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    夕映(ゆうえ)

    @vyl_as0ur

    主にまほやくの晶オエを書いています。
    ※フォロワー限定が使えなくなったので統合しました。
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    夕映(ゆうえ)

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    お正月ボイスかわいかったね~!という話
    ひたすら好きな女に甘い晶とかれぴとイチャイチャしたいオエ
    当社比でめちゃくちゃ甘ったるい女に仕上がったなと満足しています
    ※便宜上女って言ってるだけで男同士のままイチャイチャしている話です

    「ねえ。あれやろうよ。おまえの顔をバラバラにして組み立てるやつ」
    「俺の顔をバラバラにして組み立てる……?」
     新しい年が始まってすぐの昼下がり、談話室に連れ込まれたかと思えば、唐突な提案に意味がわからず思わず首を傾げた。いくら二人きりとはいえ、誰が来るかわからない談話室のソファに座らされてその上に乗られている状況というのも手伝って、まともな答えが浮かんでこなかった。
    「ほら、あれだよ。目隠しして元に戻す遊び」
    「目隠し……戻す……ああ! 福笑いですね!」
     キーワードを断片的に繋ぎ合わせてようやくわかったけれど、オーエンがイメージしている福笑いはきっと自分の世界にあったそれとは大きくかけ離れているに違いない。
    「俺、顔をバラバラにされるんですか……?」
     物理的に考えて無理だろうとは思うけれど、ここは魔法が使える世界。不思議の力で物理的に無理なことも可能になってしまう。自分の常識が通じない不思議の国だ。
    「どうやってバラバラにしようか? 切り刻む?」
    「刻んだら元に戻せないと思います……!」
    「そんなの、やってみないとわからないだろ。早く」
     じわじわと迫ってくるオーエンは、物騒なことを言いながらも、小さい悪魔が舞い降りて膝の上で笑っているようだ。とはいえ、このままでは本当に顔をバラバラにされてしまうかもしれない。なんとかこの場を乗り切るために当たり障りのない提案をすることにした。
    「福笑いは大勢でやったほうが盛り上がりますよ! 紙で作ってみんなでやりましょう」
    「へえ、そういうこと言うんだ? せっかく僕が誘ってあげてるのに?」
     誘われているのは福笑いのはずなのに、オーエンが想像している遊びはきっとそれとは違うもので、けれど、膝の上に乗り上げて顎先を弄ぶように誘う仕草はそのどちらとも違って、ここが談話室であることを忘れてしまいそうになる。
    「だ、誰か来るかもしれませんし……」
    「賢者様は、いま誰か来たら困るんだ?」
     舞い降りた小さい悪魔は、ほんの少しだけ抱いた邪な心を見透かしているように、天使のような微笑みで顎先を弄んでいる。
    「まあいいや。始めようか」
     断る間もなく、オーエンはぺたぺたと冷たい指先で顔を触り始めた。
    「ま、待って……!」
    「ああ、目隠しが必要なんだっけ」
     慌てて制止する手を避けて、オーエンはどこからともなくさらしのような布を出して、その手の上に乗せた。
    「目隠し、僕がするんでしょ。つけて」
     自分の人生において、こんな体勢で目隠しをせがまれる瞬間が来るとは思いもしなかった。予想外、などと悠長に考えている場合ではないのだけれど、あまりにも非現実的な光景に、そう思わずにはいられなかった。けれど、物言いたげな視線に急かされて、オーエンの目元に布を巻いて頭の後ろで縛った。
    「これでいいですか?」
    「ふふ。何も見えない。真っ暗」
     本当に見えていないのか、目隠しをしたオーエンはついさっき弄んでいた顎先すらも掴めず、探り探り手を動かしていた。
    「あ、あの……」
     バラバラになっていない顔でどう福笑いをするのだろうと問いかけようとしたとき、空を切っていた手が顔の輪郭を捉えた。
    「あ、何かあった。これは……耳?」
     探るように冷えた指先が耳の輪郭をなぞってくすぐったい心地がする。目元が隠れたオーエンの表情はいつもよりもわかりにくくて、けれど形の良い口がやんわりと弧を描いたのがわかった。
    「賢者様? 答えてくれないとわからないよ。僕、なにも見えてないんだから。これは耳?」
     両方の耳を確かめるようにしながら、オーエンはずいっと顔を寄せてきた。見えていないのだから仕方がないけれど、それは所謂キスが出来るほどの距離で、無意識に身を固くしてしまう。
    「せ、正解です……というか、これ、福笑いになってないですよね」
    「じゃあ、僕が見つけたところ、一つ一つちぎってバラバラにしようか」
    「逆福笑いですね! って、それは絶対にやめてください……!」
     このまま少しずつ抉り取られていくのを想像して今度は違う意味で身を固くしてしまう。冗談だと思って聞いていたら本気だった、なんてことになれば、福笑いどころの話ではない。
    「絶対に楽しいのに……それなら、このまま一つ一つ当てたら僕の勝ちでいいよね」
    「勝ち負けを決めるゲームではないんですけど……いいですよ」
     触られるだけなら、ほんの少し肝が冷える思いをする程度で済みそうだ。少なくとも、耳や鼻をちぎられる心配はないだろう。
    「ここが耳……」
     氷のような指先が耳をなぞる度に、反射的に動いてしまうけれど、オーエンはそれすらも楽しんでいるようで、隠れた目元を想像してやり過ごすことにした。すると、耳の上から髪をかき上げるように手が上に移動していく。
