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    You_sk_0424

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    You_sk_0424

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    2023/05/04に頒布した流三短編小説本「嘘みたいな春だった」より、「大好物」です。
    流川と三井がなにかを食べていく話です。(未来捏造あり)

    「嘘みたいな春だった」pixivサンプル→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19775328
    BOOTH通販もpixivから!

    #流三
    stream3

    大好物「ほら、流川。肉まんとピザまん、どっちがいい?」
    「……肉まんで」
    「はは、そう言うと思ったわ。ほいよ」
    「アザッス」
    「部活の後って腹減るよなぁ。んーうまい」
    「……」
    「ん? 早く食わねーと冷めちまうぞ」
    「……」
    「んだよ、やっぱピザまんのほうがいいってか?」
    「……いや、猫舌なんで」
    「……ぷっ、くく……」
    「笑いすぎ」
    「悪い悪い、なんか流川が猫舌って面白くて。ふーふーしてやろうか?」
    「いいっす……アツッ!」
    「はははっ、ゆっくり食っていいよ」
    「ッス」


    「へー、今ってタッチパネルで注文するんだな。流川は回転寿司来たことある?」
    「初めてっす」
    「おー、じゃあ好きなのガンガン食えよ。なにがいい?」
    「……じゃあ……サーモン」
    「はっはっは、ガキだな!」
    「……」
    「俺は、うーん、やっぱ最初は玉子だよな!」
    「……俺よりガキだろ……」


    「おっちゃーん、味玉ラーメン二つ大盛で!」
    「あいよー」
    「センパイ、久しぶりっす」
    「おう。どうよ湘北は」
    「桜木がうるせえ」
    「ちげーよ、チームがどうかって聞いてんだよ」
    「それぞれ課題を潰す練習してるんで、近頃はいい感じっす」
    「おお、新しく入った一年はどう?」
    「桜木より上手いッス」
    「ったく……お前たちは相変わらずだな。ちゃんと仲良くやれよ、お前ももう先輩なんだから」
    「ッス。センパイはどうなんすか」
    「ん?」
    「一人暮らし」
    「あー、まぁやっと落ち着いたかな。飯とかも作ってるし。部屋はまぁ、汚ねぇけど」
    「元からじゃないっすか」
    「うっせぇな!」
    「大学はどうなんすか」
    「んーまぁぼちぼちだよ。楽しいけど、意外と試験多くてやべぇ」
    「大学も試験とかあるんすね」
    「そ。つーか試験だらけよ。高校卒業してやっと試験から解放されたって思ったのによ。お前はどうなんだよ、テストとか」
    「……」
    「おいおい、大丈夫かよ。推薦もらうにしても最低限の内申は取ってないとやべーぞ」
    「……」
    「まぁそんな顔すんなって。俺だって推薦もらえたんだから。それに勉強なら俺が見てやるよ」
    「……まったくあてになんねー」
    「ははっ、それもそうだな!」
    「……でも、あんたと居られるなら、なんでもいい」
    「えっ」
    「味玉ラーメン大盛二つ、お待ちー!」
    「あ、ども……」
    「……」
    「……えーっと、いただきます」
    「……いただきます」
    「……」
    「……」
    「美味いな」
    「ッス」
    「……」
    「……」
    「……うち、来る?」
    「……ッス……っぐふッ」
    「おいおい、慌てて食うなって……ぐふッ」


    「ちわー」
    「おー、いらっしゃい」
    「お邪魔します。来る途中で飯買ってきた、コンビニ弁当っスけど」
    「え、そんな気使わなくていいのに、でもありがとうな」
    「ッス。……て、相変わらず部屋汚ねぇ」
    「効率的って言えよ。なんでも手の届くところにあるんだぜ」
    「物は言いよう」
    「わはは、そうだな。とりあえず飯にすっか、今テーブルの上どけるわ」
    「ッス」
    「流川は飲みもん、茶でいい?」
    「ッス、アザッス」
    「ほい。じゃあいただきまーす」
    「いただきます」
    「なんかコンビニ弁当に入ってるコロッケって」
    「あんたと食うものは何でも美味いっすけど」
    「はっはっは、可愛いこと言うじゃねーか!」
    「いや、冗談じゃねえけど……」


