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    itono_pi1ka1

    @itono_pi1ka1
    だいたい🕊️師弟の話。ここは捏造CP二次創作(リバテバリバ)も含むので閲覧注意。

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    itono_pi1ka1

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    pixivより引っ越し。不思議な夢を見た姫様と、彼女におまじないをかけてやるリーバルの話。
    青い鳥は敵を打ち砕く力を得たけれど、それでも、彼女を守る役目はあの人間のものだと知っていた。
    ※捏造200%※時間軸としてはラネールでの修行よりは前のどこか

    #ゼルダの伝説
    theLegendOfZelda
    #リーバル
    revel
    ##リ

    群青色の姫君 目を開けると、空の中だった。雲の上にいながらさらに上にも雲がある。地上を探しても広がるは青色ばかり。もしかしたら海かもしれない、と目を凝らしたが、潮騒は聞こえず、さざ波も見えない。足はつかず、頭もつかず。ふうわりと水の中にいるようで、呼吸は楽だった。穏やかに金の髪を揺らす風だけが、慣れ親しんだ気配を残していた。
     いつもの夢ではないのだろうか。
     暗闇の中で手を伸ばしても届かない光が焦らすように明滅する夢。
     見ても気分がいいとは言えない夢の内容を思い出してうつむきかけたとき、澄んだ鈴の音のような声が聞こえた。
    「あら……お客さん?」
     体ごとよじって振り返ると空の中に一人の女性が立っていた。
     金の髪。自分と違って真っ直ぐに切り揃えられた前髪が下りている。
     青い瞳。今はそこらじゅうに広がる空のような青。彼の瞳と似ている。
     白い服。禊の装束のように、真っ白い布が風を受けてひらりと揺れる衣服。
    「──あなた、“ゼルダ”でしょう?──ああ!素敵。これも神様のお導きかしら」
     女性は空の中を走って碧眼のゼルダに駆け寄った。女性に捕まえられると同時に碧眼のゼルダも空の中に立つことができた。近くで見た女性の顔はくるりと丸い目に愛嬌があり、活発そうな表情には女性というよりも少女と呼ぶ方が似合うとゼルダは思った。じっと少女の顔を見つめていると、少女はあ、と口を開けて驚いたような顔をした。
    「そうね。やっぱり自己紹介は必要だよね。わたし、ええと……」
     ぱっとゼルダの肩から手を離した少女は居ずまいを正して胸に手をあてる。
    「私は天空の民。私はスカイロフトの───ゼルダ」
     一瞬で少女が女神になった。すうっと目を開けて頬笑む少女はあどけなさとは不釣り合いに神秘的に見えて、ゼルダはぽかり、と口を開けた。
    「ゼルダ……? 」
    「ふふ、お揃いの名前だね」
     王家に伝わる女神の像が肉を持って目の前に現れたなら、こんな顔をしているのかもしれない。そうゼルダが惚けている間に、少女はぱっと神秘の微笑みを消して、歯を見せて人懐っこい顔で笑う。これまた一瞬で女神から少女に戻った“ゼルダ”はさも嬉しそうにゼルダの手を握った。ひやりとした体温にゼルダは軽く目を見開き、包み込まれるように握り重ねられた二人分の手に視線を落とした。
    「──へえ、このリトの民を前にして天空の民を名乗るなんて、度胸があるね。翼もないくせに」
     空から落とされた声は、挑発するように抑揚がついており、声の主の気の強さが伺えた。
    「あら!今日は二人も?ねえ、乗り心地の悪そうなロフトバードさん。──あなたのお名前は?」
     乗り心地の悪そうな、という表現に気分を害したのか、返事ではなくため息が聞こえる。
     少女は全く悪気がないようににこにこと笑ったままだ。
    「ロフトバード?」
    「あなたのところにはいないかしら」
     聞き覚えのある声よりも見知らぬ言葉に気を引かれて尋ねると、青目のゼルダは二本の指で輪を作り口元に持っていった。
     ヒュウと高く尾を引く音を出した指笛に答えて、何もない空が陰る。ばさり、と真後ろに羽ばたきが聞こえ、振り返ろうとした瞬間、クェーッと、耳に刺さるような甲高い鳥の鳴き声が響き、碧眼のゼルダは尻餅をついた。
