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    nonsugar _299

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    nonsugar _299

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    鍾タル。先生のことを考える公子。とっても短い

    #鍾タル
    zhongchi

    考えて、想う うっかり考え事をしていたらパンを焦がした。焦げたパンが独特の匂いと共にフライパンの上でぷすぷすと音を立てている。
    「あちゃあ……。作り直さなきゃ」
     タルタリヤは焦茶の食パンを一旦皿に乗せ、新しいのを焼くべく袋を漁る。どうして焦がしたんだっけ……。隣に置いた焦げパンを見つめながら考える。焦茶、焦茶……龍の尾の様な髪が脳裏によぎって、……あ、先生のこと考えていたんだった。次いつ会おうか、場所は……。
    「あ、また焦がした」
     今日はもうダメかもしれない。
    ***
     もうダメだって日には何もしないに限る。港口付近の出店でチ虎魚焼きを購入すれば、一食にはならなくとも小腹満たしにはなる。もぐもぐと口を動かしながら、魚だから先生は好きじゃないんだろうなと考える。こんなに美味しいのに、過去のトラウマとは根深いものだ。
     せっかくなのでそのまま璃月港を散策することにした。どうせ仮宿にいてもやることはないのだし、今日は北国銀行での仕事も休みだから、言ってしまえば暇なのだ。そういえば、鍾離が、今日は緋雲の丘で珍しい骨董の露店が出るのだと言っていた。せっかくだし見にいくのも一興だろう。
    ***
    「お客さん、それに気づくなんてお目が高いねぇ!」
    タルタリヤが露店で見ていたのは一組の杯だった。落ち着いた黒色で、金と赤の模様が美しかった。うん、これは先生が好きそうだ。店主がその杯がどれだけ由緒正しく高価なものなのか説明しているのを聞き、代金を払ってはたと気づいた。
     自分は今日だけで一体何回先生のことを考えただろうか?

    ******

    「そういうことだからね、先生。いいかげん俺の頭の中まで侵食してくるのはやめてくれないかな」
     鍾離はタルタリヤが自分のことを考えながら購入したという杯を片手に文句を聞いていた。妙な仙術で干渉してくるのをやめろという話だが、生憎自分はそんなことをしていない。妙な誤解をされたままというのも癪だし、こういうのはこじれないうちに素直に言って置くのが吉なのだ。
    「公子殿。俺は、お前に対して仙術の類は一切行使していない。俺のことばかり考えるのは、公子殿が勝手に考えているだけだ」
     そう伝えたっきり、公子は黙りこくってしまった。数秒考え込んだ後で、じんわりと顔が赤くなっていくのを、鍾離は見逃さなかった。さらに、両手で顔を覆った公子がぼそっと小さく消えいるような声で「俺の人生に入り込みやがって……」と恨み節を呟くのも聞き逃さなかった。見目がいいからてっきり遊んできたかと思っていたが、あまりにも色恋沙汰になれていないので、可愛らしくて、ついうっかり自分まで照れてしまった。顔に熱が集まっていくのを感じる。おそらく鏡を見てみると頬には化粧をしたように赤が乗っていることだろう。鍾離は熱を酒のせいにして誤魔化すために杯をあおった。そして、公子がまだ照れて顔を隠しているせいで自分の顔が見られていないことに感謝した。
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    Replies from the creator

    nonsugar _299

    PROGRESS鍾タル前提モブ→タルの、導入
    名前が決まってません、仮置きとして@が入れてあります
    未定 なぜ船乗りたちは北極星を目印にするのだろうか? そんなの決まっている。「そこにあるから」だ。何があろうと変わらずあり続けるもの。信じるに値する求心力。何もない海においての唯一の希望。信じて、ついていけば間違いないと思わせる輝き。
     では、海原での希望が北極星なら、戦場での希望はどの星に託せばいいのだろうか? 肉が抉られる恐怖、死が目前にある焦燥、生物の尊厳を許さない地獄において、希望を託すに値するものは? それはやはり、目の前にいる彼────ファデュイ執行官第11位、「公子」タルタリヤその人だろう。あどけない顔立ちに危険な深蒼が見え隠れしていて、うっかりすると吸い込まれて戻ってこられなくなるような錯覚を覚える。戦場では誰よりも勇猛果敢、猪突猛進かと思いきや相手の行動を読み適切な対処をする判断力と冷静さ。戦うために生まれてきた闘争の権化。しかし、いかに神のような権力と凡人を超えた力を持つ執行官であろうと、部下とともに美酒を楽しむこともある。その流れで恋愛相談に乗ることも、なんらおかしいことではない。
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    DONE等身大のしあわせを/鍾タル

    (いや起きてるけどね。ストレートに誘わないといけないかあ……ピュアすぎるよ先生……)とか思いつつ嬉しいタルはいます
    青空が夕闇への抵抗を弱め、舞台を夜に切り替える──そんな境目の時間が、思えば俺は好きなのだと思う。
    「公子殿、邪魔をするぞ」
     合鍵と上等な酒を手に、彼の住まいへと足を踏み入れた。璃月におけるその場所はどうやら、公子殿にとっては「帰る場所」というよりは「雨風をしのぎ眠る場所」という認識のようで──家具も生活感もろくにない室内、寝台に横たわる彼は微動だにしない。
    「……公子殿?」
     おかしい、なんの反応もない。彼の立場や職業上、来客が全て好意的なものでないことなど明らかで。それでもただこんこんと眠っている辺り、何かあったのだろうかと胸中が波立つ。
     慌ててその口元に手をかざせば、すうすうと規則正しい寝息を感じた。とりあえず生きていることは分かったが、それにしても不思議なほど、起きない。
    「……薬でも盛られたのか?」
     しかしその寝顔はひどく安らかで、年相応の幼さすら感じられる。これはただ、本当に寝入っているだけか……?
    「公子殿」
     試しにもう一度呼んで、滑らかな頬へと指を這わせた。んん、と少しだけ眉がひそめられるが、やはりそれ以上の反応はない。
    「……相手が俺でよかったな」
     ほんの小 898