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    hatori2020

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    hatori2020

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    パン屋の処女娘。襧豆子ちゃんの裏アカウント。

    いけないことだから、やってみたかったの善逸の朝は早い。
    養父にたたき起こされて、日課の鍛錬をやらされる。素振りやら腹筋やら、養父の気の向くままに体を酷使。それが終わると今度は教科書の音読。小学生かよ!と、何度ツッコミを入れても音読は続くよ、どこまでも。
     そんな早起きの善逸には、ひとつだけ楽しみがあった。
    養父が部屋にやってくる前に、寝ぼけ眼でスマホをいじってSNSを立ち上げる
    「パン屋の処女娘」
    それは、善逸が毎日欠かさずに見ているSNSのアカウントだった。
    パン屋ちゃんはちょっとエッチな(と、善逸が思い込んでいる)女の子で、プロフィールには学生と書かれている。
    『大好きな先輩とえっちが出来るまで写真をあげていきます』 
    と、書いてあるけど、もうそれだけでえろい。
    パン屋ちゃんには好きな男がいて、アカウント名を信じるならば彼女はバージンだ。いつかその大好きな先輩とやらに貫通してもらうみたいだけど、今アップしてる写真の彼女はバージンだ。柔らかそうな二の腕や、ほっそりとした足首。それらを大好きな先輩はさわっていない。それを存分に、善逸が妄想する。いつか大好きな先輩の彼女になるパン屋ちゃんを妄想の中で思いっきり好き放題する薄暗い背徳感。
    と、言ってもパン屋ちゃんの写真ははっきりとわかりやすいエロではない。おっぱいも出さないし、パンツだって見せない。そもそも顔出しはNGで、どんな顔かも分からない。フォロワー数だって貧弱だ。だけど、パン屋ちゃんの無防備なところが善逸には堪らなく妄想をかき立てられて、エロかった。
    先日、購入した黒のブラとパンツのセットをアップしてくれた。まだ値札がついている。
    『今日、これを買いました』
    そんなツイートの次に、
    『どうかな? 透けて見えちゃうかな?』
    と、顔を写さない体操服を着た上半身の写真がアップされた。
     真っ白い体操服はパン屋ちゃんの柔らかそうなおっぱいに添ってふっくらと膨らんでいる。たぶんそんなに大きくはない。それでも男にはない女の子らしい膨らみ。それをあの黒いブラが包み込んでいるらしい。大いに興奮した。保存して、有り難く夜更かしをする。
     体操服をぺらりとめくると白くて平らなお腹。ちょこんとへこんだ臍の穴はどこか淫靡で、もっとめくり上げる。「あ、やだ」と、口先だけの抵抗するパン屋ちゃん。可愛いお胸に黒のブラ。あんなに可愛い黒のブラを、あんなにえっちに身につけてる。片方のストラップが落ちてるのがまた良かった。
     さて、昨日の夜の投稿はどんなのでしょかと、善逸は寝返りをうって、パン屋ちゃんのアカウントを見た。
    「あーーー、それエロいって」
     あげられた写真は一枚だけ。
    フローリングにぺたりと座り込んでいるパン屋ちゃんは、ロングスカートを履いていた。清楚な黒のロングスカートは黒百合が咲いたように広がっていた。
    そんな画像だけだったら善逸だって毎日見ないだろう。パン屋ちゃんはとても良く分かっていた。いや、分かってないのかも。どっちでもいいけど。
    パン屋ちゃんは白く細い指先で黒のスカートをちょいと持ち上げて、左足の膝だけを覗かせた。パンツなんて全然見えない。まったく際どくなんか無い。
    ダークブラウンの床の上、ひとりの少女が座り込んで、真っ黒なスカート。ちらりと見せつける膚はぞっとするほどに白く、ひどく官能的だった。
    正直言うと、もっとスカートを持ち上げてパンツまで出して欲しい。そうなると、パンツを濡らすようなことをパン屋ちゃんにお願いしたくなって、欲望はブレーキが利かなくなる。だから、この程度で良かった。この程度が物足りなくて、歯がゆくて、だから妄想の中が楽しい。
     画像には、『先輩が少しでもわたしのこと女の子って意識してくれるといいな』と、ツイート。こんな可愛い(顔は見たことないけど)女の子を意識しない男はいないだろうと断言できる。
     パン屋ちゃんの上げてくれる写真はもちろん夜長の友なんだけど、彼女が時折つぶやく、先輩へのいじらしい恋心も善逸にはぐっとくる要因だった。疑似恋愛ではないけど、自分もそんな風に思って欲しい。
     善逸には、ずっとずっと大切に思っている女の子がいた。
    竈門襧豆子ちゃん。
    彼女のことを思うだけで愛しさと切なさがたっぷりと心に満たされる。
     パン屋ちゃんのスカートから覗く脚を見ながら、襧豆子を想う。
    「って、襧豆子ちゃんは駄目! そんな目で見たら駄目だ」
     慌てて煩悩を振り払うように起き上がった。そろそろ養父がたたき起こしにやってくる時間だ。今日くらい起こされずに自主的に起きて、道着に着替えていてもいいだろう。
     ベッドから降りて、パジャマを脱ぎ捨てる。先日、パン屋ちゃんがあげてくれた体操服を少しだけ思い出す。あの柔らかそうな胸が自分の胸板で押しつぶされるのを妄想する。
     だめ。と、甘い声で彼女は羞じらう。妄想の中の彼女が徐々にひとりの女の子になってくる。
    「……だから、襧豆子ちゃんのそういうの想像すんなって」
    ピシャリと太ももを引っぱたいて、善逸はトイレに向かった。
    今夜の夜食は、黒百合のはなびら。

