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    Legenders/おいしい内訳
    差し入れのどら焼きを分け合う話

    ##Legenders

    Legenders/おいしい内訳:差し入れのどら焼きを分け合う話 これから共演する予定のタレントは、楽屋挨拶の際にLegendersへとどら焼きの入った小箱を差し出した。
     楽屋で箱を開けると店名の焼印が押されたどら焼きは五個並んでいる。中に挟まれた餡に違いはないらしく、蓋を持ったままの想楽の上からクリスと雨彦はどら焼きを覗き込む。
    「まずはひとつずつ、だろう?」
     言いながら雨彦は一列に並んだどら焼きのうち、想楽の手元から一番遠いものを取る。
    「はい」
     うなずくクリスは、続けてどら焼きをひとつ手にして。
    「プロデューサーさんにもお渡ししましょう。――私はこのあと打ち合わせがあるので、プロデューサーさんの分は私がお預かりします」
     さらにもうひとつを取って、クリスはふたつとも鞄の中へ。
    「よろしくねー」
     声をかける想楽の目の前には、どら焼きがふたつ。
     雨彦はどら焼きの包みの裏の成分表示を眺めてから、気のない様子でどら焼きをテーブルに置く。どら焼きを鞄にしまったクリスは鞄から何か本を出して読み始めており、二人ともまるでどら焼きには興味がなさそううな態度を取っていた。
    「残りふたつかー」
     あえて声を上げて、想楽はどら焼きをひとつ、取る。
     持ち重りがするどら焼きは触れただけで密度が感じられた。時間を確認すると、収録開始まではまだ余裕がある。封を開けてどら焼きを食べはじめると、餡の重みが口の中で心地よかった。
     食べ終わるまでにそう時間はかからない。残りひとつになった箱の中のどら焼きをしばらく眺めていると、背後から「北村」と雨彦の声が聞こえた。
    「どうしたのー?」
    「俺はこのあと掃除の予定があってね。食べ物は持ち歩きたくないところだ。――古論もどうせ、このあとは海でも行くんだろう?」
    「雨彦はよくお分かりですね! 打ち合わせが終わったら、プロデューサーさんを素潜りに誘おうと思っています!」
    「……というわけでね、素潜りにどら焼きは連れて行けないだろう?」
    「――仕方ないねー」
     あからさまな溜息は、互いの意図が通じ合っている符号のように。
    「そういうことなら、最後の一個は僕がもらっておくからー」
     思い通りに進んだ筋書きに、想楽の言葉は跳ねるようだった。
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