    「大丈夫?」
    「!大きな、鳥……?」
    「この子はロフトバード。空に生きながら空を行けぬわたしたちを助けてくれるお友達。」
     風を巻き起こしながら空の中に着地したロフトバードの首を撫で、青目のゼルダはじっともう一人の空を行く者を見つめる。ロフトバード───ゼルダの二回りは大きい巨鳥は深い海のような青い翼を持ち、金の瞳がぎょろりとゼルダを覗き込んでいる。研究者としての好奇心がむくむくと湧いてきて、じいっと見つめたままゼルダは黙り込んでしまった。嘴はペリカンに似ている、脚の付き方は猛禽のよう、何よりも鳥類としては規格外に、大きい。この巨体を維持するのにいったい何を食物とするのだろう? ───調べてみたい!
     少女がその物欲しそうな視線に気づいたのかどうか。
    「触る?」と問いかけられ、すぐさま黄色い嘴に手を伸ばすと、一撫で二撫でする内に嫌々をするように巨鳥が首を振った。嘴は丸く平べったく、つるりとしていた。
    「触るならこっちの方がいいよ。あなた、変わってるわね」と少女はゼルダの手を掴んで巨鳥の胸の真っ白い羽毛に埋めた。ふかふかの手触りと、鳥類特有のつんと来る匂いにゼルダがほう、と息をつくと「毎日ブラッシングしてるのよ」と少女は笑った。
    「僕をそんな乗り物、いや、愛玩動物かい?ともかく、そいつと一緒にしないでくれよ。──僕はリーバル。空の支配者リトいちの誇り高き戦士。そして間もなくハイラルいちの弓使いと世界に名を轟かせる、英傑リーバルだ」
     再び、聞き覚えのある声が聞き馴染みのある自信に満ちた言葉を繰る。
     思い出したようにようやく彼を振り返ったゼルダは彼の名前を呼んだ。
    「リーバル……」
    「君もきみだ。いつもの騎士はどうしたんだい? それにここは何なんだ。僕は確かお気に入りの木の上で寝ていたんだけれど。そこの君に至っては、そもそも一体誰なんだ?」
     ゼルダと共にハイラルを背負って戦ってくれている仲間、リトの英傑リーバルその人がゼルダの夢である筈のこの場に立っていた。
     いつもの夢ではないのだろうか。ゼルダは今一度、意識の始まりに浮かんだ疑問を反芻した。
     矢継ぎ早に疑問を口にしたリーバルは、片やにこにこと笑んだまま、片やきょとりと目を瞬いたままで表情を変えないままの少女たちを見て、お手上げだ、と言うように両手を上げて肩を竦めた。ゼルダは困って同じように肩を竦めて首をかしげた。少女は一人微笑んで頷いた。
    「そう。リーバルというのですね。青い翼のあなた。──そういうこと」
     歌うようにリーバルの名を繰り返して呼んだ少女に、リーバルは何だよ、と少し戸惑ったように返事をした。いつも自信たっぷりに恰好をつけるリーバルには珍しいそのたじろぎ方は、かえって彼の存在がゼルダの意識が作り出した夢とは思えないような現実味を持っていた。
    「ふふ、そうね。ええ、リーバルさん。素敵だわ!」
     ぱちり、と少女は手を叩いた。出会った時から穏やかに笑っていた少女だったが、今度のそれは、少し照れたような、何かプレゼントをもらった子供のような、はしゃいだ様子だった。いきいきとした人間らしい振舞いをする少女もまた、ゼルダの夢の存在とは思えない実在を感じさせた。
    「急ににやにやして………変だよ、君」
    「ええ、嬉しくって!」
     リーバルの直截な物言いにも気を悪くする様子もなく、少女は跳ねるように歩み寄って、今度はゼルダの両手を取った。少女は何か素敵なおまじないでもかけるかのように弾んだ声で語りかける。
    「ゼルダさん。青い鳥は幸運を運んでくれるの。きっと。ええ、きっとね。だから」
     青目のゼルダはいっそう笑みを深めて続ける。
    「信じることを諦めないで。あなたの声に応える誰かが、あなたの祈りを支える誰かが、必ずいるのだから。あなたは、きっと、知っている筈」
    「……っ?」
     何か、今。
     首の裏を風がすり抜けるような。脳裏にちかりと光が瞬くような。
     そんな仄かな感覚が、ゼルダの意識をぴり、と刺した。不快ではなかったが、不安だった。
     ゼルダがぼんやりと知覚したもの正体を追う前に、少女は身を翻してリトの英傑の方へと戻っていってしまった。

