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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    エガキナ 自戒予告

    よその子さんお借りしてます

    まだその光は眩く リヒトは琥珀らと別れて、見かけた八重の後ろ姿を走って追いかける。自身の設定のせいか、あまり走るのが得意ではないリヒトは息を乱れつつも八重になんとかおいつき、スーツの裾を掴んだ。突然後ろから掴まれたのか、こちらを向いた八重の目に少し脅えてしまった。八重はリヒトの姿を見てすぐに笑う。
    「あれ、リヒトくん? どうしたんです?」
    「あ、あの、えと……」
    「ん?」
    帽子をおさえてしどろもどろになったリヒトに対して、少し目線を合わせてリヒトの顔を見る八重。いつも琥珀か、自分の親友であるフレイの後ろに隠れて話すことしかなかったため、いざこうやって面と向かって話すのが緊張してしまい、手が震えそうになる。八重も今回のデモで忙しいというのに、リヒトに急かす様子はない。

    リヒトは深呼吸したあとに、意を決して口を開いた。
    「あ、あの! 僕も連れていってください! 僕、あの、八重さんの力になりたくて。……だから、あの……つ、連れていくまで引き止めます!」
    「……」
    リヒトの言葉に意外だ、と言わんばかりに少し目を見開く八重。リヒトの様子からして琥珀にはもう言ってあるのだろうと把握した、リヒトは帽子を握る手を強め、どこか震えつつも八重を見ていた。
    その目線は、真っ直ぐと八重を見ており、生半可な気持ちで言ったものでは無いと分かり、八重は笑ってリヒトの頭をわしわしと撫でる。突然撫でられたリヒトは驚いて八重を見た。
    「リヒトくんがいるなら心強いですね、よろしくお願いします」
    「あ、は、はい!」
    「もうすぐ凪くんが合流するので、そのあと一緒に行こうかな」
    「あ、はい……」
    リヒトの表情が少し強ばるのを感じた八重、リヒトが凪の事を苦手に感じていたとこは八重は知っていた、いい部下なんだよ、と言わんばかりに頭を撫でた。

    凪とも合流でき、三人はデモが行われている場所へ行く、現場へ行くと創務省が無免連を連行している様子をリヒトは黙って見ていた、凪は八重の指示で一人で他の創務省の応援へと立ち去る。八重は自身のマキナである日本刀に手を添えた時、リヒトが八重の手を取った。
    「あ、あの、八重さん……」
    「リヒトくん?」
    少し様子のおかしいリヒトの表情を見て八重は動きを止める。デモの様子に怯えてしまったのだろうか、と思っていると、リヒトは消えるような声で話す。
    「……八重さん、皆がこうして対立してるの、見てるとここが痛いんです」
    そう言って泣きそうな顔をして胸を押えるリヒト、ぎゅっ、と八重の手を握り、ふるふると震え出す。八重が何かを言おうとした時、言葉を遮るように話す。

    「僕が見た事も、話したこともあるニジゲンやツクリテがここにはいます。皆、そんな……怖いって思う相手もいたけど、話してて僕の知らない事を知れたこともあるんです。……だから、こうやって皆が争うの、怖いです……悲しくて、胸が痛くて……なんで皆争ってるんですか、こんな、こんな……」
    リヒトは琥珀にあれほど啖呵をきったというのに、いざ実際に見て震えてしまった自分の弱さに情けなく、涙が溢れそうになった。きっと八重も失望したに違いない、もし自分じゃなくて、フレイだったら八重の力になれたのかもしれない。
    八重を困らせてしまう、せっかく心強いと言ってくれたと言うのに。手を離さないと、そう思っても手が震えてしまう。

    「リヒトくん」
    八重の優しい声がリヒトの耳に入る、リヒトは恐る恐る、と八重の顔を見た。
    「……君はどうしたいんですが、ここで、泣きますか。泣くために、ここに来たのですか」
    「……」
    優しい声だと言うのに、言っている言葉はリヒトにとって厳しい言葉だった。八重の黒い瞳がリヒトをじっと見てくる、リヒトは慌てて手を離し、ゴシゴシと涙を拭うように手で擦る。擦った後に、深呼吸して口を開いた。
    「……っ、泣くためじゃない、です。……まだ分からないけど、この目で僕なりに考えます。……八重さんと、えと、凪さんの事、怪我なく……僕が守ります!」
    「……うん、やっぱり琥珀くんのニジゲンだ。じゃぁ、行きましょうか」
    「……はい!」
    リヒトは帽子を被り直し、八重の後をついて行く。まだ少し怖い。けれど、自分で決めてここに来たのだ。もう、守られる自分ではなく、誰かを守る自分になるのだ、と。リヒトはぎゅっ、と手を強く握った。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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