    「お、流川。匂いにつられて来たか? ちょうど焼きそば出来上がるところだぜ」
    「ん、美味そうッス」
    「だろー? 俺、焼きそばだけは自信あるんだよなー。流川、ちょっと皿出してくんねえ?」
    「センパイ」
    「ん?」
    「一緒に暮らしませんか」
    「……え?」
    「いつもセンパイの家に泊まって悪いし、ここからなら俺も大学近いし、家賃も半分なら負担減るし」
    「……うん」
    「……つーか」
    「うん」
    「……俺が、センパイと一緒に暮らしたいだけ……ッス、すんません」
    「……お前さぁ」
    「え、ハイ」
    「そういうのはもっとさぁ、先に時に言ってくれないと、俺焼きそばなんか作っちゃったじゃん!」
    「……は?」
    「だからぁ、こういう時はもっと、赤飯とか、ちらし寿司とかさぁ、めでたい感じのがあるだろ」
    「はぁ」
    「つーかそういうかっこいいセリフは俺が言いたかったっつーか、本当は前から俺も言おうと思ってたっつーか、年上のプライドが……」
    「センパイ」
    「な、なんだよ」
    「耳、真っ赤。照れ隠しッスか」
    「ち、ちげーし!」
    「じゃあ、一緒に暮らすのは無しッスか」
    「いや! いや……あの……よろしくお願いします……」
    「ッス。で、皿はこっちの丸いやつでいいっすか」
    「ああ、うん……」


    「……お、来たんじゃね? 俺出るわ」
    「……」
    「じゃーん、届いたぜ、ちらし寿司。どうせだから駅前のたっけぇやつ注文したわ。こっちが流川の分な」
    「アザッス」
    「それじゃ、いただきます」
    「いただきます」
    「……んー、うめぇ! いくら、久々に食ったわ」
    「ッス」
    「そんで俺さ、結構部屋とか調べたんだけど、広めんとこってなると思ったより家賃高くなんだよなぁ」
    「そうなんすか」
    「ああ。部屋は二つで、一つは流川、もう一つはリビング兼俺の部屋みたいな感じにしようかなって思うんだけど」
    「いいんじゃないすか」
    「こことか、流川的に予算どう?」
    「……まぁ、行けるッス」
    「じゃあこのくらいの家賃で絞るか。あとは、駅までの近さを取るか鉄筋を取るか……」
    「鉄筋?」
    「おう」
    「鉄筋だと何が良いんすか」
    「そりゃ防音性が高いに決まってんだろ」
    「……」
    「な、なんだよ」
    「どっちかっつーと声でけぇの三井サンじゃ」
    「はぁ!? ちげーし!」
    「声でか……」


    「またちらし寿司っすか」
    「祝い事にはちらし寿司って相場が決まってんだよ! それに前とは違う店だし、いいだろ」
    「まぁ何でもいいですけど、段ボールの上で食うのはどうなんすか」
    「仕方ねえだろ、テーブルが届くの明日なんだし!」
    「荷解きも終わってねえっすけど」
    「今はとりあえず腹ごしらえだろ。いただきまーす」
    「……いただきます」
    「はぁ、うめぇ。結局昼食ってなかったから腹に沁みるわ」
    「そういえば食ってなかったッスね」
    「ああ。……本当に、今日から流川と暮らすのかぁ」
    「今更無理とか言わねーよな」
    「ちげえって、実感湧かねえだけ!」
    「まぁ、俺も同じッス」
    「な」
    「……」
    「食い終わったら流川のベッド組み立てねぇとなぁ」
    「え」
    「え、って……組み立てねぇとお前寝れねーじゃん」
    「……明日で良くないッスか」
    「いや、だから」
    「はぁ……あんた、鈍すぎ」
    「はぁ!? お前に言われたく……って、え? それって」
    「もういいッス。自分で組み立てるんで」
    「え、ちょ、待って」
    「ごちそーさま」
    「って食うの早っ、流川、ごめんって、一緒に寝ようぜ!」
    「別にそんなこと言ってねえ」
    「ごめんって流川ー!」


    「流川が風邪引くなんて珍しいな。体調管理の鬼なのに」
    「……風邪じゃない」
    「いやいや、そんな声で言われても、つーか体温三十八度はどう見ても風邪だわ。とりあえず寝てろって」
    「……う……」
    「おー相当弱ってんな。かわい……じゃねえや、大丈夫、俺が全部やってやるから、お前は治すのに集中しな」
    「……ス……」
    「とりあえず玉子粥作ってみたんだけど、食うか?」
    「ス……」
    「よし。ちょっと待ってな。
    ……ほい、ちょっと熱いかも。気を付けて食えよ」
    「……」
    「ん、どうした?」
    「……食わせて」
    「え? お、おお……じゃあ、ほら、あーん……」
    「あー……ん……、アツっ」
    「悪ぃ悪ぃ、もっと冷ますわ」
    「ん……」
    「……よし、これでどうだ。あーん」
    「あー……ん」
    「どう?」
    「……美味い……」
    「よかった」
    「……もっと」
    「お、おう……じゃあ、あーん……」
    「あー……」
    「……なんか、いつもより甘えて」
    「ちげぇ」
    「あ、そすか……」


