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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしてます

    打ち明けた言葉 没を討伐した後、八重は刀をしまいながら隣にいた琥珀に話しかけた。
    「琥珀くん、最近なにかありました?」
    「え?」
    琥珀はなんの事だろうかと八重を見る。だが、琥珀自身、八重からそう言われる事に心当たりがないとも言えなかった。もしかして一時的に組むようになった”彼”の事を言っているのだろうかと琥珀は少しだけ眉を潜めた。その一瞬の表情を見抜かれたのだろう、八重は言葉を続けた。まるで子供に優しく語りかけるように。
    「やっぱり、なにかあったんだ」
    「……なんの事ですか」
    琥珀はどうしようか悩んでいた、組むようになった"彼"は自分達と敵対している立場にいるのだ。しかも創務のお尋ね者になってるというではないか、ますます目の前の八重に言いにくい。八重の仕事態度を知っていると話しても大丈夫ではないか、と思ってしまうが、琥珀はもう一つの面をよく知っていた。前まで見逃していたニジゲンに容赦なく斬り掛かるような相手なのだから。
    琥珀が黙ってしまった様子をみて八重は髪をかきながら苦笑いをする。
    「……もしかして本当に言いにくい感じ?」
    「……それは……」
    「それって、僕が創務だから……ですかね」
    「……」
    思わず琥珀は黙ってしまった、言葉が見つからなかったからだ。何か言わないと、と焦ってしまう。けど、何を話したらいい? 黙ってしまうということは、肯定したと同じだ。琥珀は思わずコートを握り締める、その時は、八重は話を切り出す。
    「ならこうします? "創務"の僕じゃなくて、ただ一個人の"猫柳八重"になら話すとか。まぁ、話すのは琥珀くん次第。でも、どっちにしろ僕は誰にも言わない、もちろん上司にも。……どうしますか?」
    「……」
    琥珀は八重の目を見て思い出した、その目はあの時自分の言葉を信じてくれた時の目と一緒だったのだから。泣きながら親友は生きていると言った時の、自分も信じると言ってくれたあの時の目だった。あぁ、この人は本心からそう言っているのだな、と。琥珀は思わず懐かしさで笑ってしまう。
    「……ずるいですよ、その目」
    「え? なんの事?」
    「……八重さん」
    琥珀は八重の反応に笑いつつ、少しだけ辺りを見回して小声で話した。
    「……はい、八重さんの言う通り。あったのはあったんです、けど……」
    「……なるほど、ここじゃ言いにくい? そうだね……なら、人気のないところで話しますか」
    「……はい」
    八重はどこか知ってるのだろう、先に歩くのをついて行く琥珀。チラリ、と自分の影を見る。いるのか分からなかったが、影の中にいると仮定して"彼"に向けて呟いた。
    「……大丈夫だからな」

    八重がどんどんと歩く道という道を歩いていくと人気のない小さな公園に出た。公園といっても遊具は無いに等しい、小さな砂場と質素な滑り台と古ぼけたベンチしかなかった、誰がここで遊ぶのだろうかと思いつつ琥珀と八重はベンチに座る。途中で八重が買ってくれたお茶を飲みつつ、琥珀はポツポツと話し出す。
    自分に一時的だが相棒が出来たこと、だが、その相棒は無免連のニジゲンだということ。それゆえに隠しているということ、八重は黙って琥珀の話を聞いていた。
    「組もうって言ったのは俺です。信用できる、そう思ったからです。……だから、その……」
    「なるほど、いや別に僕は何も言わないよ。琥珀くんが決めたんでしょう? ならいいと思う」
    「……」
    またこの人は自分の言葉を信じてくれた、琥珀は八重の顔を見て笑った。三年前からこの人は何も変わらないように見えるのだ、八重は琥珀が笑ってるのを見て話をした。
    「もし無免連が何かしたら心配はするので、何かあったら言ってね」
    「……ありがとうございます」
    琥珀は八重に深々と頭を下げた。普通だったら通報されて免許剥奪されてもおかしくない、八重の言葉に嘘偽りがないのを琥珀は分かっていた。この人なら、自分の言葉を二度も信じてくれたこの人なら、と琥珀は思った。少しだけ、琥珀の影が揺れたのを琥珀は頭を下げた時に見えた。"彼"も聞いてたのか、と思っていると八重が笑いながら言う。
    「それにしても琥珀くん、僕に隠し事してたとはねぇ。成長感じちゃうね」
    「どういう意味ですか」
    「……三年前と比べて琥珀くんさ、すごく成長したと思うよ」
    「……そうだといいですけど」
    琥珀はそう微笑むとちらりと自分の影をみて目を細めつつお茶を飲む。そうさせてくれたのは八重のおかげだ、と琥珀は感謝した。八重にも改めて紹介したいが、その時が容赦ない時を選ばないといけないな、と目を伏せた。
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    osasimibontan

    DONE☆バパロカヴェアルの前日譚的なもの。
    先日頒布した同人誌の前日譚で、時系列でいうと、物語開始の一週間前です。本編を読まれていなくても読めます!!

    常連客の🏛️のことが気になりすぎて、話し掛けたいけど話し掛けれらずに悶々とする、店員🌱の話。
    本当は親書メーカーの画像で投稿するつもりが、長くなり過ぎたのでポイピクにしました。全年齢なので安心してくださいませ!!
    君に届くフローチャートは? 金曜夜、時刻は二十時。
     普段は十八時ごろから客足が増加する、このスターバックスコーヒー。
     しかし華の金曜日である今日、日々勤勉に働く社会人はバーやレストランで羽を伸ばすらしい。そのためか、この曜日だけは毎週二十時以降になると人が混みだす。
     とはいえ、ここの店舗は都心の駅だとしても、末端に配置されている地下鉄の隣にあるため、もはやその地下鉄を利用する者しか立ち寄らない。
     いつも空いていて余裕があり、混雑しても他の店舗に比べれば少し忙しいくらいだ。
     ここで働くには人によっては退屈で、時間の流れが遅く感じるとストレスに思う者も居るとは思う。
     だが、アルハイゼンにとってはこの環境がとても心地よい。
     その結果、三年間無理なくルーティンとして、このアルバイトを生活に組み込むことが出来たのだ。
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