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    市川雛菜:みちゆき:雛菜がトールと再開する話(G.R.A.D.後、LP前の時系列)

    市川雛菜:みちゆき:雛菜がトールと再開する話(G.R.A.D.後、LP前の時系列) ドラマ撮影の現場に、トールの名前があることに市川雛菜は気づいていた。
     雛菜は学園ドラマにおけるヒロインの友達役で、トールはヒロインが通う高校の教師の弟役。共演する場面はないはずだが、現場に入った雛菜に彼は駆け寄った。
    「久しぶりだね」
    「お久しぶりです〜」
     セーラー服姿の雛菜と違い、彼は私服のようだ。ヒロインの自宅のセットが組まれたスタジオ内をスタッフたちは忙しなく動き回っているが、トールと立ち話をするくらいの時間はあるだろう。
    「また同じ番組に出られて嬉しいな」
    「……あ〜」
     撮影のタイミングは合わず、視聴者が観る画でも雛菜とトールがひとつの画面に映ることはない。同じ、という言葉に引っかかるものは感じながらも、彼にそれを伝える必要はなさそうだった。
     いくつか交わす言葉は他人行儀に上滑りするばかり。沈黙が増えるごとに雛菜の意識はトールから逸れていき、そんな雛菜を繋ぎ止めるようにトールは雛菜に問いかける。
    「――まだアイドルを続けてるんだね」
    「……。――そうですよ〜?」
     喧騒が遠のく。
    「アイドルは窮屈だよ」
     したいことも出来ない、とトールは囁く。
    「――雛菜は、そうでもないですけど〜」
     笑う雛菜の目線の先にはトールの姿。
     視線は決して外さなかった。
    「やりたいこと、やっていいよ〜って言ってもらってるので!」
    「……………………そうなんだ」
     トールの微笑は、何かを諦めたようにも見えた。
    「……雛菜、そろそろスタンバイしますね〜?」
     にこりと笑った雛菜はトールから離れて、セットの中に入る。
     視線を張りつくようだと感じながらも口にはしない。代わりに雛菜は、テスト中のカメラに向けて笑顔を向ける。
    「雛菜、かわいく撮れてますか〜?」
     何よりもアイドルらしく。
     誰よりも自由に、笑った。
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