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    ナナシ/ムメイ

    @refuge774 @mumei_774
    ゲッター(漫画版と東映版中心/竜隼)書いて一旦投げる場所に困ったのでここに。推敲したのはpixiv(https://www.pixiv.net/users/1604747)に。■→推敲格納済
    なにかあればましまろにどうぞ↓
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    ナナシ/ムメイ

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    漫画版。誤解を招きそうなことを書いてしまうかもしれないとは思いつつ、一度は書いておきたかった。

    戦場の中の理性、心を描いていたあの作品には東映版にも漫画版にも思うところは多いです。

    ■ 八月十五日今年も浅間高原の空は綺麗に晴れていた。
    数ヶ月前、皆が集まり今年は敵に目標とされる心配もないと賑やかに鯉のぼりを掲げた場所も今は水を打ったように静かで、周囲から聞こえてくる蝉の声だけが響いている。
    そんな中で夏休み中の元気に付き合っているラジオ体操が始まる前にと、早乙女博士から半旗の掲揚を引き受けた隼人と竜馬の二人がロープに旗を括り付けていた。
    朝日に目を細めながらガラガラと音を立てて青空に旗を掲げ半分まで降ろせば、夏とはいえこの時間であれば肌寒くすら感じる高原の風が、青の中に浮かび上がらせるかのように日の丸の旗を靡かせる。
    「そういや、半端に降ろすのはなんなんだ?」
    「半旗って言ってな、弔意を表すんだとよ」
    へえ、と感心するような声を上げて空を見上げる竜馬を横目にロープを片付け、隼人は自分もその横に並んだ。
    今や表立って明確に政府と関わりがあるこの研究所では、それ以前の設立当時から早乙女博士の方針によりこの日に半旗を掲げているという。

    八月十五日。終戦記念日。

    ほんの数ヶ月前、その主張と一方的な侵略に「植民地主義の復活」「選民思想の亡霊」などと世界各国で騒がれた恐竜帝国や百鬼帝国との戦いは彼ら――人類の勝利という形で幕を下ろしていた。
    日本の有するゲッターロボが未曾有の世界的危機を食い止めたという事は、各国からの支援を受けるに充分な理由ともなった。反面、強大すぎる力ではあり、いまだゲッターロボとゲッター線研究を巡っての交渉は続いている。
    二年あまり複雑な気持ちで見上げた半旗とこの日を、今年は終わったのだという安堵と感慨をもって迎えることができるのはどれほど幸いだろうか、と隼人は朝風に髪を遊ばせながら思った。
    自分達に未来を託し先立ってしまった武蔵がいれば、どれほど良かっただろう。竜二をはじめとする数々の犠牲も。「もしも」など叶いもしない夢想と知っていて、そう思う事は止められなかった。
    ……焦土と化した土地も失った命も蘇る訳では無い。けれど、これ以上の犠牲は出ないはずだ。
    そして、失われたものを無為にしないためにも、まだ自分にはやるべき事がある。
    「戦没者を追悼し平和を祈念する」と共に自分にはそう確かめるような日だとも、隼人は感じていた。

    「……俺らは勝ったから良かったけどよ、三十年前の親父達や早乙女博士はどんな気持ちだったんだろうな」
    不意に耳に落ちてきた声に目をやれば、竜馬が真っ直ぐに空を見上げていた。他意は無く、純粋にそう思ったのだろうとはその目を見ればわかる。
    自分たちが産まれるより前に起きた戦争の事は、よく知らない。そこに生きた人達の気持ちも。が、それが起きた事自体が過ちだったのではないかとは、戦場を目の当たりにしてからは尚更に思うようになっていた。
    「……俺たちとは事情も違うからな。なんとも言えねえよ」
    必要ならば自分では好きではない「わかったフリ」もするが今は必要も無いと、隼人もやはり素直に思うところを口にすれば、ぱちぱちと竜馬が目を瞬かせた。
    「俺もわかんねえな」
    ニッと笑って返された言葉は口にしてもいない自分の考えへの同意のようでもあった。
    生まれも育ちも異なり、ゲッターロボのパイロットとならなければ出会うこともなかっただろう自分達は不思議と、時々よく似ていた。
    あの失ったものも数多い過酷な戦いの中で、自分たちの生きる権利、未来以外に得たものがあるなら。
    隼人はふと頭をよぎったそんな考えに、傍らの戦友を見る目を細めた。

