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    Kiki98352010

    @Kiki98352010

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    Kiki98352010

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    小説の冒頭

    #ツイステ
    twister

    にぎやかな学生たちの声が聞こえる昼下がりの廊下。
    前を歩く柔らかな毛皮のコートの背に向かって監督生は、意を決してずっと考えていた謎を問いかけた。

    「ヒジョーに言いにくいのですが、『あの人、先生の恋人』ですか?」

    「知りたいか?アイツはな....」
    そう尋ねた監督生に向かって、その人は見惚れるほど美しい顔で、艶やかに笑った。





    …………………………

    「エリザベス・ラドクリフ」という名前の非常勤講師のことを、知らない同学年はいない。
    以前までは彼女のことを侮ってかかる輩もいた。
    男子校のNRCにおいて、あるいは思春期真っ盛りの男子にとって、と言ってもいい。女性とは神秘あるいは魅惑の対象だろう。

    しかしとある事件をきっかけに侮る生徒はいなくなった。侮ることなどできなくなった。

    その事件は、一部の生徒の中でこっそりとこう呼ばれている。
    「リドル寮長ぶん殴り事件」


    『自分の実力が相手を上回っていることを知りながら、格下から罵倒されたから相手の出自にまで口を出すのは、テストで0点を取るより恥ずかしい行為だと思いなさい』
    そう言い渡した瞬間、リドルは地面に沈んだ。
    彼女の拳は、オーバーブロット中の、怒り狂ったリドルの右頬をストレートに射抜いていた。

    突然飛び込んできた金の髪に遮られて、監督生にはリドルの顔は見えなかった。しかし必死の攻防でもびくともしなかったリドルがのけぞって倒れるところを見たエースやデュース、トレイやケイトは、そこに烈火の如く怒ったエリザベスが、真珠のように美しい肌をした右腕をブロットの黒に染めながら、まるで泥か水を払うように手を払っている姿を見た。

    その姿は正に、手を血で汚した暗殺者のそれだった。

    これが「リドル寮長ぶん殴り事件」だ。
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    Kiki98352010

    MEMO書きたいシュチュエーションだけ最後の夏休み
    滑らかな音色が広い部屋に響き渡る。薄いカーテンに差し込む夕日が、風で遊ばれるせいで部屋の中には不規則な光が注いでいた。白く無機質な部屋に、長い手すりがぐるりと囲み、一面の壁が鏡となって部屋の中の人物を映している。
    薄い金の髪に一筋の灰黒の髪。白い薄手のドレスが動くたびに翻り、真っ白な素足を見せていた。
    彼女は軽やかに音を奏でながら踊っていた。音に身を任せ、体の、音の、赴くままに顎にヴァイオリンを挟み、右手で緩やかに弓を動かして、左手でリズミカルに弦をつま弾く。

    漸く一曲が終わる頃に、クルーウェルは拍手をしながら部屋の中央へ歩き出した。遠慮してたわけではなかった。彼女の爪弾く音が、苦しそうに聞こえたから。

    「・・・来てたのね」

    エリザベスがヴァイオリンをおろして入ってきた俺を出迎えてくれる。「弾き続けてくれてもよかったんだぞ」と言いながらエリザベスを腕の中に閉じ込めると、静寂が世界を支配して、ここが賑やかな学校だということを忘れさせた。いつからいたとか、何故こんなところにいるとか、そう言った無粋な質問は飛んでこなかった。いつだってそうだった。無闇に人に踏み込んでこない 1403

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