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    ハスミ

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    ハスミ

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    2022/12/26
    乱寂のお題さんは晴天の定義にそぐう日、安全性が疑わしい遊具のある公園で考えなしに言ってしまったせりふの話をしてください。
    #さみしいなにかをかく #shindanmaker https://shindanmaker.com/595943
    診断メーカーさんの中にある『さみしいなにかをかく』で出たお題を使用させていただきました。こちらのお題、とても素敵なので時々お借りしています。

    #乱寂
    chaosAndSilence

    2022/12/26_お題_乱寂SS 雲ひとつないとはいうけれど、冬の青空というものはどこまで広がっているのだろうか。いや、地球が丸いとか大気が覆っているとか、そんなつまらないことをかんがえたいんじゃない。俺の見ている青は、寂雷にとっての白かもしれないし、第三者からしたらあらゆる色がきたならしく混ざったヘドロ色かもしれない。じぶん以外の視点になんか一生かかってもなれないので、こんなことに思い巡らすのは無駄かもしれないけれど、意思/思考をもった一個体としてそのくらいはゆるされるべきだろう。
     シブヤ区ショウトウ方面におおきめの公園があると寂雷がSNSで知って、俺がここへ案内するまで三十分。きっかり、三十分だった。公園内にはシートを張られている砂場や、無害そうにスプリングでゆらゆらと揺れる動物の乗り物、チェーン部分を支柱にぐるぐると巻きつけられているブランコなどがあった。『危険!乗らないで!撤去予定日XX/XX』と張り紙をされているスプリング遊具をまじまじと見ると、それは犬とパンダと象と魚で、およそなんの特徴もなく作られてしまった水色の魚がなんとなくかわいそうになる。魚の遊具はそこそこ人気だったのか、あちこちの塗料が剥がれて部分的に黒くなってしまっていた。
     なにもおかしなところはない、いたってふつうの公園。寂雷はここへ来てみたいと言ったわりに、公園の周りに植えられている木をながめている。「寂雷、木なんか見てたのしい?」「ええ、見ておいたほうがいいかとおもって」「ふーん、僕にはほとんどおんなじに見えるけど、おしえてもらったら覚えるかも」ユリノキ、サザンカ、スズカケノキ、クヌギ、イチョウ――そんな木々の名前をおしえられながら、寂雷と公園のふちをぐるっとまわる。そして公園の入口付近へもどってきてから、寂雷は「ここの木の特徴にきづいたかい、」と聞いた。これらの植物が公園に植わっていることが、そんなにも重要なのだろうか。「分かんなーい!」と音を上げると、まじめな顔つきで俺の名前を一回呼んだ。
    「きみはこのちかくにアトリエを持っているでしょう。紙や布にあふれたそこが、もし、これは例えばなしなのだけれど、火災にあったときはここへ逃げ込んで。ここはしっかりした防火林に囲まれているしじゅうぶんな広さもある、乱数くんが無茶をしなければたすかるはずだから。いのちさえあれば、あとの人生はどうにでもなると覚えておいて」
    「――じゃあ、人生も人権もなかったら?」
    「どちらも、きみが生きているかぎりありますよ。だから、そういったジョークはあまりよろしくないかな」ジョークだと、俺の生きているさまを冗談だと、寂雷にそう捉えられてしまった。防火林なんていうけれど、もし大火事が起きたら植物はどうなるのだろう。業火に耐えながらくだらないにんげんどもを守るのだろうか。そのために植えられてきたから、だから最後は火災を止めるために生きながら燃えるという使命を背負っている。なにを言っても無駄かもしれない、最初からそうだった。痛いほどくちびるを噛み締めながら、俺は無言で魚のスプリング遊具にまたがっておもいきり体重をかけてそれを揺らした。『危険!』その張り紙は俺の苛立ちを煽る。誰も使い方をおしえてくれなかった。これの正しい遊び方なんてひとつも知らない。なかば自棄にちかい感情で前後に揺らすと、劣化したスプリング部分がぎこぎこぎこっと壊れそうな音を立てた。魚型の遊具はまもなく撤去されるし、これがなくなったあと、俺はこうしてくちびるを噛んだことを忘れるだろう。寂雷との分かり合えない感情と秘密をかかえこんで、スプリングがぎこぎこ鳴った瞬間とか、このあとふつうに会話をしてカフェへ行ったり、衢の分もふくめて駅ビルでポットパイをみやげに買うことも、なにもかもすべてを忘却するにちがいない。はやく、はやくそのときが来てくれ。俺がじぶんに押し潰されないまえに、誰か、だれか!
    《了》
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    ハスミ