    「俺らの戦いが終わった日も半旗あげたりすんのかな」
    「早乙女博士ならやるかもな……けど、俺はわざわざ国をあげての祝日にはしてくれない方がいいね。一年に一回でいいよ、こういうのは」
    増えねえ方が、起きない方が良いよ、ああいうのは。
    ああ、そりゃあ、違いねえや。

    二人並んで見上げた空に、風は血や焼け跡のにおいなど含まぬまま吹き抜けてゆく。
    願うならば、遥か彼方まで、これからも、そうであればいい。
    今なお、叶わぬ願いと知りながら、隼人は空を仰いだ。


    「おっと、そろそろラジオ体操が始まっちまうぜ、隼人」
    「戻るとするか……あ、武蔵に持ってく花どうする」
    「あいつなら花より団子じゃねえか、弁当多めに作ろうぜ。どうせ弁慶が食うだろうしよ」
    「作るのは俺たちだから、そりゃいいがよ」
    「わかった! 飾り切りで弁当に花入れりゃ良くねえかキュウリとかのあったろ」
    「お前それ俺が前見せた奴じゃねえかよ、やれってのかよ、今から」
    「まだ六時過ぎだし」
    「お前も手伝うんだろうな」
    「自慢じゃねえけど握り飯とか簡単なのしか知らねえ」

    正午。
    早乙女研究所を望む小高い丘の小さな石碑の前、揃って黙祷する三人の姿があった。

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    ナナシ/ムメイ

    DOODLEアイサガ軸のチェンゲ竜隼。バレンタインとかホワイトデーとかの時期を盛大に逃したけど今出さないと完全に忘れるだろうので。
    適当に色々ぼかしてあるので、「アイサガ隼人の好物はエネルギーバー設定」だけ知ってればチェンゲで読めると思います。(そもそもチェンゲ本編は再会してから時間無さすぎでこんな話やれるはずないのは置いといて)
    好きにしたいだけ今日は元の世界で言うところのバレンタインデーだかなんだか、らしい。
    そんな習慣がこっちにもあるのかと不思議になったが、恋人やら家族やらへの感謝の日みたいなもんがあるって事は、誰かに感謝とか好意を伝えたい人間がそれなりにいたって事だろうし、悪くねぇと思う。

    女からチヤホヤされたいか、と言われれば、性別どうのじゃなく好意を貰えばそりゃ嬉しい。が、好意のフリだけしたご機嫌取りだの媚びだのは昔から遠慮願ってたくらいには興味がねえし、いっそ煩わしい。口にこそ滅多にしねえが。
    もし、愛情の形とか貰えるなら、大事に思う相手からだけで良いし、なんなら貰うより送る方が性に合ってる――それが誰か聞かれたら困るが。

    コートのポケットに突っ込んだままのエネルギーバーを思い出して軽く眉を顰める。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLE1本目→寒すぎて五半をくっ付けたかった。(動機に邪念しかないがまた銀婚式夫婦)
    白狐の毛皮は秋野さんが前に書いたネタから拾いました。手入れすれば長持ちするんだそうで。
    羽織は戦国時代からとか調べはしたけどなんか違ってるかもしれない。

