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    holic_comic

    @holic_comic

    くりんばとにゃんちょぎ文章を書きます。
    ヘッダーのクマ帽子はまうさん(@Yamauba53)。
    編み伽羅さんはすずさん(@55setouti55)。
    アイコンはうさぎ帝国。
    くりんばが好き。特にDKが好き。
    にゃんちょぎとみつくりとおてたぬとくにちょぎも好きです。
    雑食。成人済腐

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    holic_comic

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    バレンタインのにゃんちょぎを彷彿とさせる伯仲です。

    社会人パロです。

    ・長義くんと国広くんは同僚
    ・南泉くんは定期的に集荷にやってくる宅配業者
    ・国広くんには中距離恋愛中の彼氏がいます
    ・国広くんはちゃんとチョコレートを用意しているのかは謎。してなさそうこの子

    会話しているだけのバレンタインですが、よろしければお付き合いください!

    chocolate? 南泉が集荷に来る曜日と時間帯ははいつも決まっていて、けれど集荷エリアでチェックをしたら、よほどのことがない限りこちらには来ない。たとえすぐそこに、愛しい恋人氏が寝そべるみたいな妙な姿勢でパソコンを睨みつけていても、だ。
     業務中だから当たり前といえば当たり前なんだけど、どうしてここからやんごとない関係に発展できたのかは、国広は謎で仕方がない。
     そんな月曜の午後、珍しく南泉がふらりと国広の座る島までやってきた。――残念ながら長義は経理部との打ち合わせに行って、いない。
    「よお。長義、いねえよな」
    「――ああ」国広は壁の時計をちらりと見上げて答えた。「あと三十分くらいはかかると思うぞ」
    「ふうん」
     南泉はどうでもいいみたいに返事をして、それから、ことりと長義のデスクに缶入りの飲み物を置いた。スリムなタイプの缶は、こげ茶色のフォルムをしている。
    「これ、あいつに渡しといて。……余ったから、くれてやるって」
    「……わかった」
     キャップをくいと下げて目元を隠す。なんとなく頬が赤い気がして、
    「じゃあな」
    と、振り返ったときに揺れた髪から覗く耳の先も赤い。
     パソコンの右下の数字を見る。国広にとってはただの数字の羅列だが、並ぶ数字は2022、スラッシュ、02、スラッシュ、14。今日は二月十四日、一部には心躍るイベントの日だろう。
     実際、朝から長義にはひっきりなしに甘い香りのする社内便が届いてはいるけれど、頬を赤くした南泉が置いていった茶色いフォルムの缶が何かなんて、考えるまでもなかった。

    「――え、猫殺しくんが? これを?」
     経理部からもマチ付きの茶封筒を抱えて戻ってきた長義が、机の上に置かれた缶を見るなり、きれいな眉をぴくりとあげた。
    「あんたに、渡してくれって。余ったから、って」
    「へえ……。猫殺しくんがねえ……。余ったって、ねえ……ふふ……」
     そしてにやける口元を隠しもせずに、大事そうにその缶を取り上げる。
    「余ったなんて言い訳しなくても、いいのにね。ふふふ」
    「ソーデスネ……」
     甘ったるい長義は面倒臭いが、その意見には全面的に同意する。だって、この二人、付き合ってるんだし。チョコでも饅頭でも堂々と渡せばいいじゃないか……。
    「猫殺しくんのそういうところが可愛……、ん? 待て、これ、ココアじゃなくておしるこじゃないか」
    「えっ」
     二月十四日に照れた顔で渡す茶色いフォルムのあたたかい飲み物なんてココア一択なのでは。
    「何これ! あいつ何なんだよ、紛らわしい! 一瞬でも期待した俺がバカだった! 腹立つ」
    「そ……そこまで怒らなくても……」
     南泉は何も明言していなかったのは事実なんだから、勝手に期待した長義の問題なのでは……。
     などと言葉にする勇気は、国広にはない。もちろんそんな意見を受け付けるつもりもないだろう長義は、どさりと椅子に腰を下ろすなりパソコンをスリープ状態から起動させた。
     そしてすぐにメッセージアプリを開くと、彼にしては猛烈ないきおいでキーボードを叩き始める。
     相手はもちろん南泉だろう。国広も横から覗き込む。
    『余ったおしるこをどうもありがとう、敢えてこれを今日に寄越す君のセンスを疑うね』
     怖い怖い怖い。文字にしたら温度がないから、もう少し、こう……。
     するとすぐにメッセージが返ってきた。その迅速さは誠意かもしれないが、
    『ココアだと思ったかー』
    ご丁寧に妙な動きをする絵文字まで添えるのは、この場合果たしてどうなんだろう。案の定、隣に座る長義の周辺温度が五度ほど下がった気がする。
     ふう、っと息を吐いてから再び指を動かそうとした瞬間に、メッセージがぽこりと表示された。
    『チョコは、ちゃんと用意してんだよばーか』
    『冷蔵庫に入れてっから、今日、食いに来いよな』
    「…………」
     あっ、これ、俺が見ちゃダメなやつだった。
     と、国広が思ったときにはもう後の祭りで、「んがっ」自席に戻ろうとするより一瞬早く、長義の右手に顎を掴まれた。痛い痛い! めっちゃ痛い!
    「……国広、お前は何も見ていないな?」
     顎を長義に掴まれてタコの唇にさせられたまま、国広はぶんぶんと首を上下に振る。
    「俺は定時に帰るけれど、今日は仕事が片付いたからだからね?」
     はいはいはいはい、あと十五分で終業なので、さっさとお帰りください、逆方向に!
    「――よし」
     ようやく顎を開放されて、さらに椅子のキャスター部分を足で押された。コロコロと椅子を転がして自席に戻る。
     さっき経理部から持ち帰った茶封筒と、いくつも届いた社内便の袋を無造作にデスクの引き出しへ放り込んだ長義の目元は、さっきの南泉より赤い。
     おしるこはどうするんだろう。やっぱり持っていくのかな。それとも、いつかの乳酸菌飲料みたいに、しばらくはモニタの横に並べてニヤニヤ眺めるのかな。当人はニヤニヤしてるつもりはないんだろうけれど、長義って自分で思うより表情に出てるんだよな……。
     チョコを食いに来いって普通に誘えばいいのになぜおしるこなのか国広にはまったく理解できないけれど、まあきっと、わかりやすい長義のリアクションを見るのが南泉は好きなんだろう。たぶん。そんなんどうでもいいんだけど。

