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    hakka_ymg

    がむしろ@hakka_ymg

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    hakka_ymg

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    紙で指を怪我した司とその怪我を見た類

    #類司
    RuiKasa

    滴る「っ……!」
     
     数枚重ねて綴じられたプリントの束で指先を切ったような気がしたが、傷は見当たらなかった。鈍く痛みだけを訴える左手薬指、第一関節と爪の間。
     一度さすって血は出ていないのを確かめて、手当ての必要はないなと判断を下す。
     
    「オレとしたことが、気をつけねば」
     
     
     
     そんなことがあったのを司が忘れた頃。
     
     放課後。
     
    「司くん、いるかい」
     
     類が司のクラスに顔を出す。
     約束はしていないが、最早習慣化していた。授業が終わってすぐ現れることもあれば、下校時間が近くなってから姿を見せることもある。
     
    「類! ちょっと見てくれ」
     
     類は何か思いついたのかいとフフと笑う。
     司の前の席の椅子を借り、広げたノートを挟んで対面に座った。
     
     ここをこうしたいのだが難しいか?
     そうだねぇ。前に使ったあれを応用すれば…
     
     ああしようこうしようと二人合わされば、想像の中にしかなかったものが現実に変換されていく。
     
    「よし、それでいこう」
    「僕も思いついたことがあるのだけど」
     類が眉を下げてニコニコしている。司の経験上、こういう時はろくなことを思いついていない。
    「……今度は何メートルだ?」
    「イヤだなぁ、そんな顔で期待されると限界を超えてみたくなるねえ」
    「オレにだってNGはあるぞ!?」
    「おや、意外だね。スターたる司くんに出来ないことがあるなんて」
    「いや出来ないことはないが!」
    「そうこなくてはね。期待しているよ司くん」
     
     司はやれやれといった雰囲気を隠さず、ノートを閉じて仕舞おうとする。
     
    「司くん、指」
     
     指? と仕舞いかけたノートを机に置いて、司は自分の手を見る。少し前に紙で切ったかと思った左手の指から血が滲んでいた。
     
    「ああ、紙で切ったようだ。血は出ていなかったから大丈夫だと思ったのだが」
    「出血してしまっているよ。紙で切った傷はふさがりにくいからね」
     
     怪我をした手を類に取られる。
     
    「そうか。だから治りが遅いんだな」
     
     二人分の視線が司の左手の薬指に注がれている。
     
    「痛そう」
    「そうでもないぞ」
     
     まるで手の甲にキスするかのように、指をすっと類の口元に持っていかれる。
     紙で切った司の左手の薬指。
     その指は今、類の口内へ。
     チュッと音をたてて血液は舐め取られた。
     
    「おっ、おま、おまえ……!!」
    「つい」
    「つい、で人の指を舐めるヤツがあるか!」
    「だって司くんのだし」
    「血だぞ?!」
    「司くんのだし?」
    「オレが何かの病気だったらどうする!」
    「ふふ、一蓮托生で結構じゃないか」
    「~~~っ!!」
     
     ドサドサと鞄に荷物を放り込んで司は足早に教室を後にする。
     
    「怒ったのかい、司くーん! キミ以外にはしないよ!」
    「お前はもう喋るな!!」
     
     司を追いかける類によってピシャリと教室のドアが閉められる。バタバタとした二人分の足音と話し声が、その後しばらく廊下に反響していた。
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    related works

    x12_rt

    PROGRESS※18歳未満閲覧厳禁※

    2024/5/26開催のCOMIC CITY 大阪 126 キミセカにて発行予定の小粒まめさんとのR18大人のおもちゃ合同誌

    naの作品は26P
    タイトルは未定です!!!

