デート「あれ、明日って17時で閉めるんですか?」
芹沢がデスクのカレンダーを見ながら言った。
「ああ、まあな。ちょっと用事があるんだよ」
「そうなんですね…、俺はいつも通り16時には出ますから、よろしくお願いします」
「おう」
霊幻はひらひらと手を振った。
そう。明日。明日は大切な用があるのだ。
「あれ?律、明日晩御飯いらないの?」
兄の茂夫が家族用のカレンダーを見ながら不思議そうに言った。
「うん。友達と晩御飯を食べる約束してるんだ」
「へえ。星野くんたちと?」
「ううん。クラスメイトとだよ」
「そうなんだ。珍しいね」
「まあね。最近ちょっと仲良くなったんだ」
「そっか。楽しんでね、律」
「ありがとう、兄さん」
兄はどことなく嬉しそうに手を振った。律も手を振り返して、自室に戻る。
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