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    甘味。/konpeito

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    甘味。/konpeito

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    Ⅱクロリン/近付けども遠い人
    フォロワーさんの呟きを書かせて頂きました。

    ナイフで服が切り裂かれた。
     その音がリィンとクロウ、ふたりしかいない部屋に寂しく響き渡る。今はもう、会話も交わせないほどふたりの距離は遠かった。
     冷えた空気が素肌を撫でる感触に身じろぎ、リィンの手首に拘束具が食い込む。擦れてできた傷に顔をしかめた。
    「クロウ、もう十分確認は済んだだろう。さっきから何度も言ってる通り、なにも持ってない」
     路地裏で偶然クロウと邂逅したリィンは抵抗虚しく両手を縛り上げられ、今はこの、小窓からわずかな光の入る小部屋へ押し込められていた。革製の拘束具はそのまま、こうして部屋のなかに唯一鎮座していた簡易ベッドのうえに投げられ、いささか乱暴な身体チェックを受けている。
     足を封じるように跨り、コートの上から全身を弄った手がなんの躊躇もなくダガーナイフを構え、リィンのシャツを切り裂いた。革手袋が腹のうえを這い、見下ろす冷たい眼差しにごくりと喉が上下する。
     腰のベルトに手をかけられ、肩が跳ねた。これから先の行為へ期待をしてしまう己を叱咤する。
    「――なんでもっと抵抗しねえんだよ」
     リィンに跨ったまま、すっかり項垂れてしまったクロウの下から這いずり出る。力無く垂れた彼の手がシーツを掻いていた。
     決して交わらない視線に、拘束されている手首より、心臓の辺りが痛む。
    「クロウ」
     微動だにしない彼の名前を呼び、拘束されたままの手でおずおずと彼の頭を撫でるのだった。
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