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    たまちん

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    たまちん

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    留文ワンライ遅刻参加
    お題「居酒屋」
    (詳しくないのでフィーリングで読んでください)

    なおこの2人まだくっついてない
    (一部修正)

    #留文
    leaveAMessage

    深夜の居酒屋事情「おう、まだやってるだろ」

    そんなぞんざいな物言いで暖簾を潜った男の顔を見て留三郎は嫌な顔になった。
    よりによって何かとぶつかり合う同輩が閉店間際に来店すればそりゃあ変な顔の一つや二つするだろう。

    「てめぇもんじ、なにしに来やがった」
    漸く最後の客も捌け、これから店仕舞いをしようという時のこれである。勿論、これで冷やかし等と言おうものならボッコボコに叩きのめすのは太陽が東から昇ることと同レベルの常識なので敢えて口にはしないでおく。
    「分かるだろ、酒と飯」
    日本酒1合、今季のやつ辛口で…と要望を口にし、此方の返事を聞く前に何故か持参していたスーパーの袋を漁り始めた。取り出したのはなんと青銀の肌艷やかな鯖が2匹。その他にも出来合いの白和えやら金平まででてくる始末。おい、お前ここを何だと思っている。
    「暖簾外してくるからちょっとまて」
    本来なら入り口も施錠している時間である。一応友人である潮江文次郎が最後の客なのだ。この論外の訪問にこれ以上便乗されるのはさすがにきつい。留三郎が暖簾と看板を店の入り口にしまい込んでいる間に文次郎はおかずを皿に盛り、これまたスーツの上着を脱いでここの割烹着を羽織っていた。すでに鯖の脂の匂いが立ち始めている。

    「前からお人好しだと思っては居たが、まさかここまでとはな」
    割と好き勝手しながら苦言を零す文次郎を、留三郎は呆れた目で見遣るが、見られた事に気付いた文次郎の方も同じような半眼で留三郎を見返す。理由はこれだ、直球で言うがこの店は別に留三郎のものではないからだ。元々この店は留三郎が気に入っていて何度も通っているひっそりとした居酒屋だった。老夫婦と、若い男1人で切り盛りしている店だった。勿論文次郎も、留三郎に誘われて何度か来たことのある店である。しかし先週従業員の男が車にはねられ腕を折り、また店の主人たる夫も風邪を拗らせて入院したのである。1週間程で退院出来るという話ではあるが、流石に老婦人1人で店を開けるのは骨が折れるだろう。慌てて転けられて文字通り骨を折られても困る。故に事情を知ってしまった留三郎が、少なくとも主人が退院して落ち着くまではと名乗りをあげたのである。幸い、会社勤めでないのが幸いだった。フリーランス故昼間は今受けているだけの仕事の図面を引き、夕方からはこうして期間限定居酒屋の代打をやっているのである。これが、文次郎が留三郎をお人好しと呆れている理由である。
    文次郎が焼き上げた鯖を皿に盛る頃にはすっかり留三郎も店仕舞いを済ませていた。文次郎が食材を持ってきたのは、できるだけこの店の食材の在庫を減らさない様にするためでもある。単に、留三郎が食べたいと零していたのを聞いていたのもあるが。
    文次郎が割烹着を脱ぐと留三郎が文次郎気に入りの日本酒を徳利に入れて持ってきた。勿論代金はガス代諸々上乗せして支払うつもりである。

    「あぁ〜つっかれたー!」
    「おうご苦労さん」
    心底くたびれたという様子で留三郎が文次郎の横に座った。ちゃっかりお猪口を二つ持ってきてたのはわかっていたので、留三郎の分も注いでやる。文次郎が食前の文言を唱えている間、頂きます!と元気に手を合わせた留三郎が、皮のパリパリに焼けた塩鯖に箸を入れ、ふっくらとした白身を口に含むとお猪口の中身を一気に流し込む。
    「あー、これだよこれ。」
    酒精で赤らんだ顔を満面の笑顔にして喜ぶ様は、実は文次郎の好きなものの一つである。が当の本人は露ほども知らず、そして文次郎自身も打ち明けるつもりもない。ただ、お人好し故苦労する性分を阿呆だと思いつつも労ってやりたいのは、単なる学生時代からの情だけではない事も文次郎は分かっていた。以前、文次郎が焼いた魚を幸せそうに頬張って居たため好物なのだろうと当たりはつけては居たが、こうして喜ぶのを見ると態々深夜までやっているスーパーマーケットで探し回っただけの甲斐はあったと、文次郎も内心喜んだ。

