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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしてます

    思わぬアクシデント 琥珀が没の出た現場に駆けつけると既に二人の人影が、琥珀はその二人のことをよく知っていたため、件を持ち替えて合流した。なお、先程までいたサクリはいつの日かいなくなっており、またどこかビルの屋上などで見物しているのだろう。そう思いつつその二人──メリーと遼貴にむけて大声で言った。
    「メリーさん! 遼貴!」
    「あ、琥珀先生! 来てくれてよかった……」
    「ごめん到着遅くなった、メリーさん、状況は?」
    「そうだな、あらかたは片付いたけど……琥珀くんの所もう討伐終わったの? はやいねぇ」
    メリーが指を指す方へ目線を向けるとなにやら針が無数に刺さった奇妙な没がいた。あの針はメリーの刀のか、とすぐ分かったがあれほど刺されてもシュレッダーゴミになっていない事に違和感を覚えた。
    「え、あんなに刺されてるのに……」
    「そうなんですよ、なんですかねあいつ」
    「俺の見立てじゃ……もしかしたらあいつ本体じゃないかもな、だから倒れないとか」
    本体ではないかもしれない、琥珀はふと、没の立っている地面を見た。今は天気は晴れていて自分だけではない、メリーにも遼貴にも影は伸びている。だが、その没の周りだけ影がないように見えた。なぜ影がない? と琥珀は口元に手を押え考える。琥珀が急に黙り込んだことにメリーは気づき怪訝そうに聞いた。
    「どうした琥珀くん」
    「……メリーさん、あいつ、影がないけどなんでだろう。今晴れてるから影は出来てもおかしくないだろ」
    「影? ……本当だな」
    メリーも気づいたのだろう、二人で何故だろうか、と考える。メリーはあらかた片付けた没には影があったと琥珀に教えてくれた。二人が黙り込んでしまった時、遼貴がハッとした様子で二人に言った。
    「……もしかして、あいつが影とか?」
    「……! なるほど、一理あるかも」
    「なら本体がどこかにいるってわけだな、さてそうなればいつか本体に戻るタイミングがあるかもな」
    メリーがそう言って刀を構える、琥珀も同じく構えた。没側からしたら自分が来たことでなにかしらのアクションを起こしてくれるのではないか、琥珀はそう考えた。いざ、メリーと一緒に斬りかかろうとしたその時。
    ──ゴキッ
    「……? え、なんだ今の音……」
    なにか自分の隣で嫌な音が聞こえた気がして思わず隣にいたメリーをみる。もしかしたら没の攻撃がメリーに当たったのだろうかと思ったら、メリーは腰を押えふるふる体を震えながら蹲っていた。突然の事で慌てて駆け寄る琥珀。
    「え、め、メリーさん!? どうした!?」
    「あ、琥珀先生。いつものぎっくり腰ですよそれ」
    「いつもの……?」
    「はい、いつもの。なんでこのタイミングでなるかなぁ……」
    「ぐぅ……」
    遼貴が慣れた様子でメリーの体を支える、メリーは痛そうに腰を教えつつ、刀を杖にするように立とうとした。流石にその様子では没討伐はどう考えても無理だ。琥珀はどうしようかと頭を抱えた、まさかぎっくり腰になるとは誰が想像できたか。
    「……メリーさんは攻撃の当たらない所でじっとしててください。遼貴、いけるか?」
    「任せてください、琥珀先生のサポートしますよ」
    「俺も戦えるよぉ!」
    「じっとしてろ! こいつぶっ飛ばしておくので! さぁ琥珀先生行きましょう」
    「……あ、あぁ……」
    本当に大丈夫なのだろうか、と琥珀は顔を引き攣らせつつ剣を持ち直す。こちらに怪我人がいる以上、なるべくメリーに近づけさせないように立ち回るか、と琥珀は走り出す。没は走り出した琥珀に攻撃をするが、遼貴が魔法でサポートしてくれたおかげで当たることなく琥珀は没の近くまで近づけた。なにか本体に繋がるようなものがあればいいが、と思いながら。
    「琥珀先生! なにかありました!?」
    「……」
    琥珀は試しに没の腕を斬る、斬って苦しそうに悶えたが、すぐさま腕が元通りになる様子に後ろに下がった。これなら攻撃を何度当てても無駄だ、と改めて知った。気になることがあるとしたら、この没は物陰に隠れないなと思ったくらいだろうか。そして没は目の前にいる琥珀ではなく、どこかを見つめていた。その視線の先に嫌な予感が走る。
    「……遼貴! メリーさんが危ない!」
    「え?」
    琥珀はしまった、とした表情で没から離れメリーのところに駆け寄ろうとする。メリーが物陰に隠れていた影がゆらゆらと動き出しているのだ。遼貴もそれに気づいて慌てて魔法を打とうとした時。
    「琥珀くん! 俺と同じタイミングで没を斬れ!」
    「……!」
    メリーが持っていた刀で自分のそばに現れた没の攻撃を受け流していた、腰が痛いはずなのにその様子を見せることなく琥珀にそう叫んだ。そしてメリーの意図がわかり、そのまま琥珀は後ろにいた没の首を斬る。同じタイミングでメリーもまた没の首を落とした。すると、さっきとは違いお互いに現れた没はシュレッダーゴミになり、風に舞っていった。
    「琥珀先生! やりましたね」
    「……メリーさんは……!?」
    「だ、大丈夫……ぐっ」
    メリーはふらふらした様子で二人に近づく。琥珀は慌ててメリーを支えると琥珀はメリーに聞いた。
    「……なんで倒し方分かったんです?」
    「いやー、正直に言うと賭けだったのよね。本体がないと影って出来ないじゃない? 何も無いところに影なんてできないんだから。だから同時に斬ったらいいかなって思ったわけよ」
    「だから腰痛めてるにも関わらず、すぐに反応できたわけか……」
    遼貴が納得した様子でいいつつメリーを支える。それにしても、メリーは琥珀をみた。メリーも没の倒し方をギリギリになって気づいたわけだ、琥珀が咄嗟に自分の意図を汲まなかったら危なかったかもしれない。琥珀の判断力にメリーは思わず琥珀の頭を撫でる。
    「え、なに……」
    「いやー、琥珀くん大手柄って感じだからねぇ」
    「いや、メリーさんが言ってくれたから……」
    琥珀もまた、自分より没討伐を経験してるからか、メリーの咄嗟の判断などには自分も見習わないといけない、と思っていた。
    「こいつは勝手にぎっくり腰になっただけですよ琥珀先生」
    「遼貴……」
    「マジで痛いから、優しくしてね」
    とりあえず病院に行こうか、と二人でメリーを支えながらゆっくりと腰を刺激しないように歩く。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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