    「頭。髪の毛が生えてる。これ、毟ってもいい?」
    「だ、駄目です!」
    「こんなにたくさんあるんだから、少しくらいいいだろ」
     頭を撫でるようにわしゃわしゃと髪を乱してオーエンは笑っていた。福笑いとは程遠いけれど、楽しんでくれているのなら、これ以上止めるのは野暮な気がして、強く拒否は出来なかった。
    「毛がなくなった。ここは広いから額だ」
     一つ一つ、丁寧に形をなぞりながらオーエンの手が動いている。氷のように冷え切っていた指先に慣れたのか、体温が伝わっているのか、ほんの少しぬくもりを感じられるようになってきた。
    「あ、また毛が生えてる。ここが眉、じゃあこっちが目」
     ふいに指先が目に触れそうになって反射的に目を閉じてしまった。本能的に眼球を守るように出来ている人体に感心していると、不機嫌そうな声が頭上から落ちてくる。
    「賢者様、目開けて」
    「見えてないんですよね?」
    「指先の感覚でわかるよ。早く開けて。間違って刺しちゃうかもしれないけど」
    「そ、そんなこと言われたら開けられませんよ!」
     これも冗談が冗談で済まないパターンになりかねないと声を張り上げるものの、無作為に肌を引っ張られて恐る恐る目を開くしかなかった。
    「いたっ、痛いです……!」
    「ちゃんと開けた? 見てないと僕が触ってるのが当たってるかわからないだろ」
    「そ、そうですけど……」
    「ちゃんと見ててね、賢者様」
     目元が隠れていても、蠱惑的に微笑む顔が脳裏に浮かんで、思わず目が離せなくなる。こんなにも綺麗に笑う人を知らない。
    「こっちが右目、こっちが左目」
     開いた目の睫毛を撫でるように指先が動く。反射的に目を閉じないように、しっかりと目を開いてそれを見届けてから、正解であることを伝えた。
    「案外簡単だね、これ。ここが目なら、こっちが鼻だろ?」
     飽き始めているのか、最初の探るような手付きから雑に鼻の輪郭を指でなぞってくる。
    「本物の顔は凹凸がありますからね……」
     そもそも福笑いは平面の絵を使って遊ぶものであって、これとは似ても似つかない遊びだ。これでは飽きてしまうのも頷ける。紙で作ったもので改めて遊ぼうと言おうとしたとき、鼻先が捩じり上げられ悲鳴にも近い声が上がる。
    「ひっ! ぎゃ、いた、いたっ」
    「あはは、最高に間抜けな声。ねえ、いまどんな顔してるの? 見てもいい?」
    「まだ全部当ててないから駄目です!」
     断るところはきっとこれじゃないのだけれど、咄嗟に出た言葉がこれなのだからどうしようもない。なんだかんだ言いつつ、自分もこの遊びが楽しいのだろう。
    「目隠し取ったらもう一回やってあげる。またとびきりの悲鳴、聞かせてね?」
     甘ったるく強請る声に全く似合わない要求なのに、好きにしてくれと言ってしまいたくなるのだから、惚れた弱みというのはつくづく厄介なものだ。
    「もう好きにしてください……」
    「ふふ。やった」
     顔に触れていた手を離して、手を叩いて喜んだオーエンは、鼻歌でも出てきそうなほど上機嫌だ。
    「あ……残り、口だけだったのにこれじゃどこかわからないな」
     顔から離れた手は、探るように胸元に添えられて、そこからゆっくりと上に登ってくる。昼下がり、いつ誰が来るかわからない談話室。そんなことを忘れてしまいそうになるほど、隠れた目元に焦らされていた。
    「ああ、見つけた。僕の勝ち」
     その指先が唇に触れたとき、とびきり甘い物を見つけたようにオーエンの頬が緩んだように見えた。そして、目を覆っていた布が押し上げられて、色違いの瞳が現れる。その瞳が焦がれていたよりもずっと綺麗で、素込まれてしまいそうだ。
    「けん……ん、ん……」
     もっと近くで見たくて、おもむろに顔だけを引き寄せると薄く開いていた唇に吸い付いていた。その瞬間、色違いの瞳がはっと見開いてすぐに蕩けたドロップのように細められた。拒まれることもなく、突然の口付けは受け入れられ、時々舌を絡ませながら、長く深くそれは続いた。
     体を寄せ合って、長く、深く、甘く、どこまでも堕ちていてしまいそうなキスに溺れて、熱くなった身体を押し付けるようにして腰を引き寄せると、ピタリとオーエンの指先が唇に押し当てられる。
    「ん……こら。悪い子」
     わずかに息を乱したオーエンは、やんわりと制止したようにも見えるけれど、その瞳の色は制止とは真逆の色をしていて思わず息を飲む。このまま食い殺されてしまっても後悔しないほどに綺麗な色だ。
     そうして見惚れていると、乗り上げたまま抱き着いてきたオーエンが耳元で囁く。
    「ここでしていいの?」
    「え……あ、良くない、ですね……?」
     そう。ここは魔法舎の中にある談話室。いつ他の魔法使いたちが入ってきてもおかしくない場所だ。頭ではわかっていたはずなのに、理性が働くことを煩悩が許さなかったのだろう。始まったばかりのこの一年も、理性は勝つことが出来ないのだろうか。
    「除夜の鐘……いまからでも間に合うかな……」
     抱き着いている背中を撫でながら、煩悩の払い方を考えていると、そんなことはお構いなしの小さい悪魔が耳元で囁いた。
    「続き、しないの?」
    「部屋、行きましょうか……」
    「僕の気が変わらないうちにね。それから、お前の部屋は駄目。だって人が来るかもしれないだろ」
     この小さい悪魔は、理性と煩悩のことなど露知らず、どこまでも惑わせて鐘を鳴らすことを許してくれないのだ。それならば、目の前の鐘を鳴らさずして何を鳴らすのか、浮足立った気持ちを隠すように二人、談話室を後にした。

