右手の味、左手の興味「長義、おやつもらった。食うよな」
食べるとも食べないとも言わないうちに、国広が机の端に透明の小さな袋を置いた。ちらりと見上げると国広の手にも似たような袋がある。
施しを受けるつもりはないが(施しって何なんだ、と、国広の呆れ声は無視する)、半分こなら願ったりだ。ーーが。
「どうして俺に選択肢はないのかな? 国広が持ってるの、何味?」
「あんた……ときどきびっくりするくらい図々しいな」
「もし俺が両手にからあげくんを持っていて、問答無用に右手のからあげくんをお前に渡したら『左手のからあげくんも見せろ』ってならないか?」
「なります」
よし。
素直に差し出した国広の手から菓子をつまむ。何かと思えば金平糖らしい。ああ、あの、有名なやつ。でも、食べたことない。
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