oct8ast☆quiet followMOURNINGバルガスキャンプにきたフロイドと監督生がほのぼのお喋りするだけ。プロットと逸れすぎて途中で強制終了した…… #twst #twstプラス twstPlus #フロ監 manager #フロイド・リーチ floydLeach. ぽかぽかと温かな日差しが木々の隙間から差し込む。春の訪れを告げにきた蝶はひらひらと舞い、可愛らしい花にぴたりと止まって、すぐにまた美しい羽を広げ去っていく。目を開けると大きな木が生い茂る大自然、耳を澄ませは川のせせらぎ……そんな中どうしようもなく食欲をそそる香辛料の匂いがあたりに立ち込めていた。「もーやだ飽きた」パチパチと弾ける炎。右手に薪と、左手にうちわを構えたフロイドは地面にごろんと寝そべった。「ちょっとフロイドくん、火のそばで寝たら危ないっすよほらほら、そろそろ薪を足して風送って!」「そもそも何でカレーなの、俺今日カレー食べたくないんだけど」「キャンプなんだから仕方ないっすよそれともウツボ料理でも振る舞ってくれるんすか?いい加減火から離れないとマジで蒲焼になるっすよ」「ウツボの蒲焼になんの俺?」げぇ、と顔を顰めて起き上がると、ポイポイと手近にあった薪を火に焼べて、やる気なさげにパタパタとうちわを仰ぐ。「そもそも、何でフロイドくんが来たんすか?キャンプといえばジェイドくんでしょ」「モストロのシフトあるから、俺とジェイド2人同時に休むなってアズールがんで、俺が来たのは……」ちら、っと視線の先にあったのはテントの組み立てに参加する異色の少女。フロイドは口をへの字に曲げて視線を火に戻すと、また乱雑にうちわを仰ぐ。「小エビちゃんがキャンプ好きなんだって」「へぇ〜、彼女と一緒にキャンプねジェイドくんはそんなフロイドくん可愛さに休みを譲ったと」「うん……でも俺ね、結構楽しみにしてたんだよ山とキノコとキノコ狂いのジェイドは嫌いだけど、体動かすのは好きだし、アスレチックとかちょー楽しみだったし、小エビちゃんもすげえ楽しそうだし」「ふぅん、つまりセベクくんたち一年がわちゃわちゃテント組んでるのが気に入らない、と」「…………そうかも」もう一度、視線をあちらへ送れば、小エビこと監督生は器用にテントの骨組みを組み立て、セベクが杭とトンカチでテントを固定し、他の男2人も加わってテントの布を広げ覆い被せる。監督生特有のコミュニケーションスキルであっという間に交流のなかった人達とも打ち解け、協力し、仲睦まじく喋る姿。「……フロイドくん?」じっと彼女を見つめるフロイドの顔から、表情と呼べるものが消えていた。ラギーが肩を叩いてもどこか虚ろな彼は持っていたうちわをポイと放り出して立ち上がる。「つまんない」「ちょ、どこ行くんすか?」「テキトー頭冷えたら戻るね」ひらひらと手を振って、フロイドは薄暗い獣道へまっすぐ進む。きっと、どこからか香る水の匂いと音を頼りに進んでいるんだろう。「いや、でもまずいって」いつのまにか、パチパチと弾けた炎がうちわを焼き、焦げ跡を作る。ラギーはそれを放って慌ててテントを立てる彼女の元へ走っていった。いったい何にこんなに腹を立てているのだろう。彼女に………ではない。ムカつく一年共に……これも違う。実を言えば、イラつきの原因は分かっていた。だからこそ、行き場のない感情にむしゃくしゃした。楽しそうな彼女が好きだ。でもそれと同じくらい、他の男と楽しそうにする彼女が嫌だ。そして、その感情よりもっと強く、自分に対する嫌悪が彼の胸にはあった。「バカじゃん」ぽちゃん、と投げた石が川に沈む。「バカですよ、先輩は」パッと振り返ると、監督生が膨れつらで仁王立ちしてフロイドを見下ろしていた。「単独行動、怒られますよバレないうちに帰りましょう」目をまん丸にして呆然とするフロイドの手を取り立ち上がらせると、元来た道へ真っ直ぐ連れていかれる。突然目の前に現れて、突然ガツンと怒られて、突然腕を引かれて……それでもトクトクと、胸の中で確かに拍動が聞こえる。「……探しに来てくれたの?」そう聞くと、彼女は足を止めてフロイドを振り返る。自身の首をさすり、気まずげな声を漏らしチラリと視線を向けた。「ラギー先輩から聞いて……先輩が拗ねてるって」「拗ねてないし」つい、即答した。すると間も無く胸の中にあるもう一つの感情が浮き上がって、視線を揺らす。