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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    エガキナ
    自戒予告
    よその子さんお借りしてます

    ##エガキナ
    ##自戒予告

    真っ直ぐな言葉 無免連のニジゲンを拘束し、他の創務職員に引き渡した後、凪は八重の腕を掴んで黙って引っ張って歩く。後ろを慌ててついて行くリヒトを横目に、路地裏に入り凪は建物の壁に八重を軽く突き飛ばし、すぐさま手を八重の顔の横についた。八重は何も言わずに凪をみる。その表情にどこかイラつきを覚えた凪。
    「八重さん、あんたさっきからどうしたんですか」
    「荒っぽいね、別にどうもしてないよ」
    「……ふざけんなよ」
     思わず凪は八重の胸ぐらを掴み勢いよく引っ張る。傍でリヒトがオロオロとしだすが、横目で睨んで黙らせた。凪は睨んだまま八重を見る、真っ黒な目で自分を映し出していた。八重の考えてることが、まだ分からない。

    「八重さん、この俺がおかしいって思ってるんですよ? 分かってます? こんな時に何考えてんだあんた!」
     普段、八重の事を尊敬しているのを知っている誰かがみたら、あの凪がこのような態度をするなど見たら驚くだろう。凪の目付きにどこか殺気が混じっており、リヒトは思わず息を飲む。止めたかったけれど、体が動かない。
     そんな凪に対して、八重は笑う。その笑みが、どこか投げやりそうに、凪を見て笑って口を開いた。
    「……なんでだと思う?」
    「……そうやって誤魔化すんですか」
     凪は眉間に皺を寄せて、どこか悲しそうに見た。胸ぐらを掴んでた手をそっと離す。
     八重が中々本音を言わないのは知っていた、どうだろうね、やさぁ、とかあやふやな事を言う。けれど、あの時、あの病室で、自分の部下にならないかと言った八重は決してあやふやな事を言わなかった。それをしっているからこそ、今の煮えきれない八重の態度に、凪は心底腹を立てていた。
     なぜ何も言わないのか、自分が頼りにならないからなのか。自分では、八重の力になれないのか。そんな思考がぐるぐると回りつつ、凪は口を開く。

    「……八重さん、俺、頭悪いからわからないですよ。羽紅だったら、八重さんが何に悩んで、それを汲み取って、答えを出せてたのかもしれないですね。けど、ほんとさっきから八重さんらしくない。……今回のデモと関係あるんですか」
     凪の言葉に、ほんの少しだけ、よく見ないと分からなかったが、八重の表情が違った。そして、頭をかく八重をじっと見た。
    「そんな事は無いよ、君は賢い。察しがいい事だけを"賢い"とは言わない。……うん、そうだね……関係……あるのかな」
    「……八重さんは、あの無免みたいに、自由のためなら武力行使するのが正しいって考え?」
     確かに、創作は自由である考えは共感できる。けれど、凪からしたらその為に武力行使は違うのではないか、とも考えていた。力で抑えようとするのは、結局は自滅する。今の創務かもな、なんてどこか凪は遠くを見る。

    「そんなことないよ。……いや、一概に否定は出来ないのかもしれないけど。ただ……ここだけの話、こっちだけが正しいのかってのも、わかんないんだよね。……なんて、そんなこと言ったらクビになるかな」
    「……」
     凪は黙って八重の言葉を聞いた。そう考えてるなんて思わなかったからだ、この場合、どちらが正しいのだろう。無免か、創務か。凪は一呼吸置く、そして思った。
     正しいなんて、誰が決めるのだろう。
    「……クビとかって今更の話ですよそれ」
     凪は笑う、今更クビなど今に始まったことでは無い。そして、続けた。
    「……んー、八重さんが信じてみたい道に行けばいいんじゃないですかね、少なくとも、どっちが正しいとか正しくないとか分からないです。けど、俺は……八重さんが信じて選んだ道を、一緒に歩きたい」
     あの時救ってくれたように、と凪は呟いた。凪の言葉に、不意をつかれたのか少し笑う八重。

    「……ふは、凪くんは堂々としてるね。そういう所、すごく尊敬できる。うん、ありがとう、そんな君が居てくれたら心強いな」
    「ふふーん! 俺ですから! ……だから、そうやって一人で抱え込むもんじゃないですよ。少なくとも、俺やリヒトを心配させちゃダメですね。……もし、道を見つけたら教えてください、俺も着いて行く。ダメだって、言われてもついて行きます」
     貴方の部下だから、と凪は静かに微笑んで口を閉じた。黙って聞いていたリヒトは思わず八重の腕を掴んだ。

    「え、えっと、ぼ、僕も、あの……八重さんの力になりたい、です。ぼ、僕の名前、あの、光って意味だから……だから……えと……八重さんが選んだ道に、……八重さんが選んだ光のその先を、僕は照らします、から……!」
    「お、言うなぁリヒト」
    「え、ひゃい……」
     凪がけらけらと笑ってリヒトの頭を強く撫で始める。突然の事で涙目になるリヒト、そんな二人をみてか、八重は目を細めた。まるで眩しい光が目に入ったかのように。
    「……考えておくね」
     目を細めながら、八重はそう笑って言った。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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