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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしてます

    総務省内にあるとある施設、そこは没との戦闘をシュミレーションできたりできる場所だった。その他にも小さめの道場があり、そこでもモデルガンや木刀など、自分のマキナに合わせて練習ができ、ツクリテのための施設と言ってもいい。そこでほぼ毎日そこの施設で木刀を手に持ち乱れた呼吸を整える琥珀。琥珀の目の前には息切れひとつしておらず木刀を軽く持っている八重がいた。
    あの日八重に頼み、こうして剣術を教わっているのだが、何度やっても八重に一本取る事が出来なかった。何度打ち込んでも軽く払われてしまう、踏み込みが足りない、もっと相手をよく見る、動きが遅い、八重からの指摘を必死に飲み込むしか出来なかった。
    「あっ……」
    「灰野さん、また集中切れてる」
    カン、そう言って琥珀の木刀を飛ばした八重。また一本取れなかった。琥珀は悔しくて手を強く握る、手には木刀の握り過ぎで豆が出来ていて物を握るだけで痛かったが、それに構っている暇などなかった。八重はそんな琥珀を見つつ口を開く。
    「どうする? 休憩します?」
    「……いえ、もう一回お願いします」
    この位では親友を、創を見つけることが出来ない。琥珀は木刀を拾いまた構えた、早く、早く強くならなければ。カン、カン、と道場内で音が響いた。
    琥珀は家に帰ってからでも誰もいない公園や朝も夜も関係なく鍛錬した、それに加えて原稿の締切もありほぼ睡眠など食事をとる時間が減っていたが今の琥珀にはその時間すら惜しいと感じていた。それよりも早く、早く。早く親友を見つけたかった。
    それから何日か経ったある日、琥珀はいつもの様に道場に入る。既に八重がいたが、八重は琥珀の顔を見て思わす顔を酷くしかめて側までやってきた。そして琥珀の目元をそっと触る。
    「……灰野さん、ちゃんと寝てます? 足取りもいつもよりおかしい。今日は鍛錬は……」
    「いえ、してください。……大丈夫です」
    琥珀はそっと八重の手を払う、その払う力すらどこか弱々しくさらに八重はなにか言おうとしたが、琥珀が話も聞かずに木刀を渡して構えだしたため、八重は頭をかきながらどこか気乗りしない様子で構えた。誰が見ても琥珀が無茶しているのは目に見えていたからだ、琥珀は八重を見る。そして踏み込もうとした時、視界がぐにゃりと曲がった気がした。
    「え、あ」
    視界が回る、呼吸もどこか苦しい。足に力が入らずぐらりとふらつきこのままでは床にぶつかる、そのすんでの所で八重が琥珀を受け止め床に座り込んだ。琥珀は最初状況がよく分かっていなかった、心臓がうるさく耳鳴りが酷い。八重は険しい顔で琥珀に怒鳴った。
    「あ……」
    「だから休めって言ったでしょう! あんたが倒れたら親友くん見つけられないですよ!」
    「………」
    八重が怒鳴ったにも関わらず琥珀が起きようとしたため、八重は琥珀の腕を強く掴んだ。これ以上動くのは危ない、今すぐ医務室に連れていかないとと八重が焦った様子でいると琥珀がうわ言のように言い始めた。
    「ちょ! 動くな! 聞こえてます!?」
    「つくる、早く見つけるから……はやく、強くならなきゃ……」
    「……」
    ブツブツと八重の言葉が聞こえていないように木刀を手に取ろうとする琥珀、だが力が入らないのか手は震えてばかりで掴めなかった。八重は握っていた腕を離し、琥珀の肩を掴んで自分の方に向かせ大声で名前を呼んだ。
    「灰野さん! ……あんたが倒れたら意味ないんです。そのフラフラの状態じゃ、親友くんが見つかったとしても悲しむ」
    「……八重、さん」
    琥珀は心配そうに見てくる八重の顔を見た、自分が今どんな顔をしているのかわからなかったが。ふいに目頭が熱くなり視界が、八重の顔が滲み出した。泣いてると気づいた時にはボロボロと涙が頬を伝い、道場の床を濡らす。
    「……俺、やっぱ弱いんですかね。……貴方に一本もとれない……。……いつもアイツの背中ばかり……追いかけてた。ここで立ち止まってる暇、ないのに……。……俺が弱かったからアイツ、消えちゃったのに、俺のせいなのに……」
    自分のせいだ、琥珀はそう痛感していた。両手で涙を拭うがそれでも涙は止まってくれずむしろ溢れ出て止まらない。あの日泣かないと決めたというのにこうしてみっともなく泣いてしまっている。八重の顔が見るのが怖く俯くしか出来ない琥珀の頭を優しくポン、と手を置く八重。
    「灰野さん、貴方は決して弱くない。最初の頃より動きは良くなってるし、恐らく今までの戦闘スタイルが合わなかったんじゃないかな。……灰野さんは決して体格に恵まれてる訳じゃない、けれどスピードがある。……そこを伸ばせば強くなれる。……それに、そんな焦っても親友くんは死にはしないよ、だって強いんだろう?」
    八重はそう言って笑った、その言葉からはお世辞や嘘など一切感じられなかった。嘘じゃないと自分の心を見破ったのかそう言った八重に思わず笑いつつ、小さく言った。
    「……うん、アイツは強いので」
    そう言ってもなおまだ涙は止まらなかったが、先程のような気持ちではなかった。むしろどこか胸がすっきりと何か重たいものが少し落ちたようなそんな気持ちだった。すると八重は突然琥珀を背中でおんぶした。
    「や、八重さん……!?」
    「今日は鍛錬中止です、今から医務室に行くから。いいよね琥珀くん」
    「……はい」
    大人になっておんぶされるのは恥ずかしかったが、琥珀は八重に聞いた。
    「八重さん、もう無茶はしません。………なので、またこれからも教えて下さい、俺が強くなるために」
    「……任せてよ」
    そう言った八重の顔は笑っており、琥珀からは見えなかったが琥珀も釣られるように笑った。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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