    REHABILI2022/12/26
    乱寂のお題さんは晴天の定義にそぐう日、安全性が疑わしい遊具のある公園で考えなしに言ってしまったせりふの話をしてください。
    #さみしいなにかをかく #shindanmaker https://shindanmaker.com/595943
    診断メーカーさんの中にある『さみしいなにかをかく』で出たお題を使用させていただきました。こちらのお題、とても素敵なので時々お借りしています。
    2022/12/26_お題_乱寂SS 雲ひとつないとはいうけれど、冬の青空というものはどこまで広がっているのだろうか。いや、地球が丸いとか大気が覆っているとか、そんなつまらないことをかんがえたいんじゃない。俺の見ている青は、寂雷にとっての白かもしれないし、第三者からしたらあらゆる色がきたならしく混ざったヘドロ色かもしれない。じぶん以外の視点になんか一生かかってもなれないので、こんなことに思い巡らすのは無駄かもしれないけれど、意思/思考をもった一個体としてそのくらいはゆるされるべきだろう。
     シブヤ区ショウトウ方面におおきめの公園があると寂雷がSNSで知って、俺がここへ案内するまで三十分。きっかり、三十分だった。公園内にはシートを張られている砂場や、無害そうにスプリングでゆらゆらと揺れる動物の乗り物、チェーン部分を支柱にぐるぐると巻きつけられているブランコなどがあった。『危険!乗らないで!撤去予定日XX/XX』と張り紙をされているスプリング遊具をまじまじと見ると、それは犬とパンダと象と魚で、およそなんの特徴もなく作られてしまった水色の魚がなんとなくかわいそうになる。魚の遊具はそこそこ人気だったのか、あちこちの塗料が剥がれて部分的に黒くなってしまっていた。
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    ハスミ

    REHABILI来年5月に乱寂新刊を出したいのでリハビリです。
    いつもの初期口調先生+謎空間にいます。
    20221115_乱寂リハビリ「昔、かなりおおきなクマのぬいぐるみを親戚からもらったことがあって、抱き枕代わりというわけではなかったんだけどしばらくそれといっしょに寝ていてね、私の身長が伸びるよりもかなりまえのはなしだから……そう、おおきさはこのくらいあったかな、」そういいながら、ならんでベッドに横たわっている寂雷が俺の身体を軽くぽんぽんとリズムを取るように叩いた。どういうつもりなのかわからない。ただ、綿の詰まったぬいぐるみと、にんげんさま同様につくられているこの身体を並列しているようにも受け取れて(俺の正体を知らないとしても)ひどく厭だった。生きているとはいえ、すべて、すべてがつくりものだ。――だから、すこし言葉の扱いに敏感になっている。この聡いおとこでも見抜けない現実があるということへの絶望と、そこまでにんげんに見えているという優越、そしてこの生への果てしない怒りにまみれて生きることをこの世に発生した瞬間から強いられている。そういった生き方しか選択出来ないのだし、そうでもしないと自壊してしまう。おんなどもが、いや、ひいては全人類が憎い。憎い、なんて単純なワードで表し尽くせないほどの激情を皮膚の下に隠しながら、「えーっ、僕がぬいぐるみくらい可愛いっていいたいの?」と、シーツの波を撫でつつ笑ってやる。愛玩動物という言葉に《愛玩》という単語が付けられているように、俺もそうした性質を持っている。媚び、に近似している声音や表情というのを浮かべるのは得意だ。数ヶ月前、俺が寝付きが悪いといったことから、まるでこどもにするかのように定期的に寝かしつけてくれるようになった寂雷は、俺の身体をそっと叩きながら「――きみはぬいぐるみなんかじゃないでしょう、」そうやって低い声を差し込むように言葉を吐く。ひやりとした。この身体に関する事実をしってるとでもいいそうな口調に、俺はすこしの恐怖をおぼえる。いや、これは恐怖だろうか、おまえとこうして添い寝をしているくらい俺たちは親密な仲なのだから、なにも怖がることはないのだろう。だが、綿が詰められて、ずっと口角を上げて笑っているぬいぐるみだったとしたらどんなに生きやすかったか。きっとおまえの今後は、俺がクローン体であるということを知らないまま中王区に利用されるのだろうし、俺はおまえについて前もって渡されていた資料に書かれていたデータ以外知ることなく別れるのだとおもっている。だか
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    ハスミ