    「あなたにも、お礼を言わなくちゃ。あなたが呼んだから、わたしたちは出会えた」
    「僕は知らないよ」
    「いいえ、あなたが呼んだの」
     ぐい、と少女がリトの英傑に詰め寄る。ちょうど、蝶々が草木にとまるような軽やかさだった。
    「空を征く、青い翼のあなた」
     やはりリトの英傑がたじろいでいる。めずらしいことだ、とゼルダは思った。
     少女はふわふわ、ふわふわと蝶のような軽やかさを身のこなしだけでなく、言葉にも纏って言う。
    青い鳥アナタが、ゼルダワタシ助けておぼえている。──ただ、それが嬉しいのです」
     するりと、少女の白い手がリトの英傑の頬線をなでた。
     先の巨鳥を撫でるのと変わらぬ、ごく自然な動きだった。
    「意味が分からない」
    「いいの。これは夢。泡沫の夢。目覚めてしまえば消えてしまうけど、決して無かったことにはならない。分からない、と思ったことが残れば、十分!」
    「なんだそれ……」
     一拍遅れて自分に触れている白い腕に気づいたリトの英傑がばっと身を引く。懐近くまで入られてしまうほどに気を許していた自分にようやく気付いて、目を軽く見開いて、なんで、と呟きをこぼしていた。少女はにこにこと笑んで、やっぱりあなたは変わらない、と言った。
    「そろそろ、時間ですね」
     時間?と聞き返す前に、ゼルダとリーバルは自分の身に起こっている異常に気づいて短く悲鳴をあげた。
    「なんだ……これ……?!」
    「身体が、透けて……!」
     両手が空を透かしていた。振り返ったリトの英傑の身体も服も半透明に空が透けていて、彼の余裕もこの事態には留守にしているようだ。
     これでは幽霊みたい。幽霊だったら御母様に会えるでしょうか。ふとそう過った思いに慌てて首を振って、すがるように少女を見る。
     私はハイラルを、我が国を守らなければならないのに。御父様に力を見せなければいけないのに。共に戦ってくれる彼らに──彼に、伝えなければ、ならないのに。
     慌てる二人をよそに、少女は一人泰然として佇んでいる。
    「ただ、目覚めるだけです。怖がらないで」
    「目覚める…?」
     足先から次次とほどける身体に怯えながら聞き返せば、今回の夢はこちら側寄りだったのよ。と言って一人しっかりと身体を持ったままの少女が背を向ける。
     行ってしまう。行ってしまうのですか。私に何も与えず、ただ背負わせるだけで、また、行ってしまうの! 
     ざっと青ざめたゼルダは無我夢中で叫んだ。
    「っ待って……!あなたは知っているのでしょう、あなたは……!」
     ほんの少し彼女の歩みが止まった。追い付けない、けれど止まってもいられない。実体が残っているのか分からない足を必死で動かして、もつれるように彼女を追う。身体を覆う見えない重さは水の中のようで走ることなんてできやしない、どうして彼女は、彼は、真っ直ぐ立てるのだろう。息も苦しく顔を歪めて、とうとう立ち止まって、諦めきれずに手を伸ばす。
    「ゼルダ……!いいえ、……!あなたは!わたしは、あなたに教えてもらいたいことが……!」
    「それを伝えるのは、わたしじゃないの」
     きっぱりと言葉を遮った少女に、突き放された心地がして口をつぐめば、少女は困ったように眉を下げて、殊更にやさしい声を響かせた。
    「大丈夫。きっと、大丈夫だから……」
     そんな言い方は卑怯だ、とゼルダは光に解ける意識の隅で思った。
     彼も、お父様もお母様も、ウルボザもインパも、皆。
     責めることができない。依りかかることなんて、なおさら。
    「───」
     最後に何か言葉を投げかけた気がしたが、ゼルダ自身でさえ、何を言えたのかはわからなかった。
    「───さようなら、どこかの私。ありがとう、わたしの青い鳥」
     光と消えた客人を見送った少女は、そう呟いて、しばらく変わりのない空を見つめた。言葉に反応して、きょろきょろとあたりを見回した青い巨鳥は首をかしげる。
     少女は青い巨鳥に微笑みかけ、微睡みの遠くで自身を呼ぶ愛しい声を追いかける。