    「なあ文次郎」
    「何だよ馬鹿留」

    何時もはこの一言ですぐ喧嘩になるというのに、仕事後の疲労か、それともアルコールで気分がいいのか、留三郎はニコニコと頬杖をついて文次郎を見つめたままである。
    「仕事辞めたらさ、俺たちで居酒屋やるのもいいんじゃないか?」
    「馬鹿言え、そういう話はせめて定年間際になってからしろ」

    人の気も知らないくせに、と文次郎はからりと笑った。
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    たまちん

    DONE大遅刻参加留文ワンライ
    お題「隠し事」
    ※特殊設定あり
    一万年と二千年前から潮江文次郎には奇妙な友人がいる。
    名を食満留三郎。自分含め、揃いも揃いに時代遅れの古臭い名をした友人たちの中でもとりわけ変わったやつである。
    この男、後輩の面倒みもよく、今時珍しい中小エスカレーター式の学校で小学校の後輩が泣きついてきた時には甲斐甲斐しく世話を焼いてやってるし、家が隣同士で生まれた時から付き合いのある共通の友人、伊作にも優しい姿を見て恋に落ちる同世代の女子は決して少なくなかった。が、引く手数多である筈なのにこの男、成人式すら終わり30を目前にした今でも恋人1人出来た試しがなかった。
    半分は「そりゃそうなるだろうな」と思うが、もう半分は全くもって分からない理由故だった。
    留三郎はこの俺が言うのもなんだが気立てはよく、男から見ても付き合いやすいいい奴である…いい奴なのだが何かと互いの癇に触る事多々あり。口を開けば口喧嘩、寄れば触れば小突き合いと自他ともに自覚するほど犬猿の仲なのである。不思議に思われるだろうが、普通に会話したり食事したり、幼馴染連中と宿題をやったりは日常茶飯事の事なのである。なのだが、互いに気付けば諍いに発展しともすれば殴り合いの喧嘩まで発展する。
    2780

    たまちん

    DONE留文ワンライ大遅刻参加
    お題「肉」
    非転生系現パロです(大学生か社会人かは特に決めてない)
    沢山食べる君を見たいじゅうじゅうと脂を滴らせ、網の上で焼かれながら若い胃袋を誘惑に誘うソレを見つめながら、文次郎は「何だかなぁ」と胸の内で独り言ちた。
    芳しい香りを放つ煙の向こう、艶々とした白米に焼き上がったソレをのせ、くわっと大口を開き食われる方も光栄だろうと思えるほどの食べっぷりを見せるのは不倶戴天の犬猿の仲、食満留三郎その人である。
    文次郎の視線に気付いた留三郎が訝しげな顔をしたので、溜息をつきながら目を伏せ食べ頃になった肉を箸でつまみ上げた。
    いや、やっぱり何なんだこの状況はと再度文次郎は頭を悩ませた。


    事の発端は1週間程前、たまには外食でもするかと思いつくまま街に出た日に遡る。
    外食と言っても何を食べるかは特に決めてなかったので、取り敢えず目について気になった店に入ろうと彷徨いていた所、同じ様に身軽な様子でいた留三郎と目が合ってしまった。そのまま予定調和の様に口喧嘩からの小競り合い…からの大食い勝負が始まる事となる。不運にも、偶々2人の側で大食いチャレンジを開催していたラーメンのチェーン店があった故に。
    1885

