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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    エガキナ

    よその子さんお借りしてます

    ##エガキナ

    とある出会い その日は少し寒い日だった、琥珀のニジゲンであるフレイと共に没討伐に行ってそれが終わったのがほんの少し前。琥珀と臨時を組んでいる無免連のニジゲンであるサクリは、朝から琥珀の影の中にいなかった。常日頃サクリと一緒にいるという訳でもなく、恐らくサクリの作画担当であるエリーの所にいるのだろう、なんて琥珀は考えていた。
     創務省に行って報告が終わったあと、フレイはそのまま創の所に遊びに行くと琥珀に言った。けれど、琥珀を一人にしていいのか迷っている様子が見られ、フレイは心配そうな顔をして聞く。
    「旦那、一人で大丈夫か?」
    「別に大丈夫、もうそのまま帰るだけだし……創と遊ぶ約束してるんだろ」
    「んーまぁそうだけど……地図で見ておくから、何かあったら飛ぶからな!」
    「分かった」

     本当なら琥珀も一緒に行くのだが、連載中の原稿を今のうちに少しでも進めておきたかったのだ。フレイはそう笑うとそのまま琥珀と別れ歩いていく、いつの間にか街を散歩していたフレイは、琥珀が知らないような近道をよく知っていた。あの様子じゃすぐに創の所に着くだろう、と思いつつ琥珀もそのまま住んでいるマンションに帰るために歩いた。
     人通りの多い道を歩く、少し寒かったが天気は晴れており、歩くと丁度体がポカポカと暑くなる。帰ったら書きたい場面を頭の中で思い浮かべながら、帰るはずだった。
     ふと、琥珀は誰かに呼ばれたような感覚になった。特に琥珀に声をかけた相手は見当たらない、通行人は琥珀を素通りするように歩いたり、走ったり。琥珀はおもむろに視線を向けた。その先は少し広め、人二人がすれ違える、そのくらいの道の広さの路地裏だった。
     地面はコンクリートで舗装されているが、所々草が生えており、ゴミも少し落ちていた。両側を高い建物に囲まれているからか、薄暗く、奥がやっと見える。
     少し近寄って道を見る琥珀。その時少し風が吹く、肌を撫でる風は冷たかった。わざわざこんな道を通る人などまず居ないだろう、けれど、琥珀はなんの迷いもなく道に入った。先程の、自分を呼んだような感覚がこの道の先からしたような気がしたのだから。

     案の定、大通りよりか薄暗い。まだ昼前だと言うのに、太陽の光があまり入らないのだ。そのせいか、気温もどこか低い気がする。つい入ってしまったが、道の先を知らない琥珀はすぐ引き返そうと思っていた。
    「……流石に気のせいか……?」
     琥珀はそう呟いた。こんな所に人などいないか、なんて思って道を引き返そうとした時、声が聞こえた。
    「遼貴……いやサクリ? がお世話になってるっていう旦那はあんたかい?」
     琥珀はすぐに振り返った、するといつの間に現れたのだろう。そこには人がいた、琥珀よりも身長の高い男性がそこにいた。どこかで見たような、と琥珀は少し首を傾げる。
     話したことがあるのなら、と思ったがその記憶はない。どこかで見たのか、と思いつつ琥珀が目を引いたのは相手の片目だった。髪で隠れていない目は、珍しい色をしていたからだ。緑と水色が半々に入っているのだ。その虹彩を知っている、確か、ダイクロイックアイ、だったはず、と。

     まず普通の人間でそんな目をしてるなど中々いないだろう、全く居ない、というわけではないが、相手はニジゲンか、と考えていた。それにしても、と琥珀は思う。琥珀の知っているとあるニジゲンが見たら興奮しそうだな、なんて思いながら琥珀は口を開く。
    「……2人を知ってるのか? ……サクリと組んでるのも知ってそうだな、その口ぶりじゃ。……サクリと臨時を組んでいる灰野琥珀、だ。……よろしく」
     二人の知り合いのニジゲンだろうか、と琥珀は相手を見る。あの様子ではサクリと組んでるのも知っていそうだ、と琥珀は自分の名前を名乗る。それにしても、やはり彼をどこかで見たような気がするのだ、どこでだろう、なんて考えていると相手はそのまま口を開く。
    「まぁ……片方はよく知らねぇんだが……同じ無免連なのでね……とりあえず……」

