今、琥珀は胃痛を起こしている腹を手で押さえつつ苦笑いをする。目の前に女性が居るからだ、彼女の名前はzer01と言い、琥珀は知らないがなにかの作品の主人公だと言う。女性と言っても彼女はロボットで琥珀より身長が高く、人間と違う温度を感じない水色の瞳でこちらをじっと見てくる。ロボットでも怖いのかともしかしたら笑われるかもしれないが、女性的な部分が強く出ているため怖いものは怖い。
「……どうかしましたか、先程から心拍数が上がってます」
「えっ……いや、なんでもないです……」
彼女はロボットらしくスキャンをして琥珀の身長など当てて見せた。ロボットに嘘は付けれない気がしたのだが、琥珀は笑って誤魔化す。こういう時に限って知り合いがいないためどうこの状況を打破するか必死に頭を回転させるように考える。正直言うと、締め切りより焦っている。彼女は琥珀に興味があるのかグイ、と顔を近づけてきた、胃痛が強くなった気がして思わず押さえてた手に力が入る。
すると、彼女の名前を呼びながらこちらを走ってくる男性がきた、こちらまで来ると少し息切れをしつつ琥珀に頭を下げる。
「ヒツ」
「すみません、彼女は興味があるものはこうやってするんです……すみません」
「え、いやいいですよ、はい……」
ヒツと呼ばれた彼は琥珀に頭を下げて謝る、彼が彼女のツクリテだろうかと思いつつ琥珀はなんだか申し訳ない気持ちになり大丈夫だと彼に言った。そのあとなんだかんだ彼と話した、名前は筆と聞いて作品を書く人の名前らしい、と思った。琥珀が探している親友の名前も作品を作る人らしい名前のため、どこか懐かしさに似たなにかが胸の中で淡く生まれる。
後日、筆が琥珀になにか小袋を手渡した。なんだろうかと琥珀がみるとそれは菓子折りだった、しかも、琥珀が好んでいる菓子。驚いた顔で琥珀は筆を見ると、筆は申し訳なさそうに笑う。
「いやこの前彼女が迷惑かけてたので……」
「……ごめんなさい」
「え、いや彼女は何も悪くないですよ……!?」
流石に受け取れない、と琥珀は思ったが相手が受け取って欲しいと言ったため、これ以上断るのも失礼だと思いそのまま受け取った。琥珀は少し考えたあと、一緒に食べないかと筆に言う。相手は驚いた様子だったが、最終的に琥珀の申し出を受け、近くのベンチで一緒に食べることになった。
琥珀は知らない、今後彼女がやって来て胃痛に悩まされる事に。