    サンプル6P+R18シーン4P

    冒頭導入部とエッチシーン抜粋です🫡❣️

    あらすじ▼
    類のガレージにてショーの打合せをしていた2人。
    打合せ後休憩しようとしたところに、自身で発明した🌟の中を再現したというお○ほを見つけてしまった🌟。
    自分がいるのに玩具などを使おうとしていた🎈にふつふつと嫉妬した🌟は検証と称して………

    毎度の事ながら本編8割えろいことしてます。
    サンプル内含め🎈🌟共に汚喘ぎや🎈が🌟にお○ほで攻められるといった表現なども含まれますので、いつもより🌟優位🎈よわよわ要素が強めになっております。
    苦手な方はご注意を。

    本編中は淫語もたくさんなので相変わらず何でも許せる方向けです。

    正式なお知らせ・お取り置きについてはまた開催日近づきましたら行います。

    pass
    18↑?
    yes/no

    余談
    今回体調不良もあり進捗が鈍かったのですが、無事にえちかわ🎈🌟を今回も仕上げました!!!
    色んな🌟の表情がかけてとても楽しかったです。

    大天才小粒まめさんとの合同誌、すごく恐れ多いのですがよろしくお願い致します!
    11

    recommended works

    3iiRo27

    DONEritk版深夜の60分一発勝負
    第二十三回 お題:「お隣さん」「嘘」
    司視点 片想い
    途中で視点が変わります
    カチャカチャと音を立てながら、手早く混ぜていく。

    カップに入れる生地の量は、綺麗に均等に。

    オーブンの余熱も忘れずに。


    オーブンから取り出した出来立てのそれに、思わず笑みが溢れた。






    「…今日の練習は終わり!お疲れ様でした!」
    「「「お疲れ様でしたー」」


    終わりの挨拶を済まし、帰るかと思った時、渡していないそれのことを思い出した。


    「…ああ、そうだ!今日もお隣さんからお裾分けを頂いたんだ!持ってくるな」

    「わーい!今日は何のお菓子だろー?」
    「段々と上達してきてるもんね。私も楽しみ」
    「そうだね」

    3人の声を尻目に鞄に急ぎ、綺麗にラッピングされたそれを取り出す。



    「今日は抹茶とホワイトチョコのマフィンだそうだ!この前の改善点をしっかり見直したと言っていたぞ」
    「ありがとー!お隣さんにもよろしくね!」
    「私からも、よろしく」
    「僕からもお願いするよ。…それにしても、今回のも美味しそうだねえ」

    ドキ、と高鳴る胸を3人に見えないように抑える。
    幸い、それに同調したえむによって見られはしなかったようだ。よかった。




    ……お隣さんからの貰い物と称して、 1883

    3iiRo27

    DONEritk版深夜の60分一発勝負
    第二十九回 お題:「雨宿り」「兄弟」
    司視点 両想い
    20分オーバーしました
    「うわ、凄い雨だな…」


    薄暗い空から降り注ぐ大粒の雨に辟易しながら、傘を広げた。

    朝からずっと雨予報となっていた今日は練習も中止になってしまい、休日だったことも相まって突如暇となってしまったので、気晴らしにと外に出かけることにした。

    雨が降るとはいえ四六時中大雨が降るというわけではなく、強くなったり弱くなったりを繰り返しているから、合間に移動をすれば、と考えていたけれど、そう都合よく弱まるわけがなかったなと思いながら雨の中をゆったりと歩く。






    その時。視界に、不安そうな顔が写った。


    思わず足を止めて、そちらを見る。
    しまっている店の前で雨宿りをしながら不安そうな顔で空を見上げている、小学校低学年くらいの男の子の姿があった。
    そして、彼のその手には、折れてボロボロになった傘が鎮座していた。





    「…なあ、君。傘、壊れちゃったのか?」


    いてもたってもいられず、声をかける。
    ずっと不安だったのか、見上げるその目には、涙が浮かんでいた。


    「…うん」
    「お母さんや、お父さんは?」
    「いない。僕、お使いとお迎えに行ってるの」



    「お使いと…迎え?」
    「うん。 3388