それを見逃さなかったのか、今度はもう一度、監督生は真っ直ぐにフロイドを見つめ直した。「ごめんなさい私が、セベクや他のみんなばかり構うから」「だから、拗ねてないって」「寂しかったんですよね」今度は確かに、すとんと胸の中に落ちた。ちょうど、もう一つの感情が浮かび上がったそのタイミングで、彼女の言葉が落ちた。どうも気恥ずかしい。何もかも見透かす鏡のように、彼女はフロイドを見つめ、笑う。「…………わかんねでも今はすっげえ幸せ」フロイドの腕を掴む彼女の手を、もう一度繋ぎ直した。しっかりと指を絡め、彼女の小さな手を包み込むように……。「帰りましょ」彼女はまた笑った。今度は、ふわりとあたりに花咲く笑顔で。それにつられる様に、フロイドの口元が緩く弧を描いた。「ねぇ、今戻っても怒られんの一緒だしさちょっとだけ探検しよ」「えっ!?でも……」「ちょっとだけだから」ほんのもう少しだけ、小エビちゃんと2人きりでいたい。ぽそぽそと、耳元で囁くと、彼女は茹でたエビのように顔を赤く染め黙りこくった。その沈黙を肯定と受け取ったフロイドは監督生の手を引き森の中へ走り出す。豊かな緑の匂い、木の上から聞こえる小動物の鳴き声。鳥が木の葉を揺らし、大地を踏みしめるたびにパキパキと枝が鳴る。海では決して感じることのできない大自然。わざわざ兄弟の趣味全開な部活に入ってまで山を愛するつもりは毛頭ないが、彼女と感じる自然は悪くない……なんて。「楽しいねぇ、小エビちゃん」「はい……!」「あ、ほらみて!あの赤いやつ!持って帰ったらジェイドが喜びそう!」そう言って、パッと走り出したフロイドはその赤い何かの前でしゃがみ込み、「やべーね、これ」と笑っている。「ねぇねぇ見てよ、真っ赤でサンゴみたいほら、あっちはカニちゃんの頭に生えてたイソギンチャクみたい」「ちょっと、ヤバくないですか?それカエンタケとか言う毒キノコじゃ……」「えっ、キノコなのこれ一気に萎えた」「そんなに嫌ですか?写真だけでも送ったら喜ぶんじゃないですか?」「えーー、小エビちゃん後で責任とってね」パシャパシャと写真を撮り、ジェイドさん宛に添付して送信すると、まもなくピロンと軽快な音が鳴った。「うわ、秒かよ」「なんて来たんですか?」「えーっと、"まるでサンゴみたいで綺麗なキノコですね。新種ですか?よければ持って帰ってきてください。多分毒があるので、絶対に食べないでくださいね。"だって小エビちゃん、これ持って帰る?」「いやいや、やめましょ触るのも危ないって聞いたことあるので」「うわ、やべぇねじゃあ触らないように慎重に持って帰ろ」そう言って、マジカルペンを取り出した彼は、まるで幼稚園児のような笑顔でウキウキと魔法を繰り出していた。きっと、良い子は真似してはならない悪戯でも仕掛けるに違いない。危なくないように丁寧に梱包し、タッパーに詰めたキノコを今度は可愛らしいマスコットのついたショルダーバッグに詰めた。「先輩、まさかとは思いますが、何かよからぬことでも企んで……」「小エビちゃんってば酷いねぇ、俺が大事な兄弟にそんなひでぇことすると思う?」「貴方たちはやりますね、絶対」「"貴方たちは"ね、うん、俺もそう思うよベニテングタケ、ジェイドが知らねえわけないもんねぇ」「はい」互いにクスクスと、けらけらと笑いあう。キノコを確かにカバンに入れて、もう一度2人は手を繋いで歩き出す。「あっ」彼がそう声をあげたのは間も無くのこと。くんくんと鼻をきかせて、空を見上げ、手を翳す。「降りそう」「え?」一言だけそう言うと、フロイドは肩を落とし項垂れた。まるで遊んでいる最中の園児が、母親に腕を引かれて帰っていくように、しょんぼりと項垂れて、寂しそうに笑う。「帰ろっか」「……また来ましょう」「や、次は海にしよ」「ふふっ……そうですね」彼の心のように気まぐれな天気は、澄み渡る青空をあっという間に厚い雲で隠し、ぽつぽつと冷たく大粒の雫を降らせた。「でもね……小エビちゃん」「はい?」「俺、結構楽しかったよ」くしゃ、っとフロイドの大きな手が監督生の頭を撫でた。ぼんやりと彼の顔を見つめ、ハッとする頃には腕を掴まれ、元来た道を急ピッチで歩み始めていた。Tap to full screen .Repost is prohibited Let's send reactions! 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