ジンジャーボーイ/初雪のプレゼントジンジャーボーイ
トリオン体は生身の痛覚や不快感をオフにできる便利なものだけど、それでも12月ともなると寒さが堪える。
荒船が自動販売機の前でホットの緑茶とほうじ茶、どちらにしようかと悩んでいると、
「お疲れ様です」
と奈良坂が声をかけた。
「おう、お疲れ」
ほうじ茶のボタンを押して、ペットボトルを手にとるとついでにもう一本分小銭をいれる。
「お前もなんか飲むか? 」
「ありがとうございます。じゃあ、同じやつで」
「了解」
ほうじ茶のボトルを渡してやると、交換するように透明な袋に入ったクッキーを渡された。
「途中のパン屋で買ったんで、よかったら」
「お、うまそうだな」
赤いリボンをほどいて、取り出してみるとひとの形をしたジンジャーボーイクッキーで、かわいらしい顔がアイシングで描いてある。
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