    「誕生日おめでとう、流川」
    「あざっす」
    「流川も二十歳かー、早いなーなんか実感湧かねえな」
    「あんたと二つしか変わんないでしょ」
    「そうなんだけどさ。俺が二十二ってのも実感湧かねえよ」
    「……同意っす」
    「なーんか高校でバスケしてたの、四年前? って感じで」
    「……またやりゃいいじゃないすか。1on1付き合ってくださいよ」
    「はは、いいぜ。それも誕生日プレゼントってことで。ま、とりあえずケーキでも食おうぜ。買ってきたからさ」
    「っす……って、ホールすか」
    「おお。誕生日ケーキって言ったらホールだろ」
    「いや、二人だし、俺そんなに甘いの得意じゃねえ」
    「俺も」
    「……」
    「まぁまぁ、残ったら明日も食えばいいだろ。一日は三食あんだから明後日には食いきれるだろ」
    「朝昼晩ケーキっすか……」


    「……そろそろ出来上がる頃か。
    ……って、げっ! 二人分作っちまった。……はぁ、またか。まぁ明日も食えばいっか。
    あいつは向こうで何食ってんのかな。でっけえハンバーガーとか? ピザとコーラとか? つーか俺、アメリカのこと何も知らねえ。何が美味いのかとか、どんなところなのかとか……
    たまには連絡くれりゃいいのに……って、あいつにそういうマメさ求めんのは無駄か。付き合ってんのに、恋人の情報をネットニュースで知るのもどうかと思うぜ。
    はぁーあ、流川が居ないせいで家が広いな。
    ……いただきまーす」


    「おー、お疲れ! 時間言ってくれれば空港まで迎えに行ったのに」
    「飛行機の時間も正確じゃねえし、どうせここに帰ってくんだから一緒だろ」
    「まぁそうだけどよ、情緒ってモンが……って、流川」
    「ん?」
    「もしかしてその手に持ってるの……」
    「ああこれ……あ、まさか三井サン……」
    「……そのまさかだよ。とりあえず中入りな」
    「……ただいまっす」
    「おかえり」
    「…………うわ、マジかよ」
    「まさか流川もちらし寿司買ってくるとはなぁ」
    「お祝い事にはちらし寿司って三井サンが言ったんでしょ」
    「それはそうだけどさ……どうすんだよ四人分も。誰か呼ぶか? 部活のグループにメッセージ入れて来れそうな人を……」
    「ダメ」
    「あ?」
    「今日は、あんたと二人だけで一緒に居たい。」
    「あ、……うん、俺も、そうだよ。それじゃあまぁ、明日にでも食えばいっか」
    「それに、運動したら腹減るから、大丈夫」
    「お前、ほんっと……」
    「しねーの?」
    「………………するけど」


    「だぁから! 謝っただろ!」
    「飯食ってる時に大声出すな。あと机叩くな、皿が落ちたらどうすんだ」
    「知らねえよ」
    「……あんた、さっきから口先で謝ってるだけで、本当に悪かったって思ってねーだろ」
    「はぁ? 悪かったっつってんだろーが」
    「言ってるだけ」
    「つーか別に本来俺は悪くねえだろ!」
    「ほら、やっぱり悪いと思ってねえ」
    「チッ…… 流川、お前そうやっていつも揚げ足取って性格悪ぃぞ」
    「は?」
    「本当のことだろーがよ。いつもいつも自分のことは棚に上げやがって。俺が譲歩してやってるからって調子乗ってんじゃねーぞ」
    「いつ俺が自分のことを棚に上げたんだよ」
    「昔からそうだろうが。付き合いだした頃から俺のわがままに散々我慢してきた。今日だって場を収めようと俺が先に謝ってやったのに」
    「……ずっと我慢してたって言うのかよ」
    「そーだよ、気づかなかったのかよ、お前が好きだって言うから付き合い始めてやってからずっとだよ」
    「あ? 俺が、告白したから付き合ったのかよ」
    「そうだよ」
    「あんたは俺のこと好きじゃなかったのかよ」
    「だったらなんだよ」
    「……」
    「あっ、おい、どこ行くんだよ」
    「なんであんたに言わなきゃなんねえんだよ」
    「おい、待てよ流川!」


    「……あいつ電話全部無視しやがって……もう数日経ってんだから機嫌直せよ。せっかく謝ろうと思ってんのに……
    ……クッソ……カレーがまずいなんて思ったの人生で初めてだよ……」


