信じて疑わなかった、この日までは。
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