媚薬ネタ続き「斑はんも、耐性つけといた方がええんやない?」
あの事件から何日か経ったある夜、
いつも通りのホテルで急に問いかけられ、はて、なんだろうと考える。
「…耐性?」
「媚薬。この前わしが盛られたやつ。ぬしはんはそういう訓練とか、しとらんのとちゃうんかなっち思って。」
思い至らず素直に聞き返せば、何でもないように告げられる。
…あの事件、こはくが媚薬を盛られたのを受けてのことなのだろう。
「俺はこはくさんみたいに小柄でかわいらしいアイドルじゃないから、必要ないんじゃないかあ?」
俺みたいなのに媚薬を盛ってかわいがってやろうなんてモノ好きは、あまりいないと思うし。
「あほか。アイドルの痴態なんて、ああいうやつらにとっちゃあ、なんぼあってもええっちぐらいには美味しい美味しいネタやねんで?まんまと写真やら動画やら撮られてみいよ。あとは奴らの思うツボじゃ。」
「まあそうだなあ。…可能性としてはなくもないだろうが、そうなる前に対処できる程度には動けるつもりだぞお?」
嫌な予感がして表情を伺うと、想像通り悪魔のような笑顔がそこにはあった。
「まぁまぁ、これも経験やないの。…半月後、準備しとくさかい、楽しみにまっとき♪」
どうしてもいややっち言うんやったら、逃げてもええけどな?
そう言われてしまえばもう、返す言葉は一つしかなかった。
「はっはっは!それならお言葉に甘えご指導頂くほかないなあ?」
毒が回る感覚。…どうやら、覚悟を決めるしかないらしい。