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    たまちん

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    たまちん

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    留文ワンライ大遅刻参加
    お題「肉」
    非転生系現パロです(大学生か社会人かは特に決めてない)

    #留文
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    沢山食べる君を見たいじゅうじゅうと脂を滴らせ、網の上で焼かれながら若い胃袋を誘惑に誘うソレを見つめながら、文次郎は「何だかなぁ」と胸の内で独り言ちた。
    芳しい香りを放つ煙の向こう、艶々とした白米に焼き上がったソレをのせ、くわっと大口を開き食われる方も光栄だろうと思えるほどの食べっぷりを見せるのは不倶戴天の犬猿の仲、食満留三郎その人である。
    文次郎の視線に気付いた留三郎が訝しげな顔をしたので、溜息をつきながら目を伏せ食べ頃になった肉を箸でつまみ上げた。
    いや、やっぱり何なんだこの状況はと再度文次郎は頭を悩ませた。


    事の発端は1週間程前、たまには外食でもするかと思いつくまま街に出た日に遡る。
    外食と言っても何を食べるかは特に決めてなかったので、取り敢えず目について気になった店に入ろうと彷徨いていた所、同じ様に身軽な様子でいた留三郎と目が合ってしまった。そのまま予定調和の様に口喧嘩からの小競り合い…からの大食い勝負が始まる事となる。不運にも、偶々2人の側で大食いチャレンジを開催していたラーメンのチェーン店があった故に。
    勿論、チャレンジメニューでは勝負にすらならず、更新したチャレンジタイムを尻目に追加の炒飯やら餃子やらで雌雄を決そうとし…「頼むからこれで勘弁してくれ」と手渡された伝票と同企業の焼肉店の商品券を渡されたところで2人は正気に返ったのである。売り上げ的には感謝されようが、今は飯時真最中。不満そうな待機客の群れに疲労困憊の店員達を見、羞恥で顔を真っ赤に染めて会計後揃って飛び出したのはまだ鮮やかな記憶である。

    まあそんな訳で、あまり思い出したくない記憶と結び付く商品券を文次郎は親友たる仙蔵と早々に使ってしまったわけだが、留三郎の方はまだ財布で温めていたらしい。いきなり予定が無いかと聞かれ、無いと答えれば「食いに行くぞ、肉」とそのまま連れ出されたのがここまでの経緯である。
    序盤から2人分にしては盛々と肉を注文するもんで、そんなにペースを飛ばすなとか、支払いを考えろと文句を付けたが返ってきたのは「負けるのが怖いのか?」等と普段なら当たり前の煽り文句ではなく、「支払いは俺がするから取り敢えず食えよ」と全くもって不気味この上ない返事であった。
    釈然としないが肉に罪はない。半ば開き直って素直に芳ばしい肉を噛み締めた。


    「なあ、なんで焼肉なんだ」
    沈黙の中黙々と酒もなく肉を食べ続けていたが、このまま悶々とした気持ちを抱えるのも嫌なので文次郎は零すように尋ねる。言外に、何故仲の良い伊作でなく俺なのかと含ませて。
    一瞬視線が絡み時が止まる。文次郎の言わんとした事を汲みったのだろうか。恐らくそうなのだろうのが、問われた留三郎は素気無く目を伏せ、その仕草と見合った調子で答えを吐いた。

    「この店で一人じゃ食いづらいだろ焼肉。それにお前ならこの位食えるだろうし」
    全くもって意味がわからなかった。確かに長い付き合いではあるし、ある意味では気の置けない仲ではある。が、かと言って和気あいあいと過ごす相手でもなし。全くもって文次郎には意味が分からなかった。留三郎は留三郎でもういいだろと言わん態度で引き続き肉を味合う作業に専念している。偶に理由のわからない言動をするが、いっそ野生動物でも相手にしているような気分だと文次郎は溜息をつきたくなった。そこで、野生動物と言えばと、文次郎はふと思い出したことを口にした。先日かけ流しでつけていたテレビで、偶々流れてきた動物特集の一場面の解説。深い考えではなかったが、ふと直感的に結びついたそれを。
    なんだか…


    「求愛給餌みてぇだな」


    野生の生き物が、愛を請うために相手に餌を差し出す行為。零すように呟く文次郎。口にしてから、思わず口に出ていた事実に気付き目線を上げると、向かいの留三郎は目を見開いて此方を見返していた。そのままぱちぱちと2、3度瞬いた後、鋭い切れ長の目を胡乱げに伏せる。その態度たるや「寝言は寝てから言え」と、誰が見てもそう分かるものだった。
    そうだよなぁ、あの留三郎だもんなあ。
    口にした文次郎自身もそれだけは無いだろうとまたため息をついた。全くもって馬鹿げた発想だった。あの留三郎が己に求愛等と。ましてや、仮に暇つぶしに気を引きたいとしても行動が素直じゃない上に動機が幼稚すぎる。いい加減ちょっと自分は疲れているのかもしれないと、それきり文次郎も肉を楽しむことに集中しようと決めたのであった。