     そういうと、相手は槍を構えた。
     琥珀はすぐさま後ろに下がり、距離をとる。相手はじっと琥珀を見ているだけだった、そして、その槍の形を見た時、琥珀はすぐに気づいた。サクリが戦闘で使っている槍の形にそっくり……いや、同じだということに。色こそ違うが、サクリが使っている槍が血のような赤色に反して、相手のは綺麗な、まるで氷のような槍だった。
     そっと懐から万年筆を取り出した時、琥珀は懸念した。想像力が残ってたか分からなかったのだ。残ってなかったらほぼ丸腰で相手とやりあうことになるのだが、と思いつつ、蓋をとってペン先を撫でるとペン先が剣になる。その様子に少し胸を撫で下ろす、運良く残っていたようだ。
    「そんな悠長にしてていいのかい」
     相手の言葉に最初は分からなかったが、すぐさま気づいた。そういえば、先程より周りが寒い気がする。口から吐く息が真っ白なのだ、そして、なにか地面に違和感を覚え、そっと撫でると冷たく指が滑る。まさか、と琥珀は気づく。
    「……凍ってる……」

     一応、琥珀の靴は滑りにくい靴だが、それにしてもまるでスケート場のようにツルツルと力が入らない。しまったな、と琥珀は思わず眉を顰める。どう見ても、相手が有利な状況だろう。相手はというと、どうやら靴がスケート靴のように難なく滑れる様子だった。その様子が、琥珀にとってはどこかスケートをした事のあるような滑り方をしていた。
     そして、相手の移動が速いのだ、何とか目で追えているが、受け止めようにも地面が滑りそれどころではない。次をどうすればいいかという時間すらも与えられない。相手の視線が、自分を試すかのような、そんな印象を受けた。
     一か八か、と琥珀はおもむろに剣を地面に突き刺した。キン、と音が響く。少し手が痺れたが、氷は硬いのでそこまで刺さる、ということはなかったが、これでいいと琥珀は思わず口角を上げる。どうにか滑る足を安定させたかった、そして、剣をそうしたからか、相手の槍の先端が琥珀の頬をかすめる。そこから少し血が垂れたが、それに構うものかとそのまま琥珀は剣を振るった。振るった刃の先端は、相手の腕を少し切り裂いた。

     ここから先は、考えていない。さてどうしよう、と琥珀が周りが寒いにも関わらず冷や汗をかいたとき、琥珀の影から誰か出てきた。そんな相手、一人しかいないが。
    「お前何やってんだコラ」
     琥珀の前に立ち塞がるように、そこにはサクリがいた。まさか出てくるとは思わなかった、てっきり、フレイが来るだろうかなんて思っていた琥珀にとっては、思わず驚いた顔をする。
    「サクリ……。……いや、その、相手が構えたから……」
    「いや、あっちの方だ……全く勝手なことしやがって……」
    「え、ちょっ」

     サクリはそう言って琥珀を掴むと、そのまま影の中に押し込むように、どこかに飛ばした。恐らく、飛ばした先は琥珀の親友である創の所だろう。サクリが現れ、琥珀をどこかに飛ばした様子に相手は思わず怪訝そうな顔をする。
    「邪魔されたら困るんだが……」
    「おめーも帰んだよ」
     そう言ってサクリも相手を飛ばす、飛ばした後、サクリは不機嫌そうにため息を吐くと、そのまま影の中に消えていった。
     琥珀が飛ばされた先は、予想通り創の所だった。突然現れ、しかも頬から血を流している琥珀を見てフレイと創は驚いていたが、二人には没が出ていた、と嘘をつく。
    「えっ!? まじ!? 旦那ごめん! 気づかなかった! 地図はちらちら見てたんだけど……」
    「いやいい……心配かけてごめんな」
     フレイが謝り倒す勢いで琥珀に言うのを見ていた創。創からしたら、琥珀が嘘をついているとすぐに分かったのだ。没からじゃないな、と思いつつ、事情を知っているのはサクリだけか、と分かったが、あのサクリが素直に自分に教えるとは思わなかった。
     創がそう考えてるとは知らず、琥珀はまたあのニジゲンと一悶着ありそうだな、なんて思いながら、サクリか遼貴なら相手のこと知っているのではないか、と思いそれとなく聞こうと思った。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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