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    夕映(ゆうえ)

    REHABILI去年末にリクエストをいただいたもの!です!
    クリスマスどころか正月も終わってバレンタインの季節になっちゃいました……。
    筆が遅い上に最近まともに文章書いてないからこれ以上こねくり回すとお蔵入りしそうだったので上げます。遅くなりましたが、リクエストありがとうございました!
    「賢者様って、顔に似合わずロマンチストだよね」
    「……それ、褒めてませんよね」
    「ふふ、どうだろうね?」
     街灯に背を預けたまま、オーエンは目を細めて言った。声色も、その仕草も、からかっているときのそれだ。
     けれど、そんな他愛のない戯れの時間が、案外嫌いではなかった。こんな風になるのは二人きりのときだけで、心を許されているような、そんな気持ちになるからだ。まして、二人きりでお忍びデートのようなことをしているのだから、自惚れではないと思いたくもなる。
    「それで、なんだっけ。プレゼントを持ってくるのが、サンタコロスで……」
    「サンタクロースですよ」
     オーエンは時々、自分に馴染みのない言葉をおぞましい単語に置き換えて言ってくることがある。本気で言っているのか、ふざけて言っているのかわからないけれど、楽しそうにしていることが多いから、きっと後者なのだろう。
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    夕映(ゆうえ)

    REHABILIオアシス!🌴バカンス!🏖️なのにあまり自カプがはしゃいでいなかったので思いっきりバカップルさせてみた。めちゃくちゃ体の関係があることをにおわせています。
    本当は、強くて怖い北の魔法使いオーエンムーブをぶちかませたかったんだけど無理だった😉✨
    相変わらずねこちゃんみたいなオエととことん好きな女を甘やかしてしまう晶。
     住民の好意で用意してもらった宿屋の一室で、今日あったことを振り返りながらうとうととしていたとき、静かに揺り起こすようなドアを叩く音で現実に引き戻される。
    「賢者様、いる?」
    「……ん、オーエン、ですか?」
     部屋に訪ねてきたのは、このバカンスのためにとクロエが用意してくれた衣装に身を包んだオーエンだった。
    「へえ、部屋にいたんだ」
     ベッドの上でくつろいでいる姿を見るなり、意味深めに目を細めて音もなく近付いてくる。
    「部屋じゃなかったらどこにいるんですか」
    「さっき、飯屋で女たちに囲まれてただろ。満更でもない顔してた」
     今日の夕飯は賑やかなものだったけれど、この地に来てからほとんど一人で過ごしていたオーエンはあの場にはいなかったはずだ。けれど、にやにやと語る姿を見るに、どこからから見ていたのだろうということは容易に想像が出来た。
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