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    芳しい香りを放つ煙の向こう、艶々とした白米に焼き上がったソレをのせ、くわっと大口を開き食われる方も光栄だろうと思えるほどの食べっぷりを見せるのは不倶戴天の犬猿の仲、食満留三郎その人である。
    文次郎の視線に気付いた留三郎が訝しげな顔をしたので、溜息をつきながら目を伏せ食べ頃になった肉を箸でつまみ上げた。
    いや、やっぱり何なんだこの状況はと再度文次郎は頭を悩ませた。


    事の発端は1週間程前、たまには外食でもするかと思いつくまま街に出た日に遡る。
    外食と言っても何を食べるかは特に決めてなかったので、取り敢えず目について気になった店に入ろうと彷徨いていた所、同じ様に身軽な様子でいた留三郎と目が合ってしまった。そのまま予定調和の様に口喧嘩からの小競り合い…からの大食い勝負が始まる事となる。不運にも、偶々2人の側で大食いチャレンジを開催していたラーメンのチェーン店があった故に。
    1885

    SHIZUKa_moji

    MEMO留文
    メモに残ってたのでどこかに載せた再掲かも
    ふと、思い立っただけだ。
    たまたま行列が出来る程の団子屋があって、気まぐれに並んでみて、並んだからと団子を買い、 持ち帰る途中で偶然お前を見付けたから、団子をやろうと思った。
    「それだけだ」
    「………………なるほど」
    「なんだその間は!?」
    「いや、お前も大概だと思ってな」
    鍛練帰りの鍛練馬鹿は秋風吹く中で汗を垂らしている。
    「素直に俺への土産だと言えよ。甘い物なんかそんな食わない癖に」
    「食わない事はない!一本くらい食う」
    「ならなんで包み三つもあんるんだ」
    「これは伊作達用。これは後輩達用」
    「もう一つは?」
    「あーもううるさい!食うのか!?食わねえのか!?」
    「食う」
    くつくつと笑い出されて気まずいが、まぁいい。包みを一つ押し付けて去ろうとすれば、何故か腕を捕まれた。
    「な……なんだよ」
    「実は、鍛練前にちょっといい茶葉を手に入れたんだ。団子の礼に飲みに来い」
    あまりしない子供っぽい笑みを浮かべながら、言葉に挑発を含んでいる。これは嬉しい誤算かもしれない。
    「ならちょっと遅い月見でもするか」
    「いいぜ。月見が出来ればの話しだが」
    「っ、なんだよ。珍しくやる気だな」
    「お前が誘った 801

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    DONE※※※ 一切合切あなたの自己責任においてご閲覧ください ※※※

    夭折したミヒャエル・カイザーの天文学的遺産を相続した潔世一が、それを元手に社会貢献活動をすると決める話。ビジネスフレンド出演、御影玲王。

    作中の相続に関する描写は全てフィクションです。現実の法制度等には一切準じておりません。予めご承知おきください。

    2ページ目は付録です。
    地獄の沙汰まで余らせないミヒャエル・カイザーが死んだのは、彼が現役を引退した1年後のことであった。

    世間には病死であるとだけ発表されたが、正確に言うならば癌だった。発見されたときにはもう全身くまなく転移しており、緩和ケア以外の治療の選択肢がほとんどなかったという。本人から聞かされた話だから、多分本当のことだ。

    「この癌といや遺伝的形質を持つことで有名だが、あいにく俺の親戚は癌になるほど長生きしないクズばかりでな。お陰で気づくのも遅れてこのザマ」

    昨年に行われたカイザーの引退試合はそれはもう華々しくて、いや本当これでサッカーを辞める選手とは思えないほど悪辣で元気いっぱいだった。相手チームの心をベキベキにへし折りながら当然のように勝利し、やつはピッチの上を去った。マスコミもコーチ陣もチームの運営もみんなして引退の理由と今後の予定を尋ねたが、カイザーは決してまともな返答をしなかった。やけに芝居がかった台詞で、きっぱりと未練がないことだけを語っていた。
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