    REHABILI2022/12/26
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    #さみしいなにかをかく #shindanmaker https://shindanmaker.com/595943
    診断メーカーさんの中にある『さみしいなにかをかく』で出たお題を使用させていただきました。こちらのお題、とても素敵なので時々お借りしています。
    2022/12/26_お題_乱寂SS 雲ひとつないとはいうけれど、冬の青空というものはどこまで広がっているのだろうか。いや、地球が丸いとか大気が覆っているとか、そんなつまらないことをかんがえたいんじゃない。俺の見ている青は、寂雷にとっての白かもしれないし、第三者からしたらあらゆる色がきたならしく混ざったヘドロ色かもしれない。じぶん以外の視点になんか一生かかってもなれないので、こんなことに思い巡らすのは無駄かもしれないけれど、意思/思考をもった一個体としてそのくらいはゆるされるべきだろう。
     シブヤ区ショウトウ方面におおきめの公園があると寂雷がSNSで知って、俺がここへ案内するまで三十分。きっかり、三十分だった。公園内にはシートを張られている砂場や、無害そうにスプリングでゆらゆらと揺れる動物の乗り物、チェーン部分を支柱にぐるぐると巻きつけられているブランコなどがあった。『危険!乗らないで!撤去予定日XX/XX』と張り紙をされているスプリング遊具をまじまじと見ると、それは犬とパンダと象と魚で、およそなんの特徴もなく作られてしまった水色の魚がなんとなくかわいそうになる。魚の遊具はそこそこ人気だったのか、あちこちの塗料が剥がれて部分的に黒くなってしまっていた。
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    sheera_sot

    DOODLE頭が煮えるほどあつい火曜日、閉店間際のスーパーで永遠の向こうにあるものに気がついたことの話をしてください。
    #shindanmaker #さみしいなにかをかく
    https://shindanmaker.com/595943
    こちらで書いたものです。バンユキだけど万理しか出てこない。
    バニラアイスが溶けるまで 見切り品の野菜の棚から少しくたびれた小松菜を手に取る。煮浸しでなら食べられそうだし、野菜しか食べない線の細いあいつには丁度いいおかずになる。自分用に半額シールの貼られた唐揚げもカゴに入れてレジに並ぶ前、冷凍ケースのアイスクリームがいやにおいしそうに見えた。
     スーパーを出れば日も暮れているというのに茹だるような暑さが待っている。部屋まで歩いて十分、少し溶けてしまうかもしれないけれど買って帰ればきっと千も喜ぶし。バニラアイスを一つだけカゴに増やして、列に並ぶ。
     俺の一つ前にはワイシャツの男がいて、エネルギーバーと栄養ドリンクだけを持っていた。カバンも持っていないから、多分中抜けして食べ物だけ調達しにきたという感じだ。お仕事お疲れ様です、なんて思いながらちらりと様子を伺う。限界まで緩められたネクタイに少しくたびれを感じるけれど、その目はなんだか生き生きしていた。こうやって打ち込める仕事をその人はしているのだろう。なんだか、羨ましい。
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    sakikuryo

    DOODLE高杉社長について書きたい咲紅さんはおおよそ五分の夕立のあと、様々な蜂蜜を取り扱う洒落た店で嘘みたいな味のりんごを食べたことの話をしてください。

    #さみしいなにかをかく #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/595943
    面白きこともなき周回を面白く高杉社長を書いてみようとした
    途中で切れます

    ===

     あたりが焼け野原になったのを見届けてから、高杉は手近なカフェーへ入った。銅だか真鍮だかを叩いてのしたような看板に、甘たるい西洋菓子の名が焼き付けてある。店の名前なのだろう。食べたことはない菓子だったが、横文字の響きだけで十分に胸やけがする。引いた扉の蝶番はやけに重い。ベルが尖った音でちりんと云い、対して店員は、蚊の鳴くような応対で客を出迎える。
    「二名様ですね」
     お好きなお席へどうぞ、と言われて初めて高杉は、自分の後ろにもう一人居たのだと気が付いた。カルデアのマスターだ。白っぽい衣服と頬は煤だらけで、とてもじゃないが洒落たカフェーで一服する格好ではなかろう。人のことは言えないが。振り返る視界で、高杉は自分の髪の、ほどけて赤く、爛れたように黒いのをとらえた。こんな血でべとべとの人間を、よくまあ客として迎え入れたものだ。
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