    「あー……飯なんか作る気しねー……相変わらず音信不通だし……落ち込んでるくせに腹が減んのもむかつく……
    また適当に素麺でも茹でっか……でも素麺を茹でる気もしねー……
    あー……なんであんなこと言っちまったんだろ、あー死にてえ。
    好きなやつに告白されて付き合うことになっただけでも奇跡だったのによ、一緒にいれるだけで幸せだって思ってたくせによ。なんで俺っていつもこうなんだろ。
    あいつ、もう帰ってこねえのかな。もうあいつに一生会えねえのかな。
    ……好きじゃないわけねーじゃん。好きじゃないやつと何年も一緒に暮らさねーだろ、バカ流川……」


    「……流川!」
    「荷物取りに来ただけ。後のは捨てていいから」
    「ちょ、ちょっと待てよ流川!」
    「ッ……、痛ってぇな」
    「わ、悪い……」
    「……」
    「流川、聞いてくれ」
    「……」
    「聞いてくれって」
    「うるせえな、なんだよ」
    「俺が悪かった、ごめん、流川」
    「……」
    「頭に来て、お前のこと好きじゃないのに付き合ってやったとか言っちまった。けど、本当はお前に告白されてすげー嬉しかった。告白されたその日は全然眠れなくて、次の日も夢だったんじゃないかって思ったの、今でも覚えてる。大人になって、お前と一緒に暮らしてるのも夢みたいだった。でもいつか流川が俺に飽きて、この幸せな生活も終わっちゃうんじゃないかって心のどこかで怯えてた。なのに、自分のせいで終わらせようとするなんて本当バカだよな。
    なぁ、流川、俺も流川が好きで、ずっと一緒に居たいのは本当だから」
    「……」
    「だから、出ていかないでくれ、頼むよ流川……」
    「……」
    「……」
    「……俺も……」
    「え?」
    「……俺も……悪かった、……ちょっとだけ」
    「流川……」
    「ごめん、三井さん」
    「いや、俺のほうが悪かったから……カッとなって強く言い過ぎたっていうか……」
    「うん……」
    「悪い、もうしない……えーっと、じゃあ、仲直りしたってことでいいか?」
    「そう……すね」
    「出ていかない?」
    「ッス」
    「……はぁ~、良かった」
    「はぁ……なんか、腹減った」
    「はは、冷蔵庫に、まだ残ってるよ」
    「えっ、なにがっすか」
    「焼き魚」
    「……え、それって俺が出てった日の?」
    「そう。捨てんのももったいなくて。かといって食う気にもなれなくて」
    「……何日前だっけ」
    「えーっと、今日が日曜だから、七、八、九……」
    「……」
    「もう一回火を通せばいけんだろ」
    「俺はいいっす」
    「なんでだよ!」
    「それより、出前取ろーぜ、ちらし寿司」
    「出た。お前気に入ってるよなー、ちらし寿司。つーかこれは祝い事に入んのか?」
    「入る。あんたと一生一緒に居るって決まったから」
    「え」
    「は?」
    「え、あ、え」
    「ちげーのかよ」
    「いや、いやっ、違わない、違わない! です……そう、うん、一生、ね、いや、もちろん俺もそのつもりだけど、改めて口に出されると、なんかこっ恥ずかしいっつーか、いや、うん……一生、か」
    「……泣いてんのか?」
    「泣いてねーよアホ! とりあえずちらし寿司の出前頼むからちょっと電話するわ。

    ……あ、もしもし、……三井です。はい、いつもすんません。ははは、ええ、はい。いつものちらし寿司二人前で、よろしくお願いします」

    (終わり)
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    You_sk_0424

    DONE2023/05/04に頒布した流三短編小説本「嘘みたいな春だった」より、「二時間だけのバカンス」です。
    高校時代両片思いだったのに付き合わなかった二人が、卒業後に偶然出会い燃え上がる話です。(注・二人とも彼女がいる)

    「嘘みたいな春だった」pixivサンプル→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19775328
    BOOTH通販もpixivから!
    二時間だけのバカンス やたらと重いドアを開けると、狭い部屋の真ん中にキングサイズのベッドが鎮座していて、その露骨さに思わず苦笑を浮かべた。当然、こういう施設があることも、自分が利用できることも知識としては知っていたが、どこか都市伝説のような存在で、いざ自分が今そこに居るのだと思うと軽く眩暈がした。
     そして隣に立っているのが、数年越しに会った高校の頃の部活の後輩、流川であることもいまだに信じられなかった。

     俺は高校時代、流川のことが好きだった。と言っても、それが恋なのだと受け入れたのは高校を卒業し、数年経った後だった。
     触れてみたいだとか、笑わせてみたいだとか、もっとよく知りたいだとか、人生で初めて抱いた感情だった。それ故に、高校生の自分はそういう感情を抱く相手が部活の後輩の男だと信じたくなかったのかもしれない。
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