    △▽△▽△▽△▽

     ──眠っている。とゼルダは感じた。閉じた瞼の裏を陽光が赤く染める。はっきりと意識があるわけではない。ただ、全く意識がないわけでもない。朝、目を閉じて寝台の上で横になりながら、侍女が部屋に入ってくるのを感じるような、覚醒に至らない微睡み。まだ、もう少し、もう少しだけぬるい暗闇を見ていたい。だって、今度は届くかもしれない、あの光に、彼女に、彼に……。
    「……姫!」
    「……っ?」
     声に引きずられて全身の感覚が戻ってくる。背を預けているのは王城のスプリングのきいた寝台ではなく。手に触れるのは絹仕立てのシーツではなく。ごつごつと背に当たるのは大樹の幹。手が握りこんだのは青々とした草木。開いた目を刺したのは窓からカーテン越しに射し込む朝日ではなく、木々の間から降り注ぐ中天の光。自分のことを姫という位だけの乾燥した呼称で呼ぶのは。何度か瞬いて薄暗い視界が戻ってくる。
    「陽気につられて眠るのは構わないけど……せめてあの騎士が見つけられるところにいなよ。いちいち君の居場所を伝えるために彼に話しかけなきゃならないなんて、僕は嫌だから」
    「……ええ。すみません。……起こしてくれて、ありがとう」
     彼、ではなかった。勝手な思い込みが外れて落胆した心が自分の内にあることに、ゼルダは戸惑った。
     王城の中庭。さらにその片隅。ちょうど人の目を隠すように、ひっそりと枝を伸ばす大樹の影。
     リトの英傑に宛がわれた客室から近いわけでもないから、きっと、彼がこの城内でみつけたテリトリーの一部だったのだろう。彼は、個人行動を邪魔されるのを嫌うと同時に、あまり他者の詮索をしない。ゼルダに声をかけた、ということは、それだけ様子が普通ではない、と判断されたのだ。ともすれば、彼が苦手としている近衛騎士にコンタクトを取るまでのお節介を考えるほどには。
     意識すると、首筋に汗が伝っている。唇は乾燥していて、指先はかすかに震えていた。地面に縫い付けられているように、身体が重かった。
    「……まだ、ぼうっとしているようだけど」
     自他に厳しいリトの英傑はすぐに立ち去るものかと思われたが、未だ座り込んでいるゼルダを温度のない目でじっと見つめている。ゼルダは少し目をこすって、冷えた指先を握り締めた。すぐに立ち上がれないほどの異常だと悟られたくない一心で、訥々と場を持たせる言葉を探す。
    「その、夢を。見たんです。そう。不思議な夢……わたしではない“ゼルダ”の……」
     ゼルダは夢の中の女性を思い出した。尖った耳。白い肌。金の髪。彼と同じ空色の瞳。
     そして──ゼルダは何もない右手を覆い隠した──そして、手の甲に浮かぶ、聖三角。
     見間違えるはずもない、ハイラル王家の娘の証。ハイラルを担う姫巫女の証。
     人々が願い、祈り、信じ続ける姿。
     自分が、何よりも求めながら何よりも手に入らない絶望の証。
