クリスマスプレゼント 姉がクリスマスコフレを買いに行くというので、澄晴はデパートに付き合わされた。
華やかなコスメカウンターはいつにもましてキラキラしてて、クリスマスツリーやジングルベルの曲が気分を盛り上げる。
二種類あるコフレのどちらにしようと姉が悩んでいる横で、澄晴の鼻先を甘い匂いがくすぐった。
隣のいくつかのブランドをセレクトしたフレグランスのコーナーから漂うその香りは、洋梨や桃のような果物の香りとバニラの甘い香りが混ざり、親しみやすさと目新しさを感じさせるものだった。
飾りのない、まろやかな瓶に収められたその香水をまじまじと見ているとすぐに販売員が近づいてきて、朗らかに勧めてくれた。
ムエットに吹きかけてもらった甘い匂いを嗅いでるうちに、甘い物が好きなチームメイトの顔が脳裏に浮かぶ。
1979