カミサマノヒトミ「ひゃ……っ」
夜中にふと目が覚めた。水でも飲もうかと洗面台の前へ立ち、鏡の中の自分を見て、驚愕した。左右の目の色が違っていた。
出てしまった声で寝ている恋人を起こすまいと、慌てて口を塞いだ。恋人が起きていないかを確認しに、寝室へと戻る。布団は俺が出ていった時と変わらず、捲れていた。俺の声には気付かず、裸のまま寝ていた恋人はさすがに寒そうだったので、捲れた布団を元に戻してやった。
再び洗面所へと行く。もしかしたら夢だったかも知れないと鏡を覗いたが、やはり目の色は違っていた。
俺の目は元々猫みたいな黄金色だ。もちろん両目とも。それが今は、左目だけが宝石のような黄色掛かった緑色をしている。この瞳の色は恋人の色だ。いつも見ている。間違いない。
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