     ゼルダは唇をかんで、そのまま言葉を止めた。リトの英傑は黙ったままで待っている。隠した左手をぎゅっと握りしめて、顔を伏せる。ざあっと風が木々を揺らし、耳元をくすぐった。リトの英傑の翡翠の髪飾りがからころと音を立てた。
    「……青い鳥」
    「え?」
     ぽつり、と。普段の彼の自信の充ち溢れた声とは似ても似つかない、蹴っ飛ばされた小石のような呟きにゼルダは顔を上げた。
    「幸せをはこぶ鳥がいるんだっけ、君たちのおとぎ話だろ?」
     君たちの、と自身を指差されて戸惑う間に彼の声はいつもの雄弁さを取り戻し、くるりと背を向けて朗々と歌い上げるように言葉を続ける。
    「籠に入る気は毛頭ないが……空を征くにも依る辺の止まり木は必要だ。君の両の碧が願うなら、僕も君を選んであげる。君が何に嘆こうとも何に笑おうとも。──リト至宝の翡翠が運ぶ幸運を以てしても為せないというんなら──」
     言葉を止めて彼が振り返る。
     日差しを背に受ける彼の顔は逆光に陰ってよくみえない。ただ、翡翠の両目がきらきらと光っていた。
    「それは貴女以外の誰もにだって出来ないことさ」
     青い翼が差し出された。先ほどのように指を突きつけられたのかもしれなかった。けれどゼルダはそれを確かに自分に差しのべられた翼だと理解した。
     木漏れ日よりも強く燃える翡翠が、自分の新緑の碧眼を射抜いて、縫い止めるように視界に焼き付く。うつむくことを許さない。そらすことを許さない。彼を見上げ、空を、見つめなければならない。
     ゼルダは唇を引き結んだ。彼は羞恥と捉えたかもしれない。ここにはいない侍女が見たらば怒りと捉えたかもしれない。もうすぐやって来る彼が見たらば悲しみと捉えたかもしれない。しかし真実はそのどれでもなく、ゼルダはこれ以上息が洩れてしまわないように、唇を引き結んだ。
    「……ああ!もちろん僕を除いて、ね」
     おどけたように付け足された言葉にゼルダははっと瞬いた。翡翠の威圧などどこにもなく、ただ、誰より気高くあろうと翼を広げる英雄が、見慣れた風に笑っていた。空は未だ彼の翼よりも薄い青に留まっていて、陽射しが照りつけている。
     ちちち、と小鳥が木陰に止まった。この木には果実はならない。虫も寄り付かない。鳥の巣も、リスのうろもない。地に深く根付き、枝葉を伸ばし、光を一身に受け止めるように立ち尽くし、小さな誰かが休める束の間の木陰を作って、果てる。
    「──ありがとう」
     姫は差し出された手を取った。立ち上がった彼女の視線の先には、青い騎士が立っていた。
     一瞬、自身の座り込んでいた大樹を振り返った姫は静かに告げる。
    「──空を統べる戦士、リーバル。あなたに感謝を」
     立ち去る姫君の足音と入れ替わるように、青い翼の羽ばたきが木々を揺らした。
    「──地を統べる姫、ゼルダ。あなたにこの翼を」

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