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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしてます

    琥珀は走ってとある所に向かっていた。手には発売された週刊誌を持って、琥珀の顔は既に泣きそうな顔をしていたが、なんとか涙を堪えながら走る。そのとある所はカナタの所だった、カナタは琥珀がずっと読んでいた【リインと時の鐘】の作者だ。
    琥珀とは交流があり、家が近くということで何度か遊びに行ったこともあった、自分のことをよく可愛がってくれ、琥珀が今まで貰えなかった愛情をくれる人、琥珀はそんなカナタが好きだったが、今回ばかりはカナタの事を信じられなくなった。
    カナタの家の前につき震える手でインターホンを押す。しばらくしてゆっくりと玄関の扉が開いた、カナタが出たがいつもと雰囲気が違うように見えた。琥珀と目線を合わせることなく、いつもだったら笑顔で琥珀を出迎えるというのに、ニコリとも笑わずそこに立っていた。
    琥珀は雰囲気の違うカナタにどこか恐怖を覚えたが、ぐっと手に力をこめるとそのまま何も言わずに家の中へ入った。カナタはそれでも琥珀と目線を合わせようとしない、カナタはゆっくりと口を開いた。
    「……琥珀どうした」
    「……カナタさん、どういう事、この最終話……ねぇ……!」
    琥珀は手に持っていた週刊誌をカナタに見せる、手が震えてしまい、さっきまで我慢していたが涙が溢れてきた。その週刊誌には【リインと時の鐘】の最終話が載っていた、その最終話は。

    ──リインが最後のボスと共に消え、今までの冒険も、リインの事も、なにもかもなかった事になっていたのだ。

    琥珀は前々から感じていた、最初の頃の王道的なストーリーから段々と残酷な描写がストーリーに混ざるようになったのだ。それを読む度に、胸が苦しくなっていくのを感じていた。自分にとってのヒーローであるリインが消えてしまうのではないか、そんな不安が琥珀の中に生まれていた。琥珀の親友はそんな事はないと励ましてくれたが、今その琥珀の不安が的中してしまったのだ。琥珀の言葉にカナタは温度のない声で言う。
    「……仕方ないんだよ」
    「何が仕方ないの!? リインは、リインは……カナタさんが一番好きな……なんで……!」
    「お前に何が分かるんだ!」
    「……!」
    カナタが琥珀に対して声を荒らげた、今までカナタから怒られたことがなかった琥珀は思わずビクリと体を震わせてしまった。その言葉の内容にもさらに涙が溢れた。怖い、カナタを怖いと思ってしまった。琥珀の中でぐるぐると感情が回っていく。
    「……わからない、わからないよ。今のカナタさん、怖いし、わかんない……。前みたいなワクワクするお話じゃなくなったもん……俺、こんなお話読みたくなかった……こんなのカナタさんのお話じゃない!」
    「…………」
    カナタは琥珀の言葉に何か言いかけたが、泣く琥珀の肩をそっと抱き寄せるとそのまま抱きしめた。
    「ごめん、ごめん……こんな話にしてごめんな、けど……仕方なかったんだ……わかってくれ」
    「………っ」
    本当は分かりたくなかった、リインをこんな風に終わらせたカナタに怒りすら覚えた。リインの事なんてどうでもよかったのか、思わず咄嗟に出そうになった言葉を必死に飲み込む。どうでもよかったのなら、今こうして苦しそうに言って、体を震えることなんてしない。ひしひしと本当はこんな終わり方にしたくなかったというカナタの気持ちが伝わり、琥珀はボロボロと泣いてしまう。お互いに謝罪の言葉をいうしか出来ず、ずっと泣き続けた。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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