    「…恋愛音痴なのに、こんな時は妙に勘を鋭くさせやがって。もんじの癖に」

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    たまちん

    DONE大遅刻参加留文ワンライ
    お題「隠し事」
    ※特殊設定あり
    一万年と二千年前から潮江文次郎には奇妙な友人がいる。
    名を食満留三郎。自分含め、揃いも揃いに時代遅れの古臭い名をした友人たちの中でもとりわけ変わったやつである。
    この男、後輩の面倒みもよく、今時珍しい中小エスカレーター式の学校で小学校の後輩が泣きついてきた時には甲斐甲斐しく世話を焼いてやってるし、家が隣同士で生まれた時から付き合いのある共通の友人、伊作にも優しい姿を見て恋に落ちる同世代の女子は決して少なくなかった。が、引く手数多である筈なのにこの男、成人式すら終わり30を目前にした今でも恋人1人出来た試しがなかった。
    半分は「そりゃそうなるだろうな」と思うが、もう半分は全くもって分からない理由故だった。
    留三郎はこの俺が言うのもなんだが気立てはよく、男から見ても付き合いやすいいい奴である…いい奴なのだが何かと互いの癇に触る事多々あり。口を開けば口喧嘩、寄れば触れば小突き合いと自他ともに自覚するほど犬猿の仲なのである。不思議に思われるだろうが、普通に会話したり食事したり、幼馴染連中と宿題をやったりは日常茶飯事の事なのである。なのだが、互いに気付けば諍いに発展しともすれば殴り合いの喧嘩まで発展する。
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    たまちん

    DONE留文ワンライ大遅刻参加
    お題「肉」
    非転生系現パロです(大学生か社会人かは特に決めてない)
    沢山食べる君を見たいじゅうじゅうと脂を滴らせ、網の上で焼かれながら若い胃袋を誘惑に誘うソレを見つめながら、文次郎は「何だかなぁ」と胸の内で独り言ちた。
    芳しい香りを放つ煙の向こう、艶々とした白米に焼き上がったソレをのせ、くわっと大口を開き食われる方も光栄だろうと思えるほどの食べっぷりを見せるのは不倶戴天の犬猿の仲、食満留三郎その人である。
    文次郎の視線に気付いた留三郎が訝しげな顔をしたので、溜息をつきながら目を伏せ食べ頃になった肉を箸でつまみ上げた。
    いや、やっぱり何なんだこの状況はと再度文次郎は頭を悩ませた。


    事の発端は1週間程前、たまには外食でもするかと思いつくまま街に出た日に遡る。
    外食と言っても何を食べるかは特に決めてなかったので、取り敢えず目について気になった店に入ろうと彷徨いていた所、同じ様に身軽な様子でいた留三郎と目が合ってしまった。そのまま予定調和の様に口喧嘩からの小競り合い…からの大食い勝負が始まる事となる。不運にも、偶々2人の側で大食いチャレンジを開催していたラーメンのチェーン店があった故に。
    1885

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    沢山食べる君を見たいじゅうじゅうと脂を滴らせ、網の上で焼かれながら若い胃袋を誘惑に誘うソレを見つめながら、文次郎は「何だかなぁ」と胸の内で独り言ちた。
    芳しい香りを放つ煙の向こう、艶々とした白米に焼き上がったソレをのせ、くわっと大口を開き食われる方も光栄だろうと思えるほどの食べっぷりを見せるのは不倶戴天の犬猿の仲、食満留三郎その人である。
    文次郎の視線に気付いた留三郎が訝しげな顔をしたので、溜息をつきながら目を伏せ食べ頃になった肉を箸でつまみ上げた。
    いや、やっぱり何なんだこの状況はと再度文次郎は頭を悩ませた。


    事の発端は1週間程前、たまには外食でもするかと思いつくまま街に出た日に遡る。
    外食と言っても何を食べるかは特に決めてなかったので、取り敢えず目について気になった店に入ろうと彷徨いていた所、同じ様に身軽な様子でいた留三郎と目が合ってしまった。そのまま予定調和の様に口喧嘩からの小競り合い…からの大食い勝負が始まる事となる。不運にも、偶々2人の側で大食いチャレンジを開催していたラーメンのチェーン店があった故に。
    1885

    SHIZUKa_moji

    MEMO留文
    メモに残ってたのでどこかに載せた再掲かも
    ふと、思い立っただけだ。
    たまたま行列が出来る程の団子屋があって、気まぐれに並んでみて、並んだからと団子を買い、 持ち帰る途中で偶然お前を見付けたから、団子をやろうと思った。
    「それだけだ」
    「………………なるほど」
    「なんだその間は!?」
    「いや、お前も大概だと思ってな」
    鍛練帰りの鍛練馬鹿は秋風吹く中で汗を垂らしている。
    「素直に俺への土産だと言えよ。甘い物なんかそんな食わない癖に」
    「食わない事はない!一本くらい食う」
    「ならなんで包み三つもあんるんだ」
    「これは伊作達用。これは後輩達用」
    「もう一つは?」
    「あーもううるさい!食うのか!?食わねえのか!?」
    「食う」
    くつくつと笑い出されて気まずいが、まぁいい。包みを一つ押し付けて去ろうとすれば、何故か腕を捕まれた。
    「な……なんだよ」
    「実は、鍛練前にちょっといい茶葉を手に入れたんだ。団子の礼に飲みに来い」
    あまりしない子供っぽい笑みを浮かべながら、言葉に挑発を含んでいる。これは嬉しい誤算かもしれない。
    「ならちょっと遅い月見でもするか」
    「いいぜ。月見が出来ればの話しだが」
    「っ、なんだよ。珍しくやる気だな」
    「お前が誘った 801

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