    2本目→でっかーい五右衛門がちっちゃな柘植櫛摘まんでにこにこ半蔵の髪すいてたら可愛いなって

    (言葉遣いは元が割と現代風混じってラフなので細かくやってません)
    ■ 冬の五半╱ぬばたまの動物というのは人が思うより頭が良い。
    息も白む冬の最中、いつの間にやらするりと入り込んだ猫が書き物机の隣に置いた火鉢に背を着け丸まり、ごろごろと喉を鳴らしていることなどもままある。

    しかしまあ、逆に時折、人であっても動物より頭がよろしくないのではないか、と思う時もある。
    半蔵は暫し席を立った間にどこから乗り込んで来たやら、火鉢の傍で身を縮めていたそれに溜息付きつつ呼びかけた。

    「……五右衛門」
    「なんだァ?」
    「冬の間は山越えが危のうてかなわぬから、滅多に来るなと言うたじゃろう」
    熊かと思うて背筋が冷えたわ、と半蔵は帯に忍ばせた短刀を再びしまいながら呟いた。火鉢の前に黒い毛皮の小山が見えた時には本当に熊かと思い一瞬肝を冷やしたのだった。
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    ナナシ/ムメイ

    DONEネオゲ本編後竜隼。
    あの世界の竜馬はどうして研究所離れて、二人は五年間何考えて過ごしてあの後どうしたんだろうとか。

    ネタとしては粗方見終わった直後にはあったんですが、データ二回飛ばした(主な理由)り、書こうとしては原作と根本的な軸や核が色々噛み合わなさすぎることに悩んでこんな時間かかり……。
    原典周りから色々設定引っ張りながらネオゲの本編内容ある程度組み込んでるつもりです。
    ■ もう一度、何度でも五年、という月日は短かったのか、長かったのか。

    ……さっぱりわからねえな。なにもかも。
    そう胸の中で独りごちながら、竜馬は縁側で一人煙を燻らす隼人を眺めた。
    黒いスラックスに白いワイシャツ。ネクタイが外されて見える首元に、今はあの十字架の鎖も無い。

    恐竜帝国の再侵攻、そして六年近くに渡っての戦いの決着からしばし。
    あの日、あの瞬間、中天で輝いていた太陽の代わりのように月が静かに秋の夜闇を照らしていた。
    山中にあるこの烏竜館は、今は自分達以外に人もおらず、まだ手入れの行き届いていない庭の草むらからは澄んだ虫の声が響く。
    長い脚を持て余す様に片膝を立てて縁側に腰を引っ掛け柱を背に寄り掛かる隼人の姿に、竜馬は不意にいつか早乙女研究所のバルコニーで手摺に腰掛けていたその姿を重ねた。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLERe:ハニー小ネタだけど竜隼。そういえば二十周年なのかと気付いたので、記念的に。
    資料未所持で本編だけ見て書いてるのでなんか違っても許して。

    映像や脚本も良かったし単純にポップでキュートでビビッドで派手で外連味があって面白かったけど、「ダイナミック漫画作品における戦闘シーンのお顔これだー!!」感があってそういう所もとても好きです。
    今度こそ二人共に並んで生きてくれ、みたいな祈りを感じるところも。
    ■ CROSSING《Re:ハニー》前半→ハニーとなっちゃん
    原作は漫画版しかきちんと見てませんが、例えご都合主義でも違う世界と人々であってもあの終わり方は嬉しかったです。
    「友」は少なくとも石川ゲッターロボでは本当に愛した存在にこそ向けられる言葉なので、そのニュアンスで。
    後半→「早見」と「誰か」
    説明めんどくさいから極端に簡単に言うと、Re:ハニーはハニーだったけど同時に石川ゲッターロボだったし、早見は竜馬寄りで隼人混じってたよね?って前提で、なら早見にも相方いてもおかしくないよね?っていう。


    =====


    「あのね、なっちゃん」
    「なに、ハニー?」
    「えへへ、んーん、呼んでみたかったんだぁ」
    「なによ、にまにましちゃって。ほら、片付け終わってないじゃない」
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