    end

    (2022.02.13)
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    holic_comic

    MOURNING社会人パロです。長義くんと国広くんはメーカーのシステム部に所属しています。

    長義くん…本社から出向している社員
    国広くん…支社採用の社員
    清麿さん…本社での長義くんの同僚

    長義くんは国広くんより二年先輩やけど、システム部に配属されたのは同時なので「同僚」のような関係で仲良しなのです。

    ここまで書いて、「前もやったな」と、思ったのでお蔵入り。
    国広は長義の何なんだ(南泉談)
    長義の同僚「――えっ。清麿が来てるのか」
    「何。誰」
     もうすぐ終業というタイミングで、長義が自身のスマホを見て珍しく声をあげた。そしてお約束の「寝そべる姿勢」から身を起こして、スマホの画面に向かって親指を動かす。
     誰って? きよまろ? 知り合い?
    「うん。同期なんだけど、出張でこっちに来てるから寄るって、……もう、いつも急なんだから……」
    「へえ……。長義の同期……。なんでわざわざ連絡を?」
    「だから、出張でこっちに来たんだって」
    「飯食いに行くのか?」
    「そうだねえ……。せっかくだし、行けたらいいかな……」
    「なんで? そいつ、長義に何の話があるんだ?」
    「さあ……? 行けばわかるんじゃない?」
    「おかしいだろそんな急にあんたに話があるとか!」
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    holic_comic

    DONEバレンタインのにゃんちょぎを彷彿とさせる伯仲です。

    社会人パロです。

    ・長義くんと国広くんは同僚
    ・南泉くんは定期的に集荷にやってくる宅配業者
    ・国広くんには中距離恋愛中の彼氏がいます
    ・国広くんはちゃんとチョコレートを用意しているのかは謎。してなさそうこの子

    会話しているだけのバレンタインですが、よろしければお付き合いください!
    chocolate? 南泉が集荷に来る曜日と時間帯ははいつも決まっていて、けれど集荷エリアでチェックをしたら、よほどのことがない限りこちらには来ない。たとえすぐそこに、愛しい恋人氏が寝そべるみたいな妙な姿勢でパソコンを睨みつけていても、だ。
     業務中だから当たり前といえば当たり前なんだけど、どうしてここからやんごとない関係に発展できたのかは、国広は謎で仕方がない。
     そんな月曜の午後、珍しく南泉がふらりと国広の座る島までやってきた。――残念ながら長義は経理部との打ち合わせに行って、いない。
    「よお。長義、いねえよな」
    「――ああ」国広は壁の時計をちらりと見上げて答えた。「あと三十分くらいはかかると思うぞ」
    「ふうん」
     南泉はどうでもいいみたいに返事をして、それから、ことりと長義のデスクに缶入りの飲み物を置いた。スリムなタイプの缶は、こげ茶色のフォルムをしている。
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