    パン屋ちゃんのアカウントは半年間続いた。その間、フォロワーは増えることも減ることもなく、一定数を保つ。あげる写真も健全なようで、ふしだらなようにも見える。
    ただ、言えるのはパン屋ちゃんはその先輩に惚れ込んでいるってことだけ。ちょっとずつ出された情報から、先輩はパン屋ちゃんのふたつ年上で、それなりにかっこいいけど人気はいまいちのくせに本気で惚れている子が多い。なにそれ。矛盾。パン屋ちゃんから言わせると、初恋泥棒だと言う。髪の色素も薄いようで、――さすがに善逸のような金髪ではないだろうが――それを教師に指摘されているらしい。ときおり体育系の部活の助っ人をするらしい。
    パン屋ちゃんが写真をあげてくれる日は、どうやら先輩が活躍した日や、何か良いことがあった日に限定されるようだ。まるで届かない先輩に想いを告げるかのように、パン屋ちゃんはいじらしく可愛い写真をあげる。もしかしたら、彼女は男がその写真をなにに使っているのか知らないのかもしれない。ちょっとだけ罪悪感が刺激されて、ちょっとだけ興奮した。
    少し経ってから、その疑惑が確信に変わったときはちょっとの興奮が激しいものになったりけどそれはご愛敬というもの。
    夏は薄着の時期だ。夏休みなんて開放的な期間に、パン屋ちゃんは一枚も写真をあげてくれなかった。もうやめてしまったのだろうかと思うくらいにアカウントに動きがない。
    七月下旬に、
    『今日から夏休みです。先輩と会えなくなっちゃう』
    と、さみしそうなツイートをしてからぱたりと更新がやむ。元から活発なアカウントではない。はっきりとエロ目的でもなければ、交流目的のアカウントでもない。彼女のフォロワーは日、一日と少なくなっていき、ついには善逸だけになってしまった。それでも善逸は朝一に彼女のアカウントを見る。
    一般的に夏休み最終日。その日も善逸はルーチンで彼女のアカウントを見る。本日のパン屋ちゃんもこれまで通りに更新はなく、善逸も変わり映えしない受験生として夏期講習へ出かけていった。
    次の日、一学期の終業式ぶりに襧豆子に会えた。一ヶ月以上会えなかった彼女はこれ以上ないってくらいに可愛らしくなっていた。もしかしたらカレシでも出来たのかもしれないので、とりあえず兄である炭治郎の首根っこを揺すぶって問いただす。襧豆子の口から「カレシが出来たよ」なんて言われたら心臓が止まる。蛮勇は勇気じゃない。
    ただ、ちょっとだけ襧豆子の態度がおかしかった。何度も善逸のことを呼ぶけど、結局最後まで引っかかった言い方をしてその日は別れた。次の日、9月2日に襧豆子が聞きたかったことが分かった。夏期講習で知り合った女の子と付き合っているのではないかという噂がまことしやかに流れていたのだ。
    (いや、確かに俺はもてないよ! でもさ、ひどくない!? 俺が女の子と付き合ったら騙されてるんじゃないかって思うのひどすぎる! 壺なんて売りつけられませんから! 羽毛布団も買いませんから!)
     憤慨して就寝。
     早朝、まだ蒸し暑さがしっかりと残る9月3日は善逸の誕生日。悲しいかな、冷めてるのかな。スマホにおたおめメッセージはなし。
    それから動きのないパン屋ちゃんのアカウントを見ると、
    「っ!」
     投稿があった。
     善逸は慌てて飛び起きて、背中をびたりと壁につけた。誰かに見られたくない。そう思った。冷や汗のようなものが背中に流れる。そのくせ、鼻先が痛くなるほどに興奮していた。下腹部は若さも相まって恥ずかしいことになっている。
    パン屋ちゃんは一枚の写真をアップしていた。いつものように顔は見えない。
    けれど、この写真は……。

    はじめて、明確にえろい写真だった。正確に言うなら、えろくはない。これでえろいなんて言ったら、少年雑誌の水着特集は発禁ものだ。
     そう、これは水着特集と一緒。
    写真は水着を着たパン屋ちゃんだった。
     薄ピンクのキュートなビキニ。バストはフリルとリボンつきで、谷間は控え目だけどそれが清楚に見えた。薄い胸を気にしてフリル付きを選んだのだろうが、逆にさらけ出された細いウエストを強調していた。ほっそりとした腰から女を強く意識させる丸いお尻は、くびれを掴んでおもいきり突き崩してやりたくなった。
    下はスカート付き。そこも彼女は細い指で摘んで中を見せていた。中はもちろん同系色の水着のパンツだ。サイドに可愛いリボンが垂れ下がる。でも、白状してしまうと水着のパンツと普通のパンツなんて男からすれば一緒ですからね!
    つまり、善逸から見ればパン屋ちゃんがパンツを見せてる。えっちな女の子ですね! パン屋ちゃんはパンツを見せてるんだ!
    「えっろ」
    ガンガンに反応してる息子にそろりと手をやりながら、パン屋ちゃんの脚を見る。
    パン屋ちゃんは素足をあまり露出しない。あってもちょこりと出してくれるだけ。それが今はどうだ。短いスカートが恥ずかしそうに三角地帯を隠しているだけでパン屋ちゃんのミルク色の素足は惜しげもなかった。ミルクなんて甘いに決まってる。舐めれば、パン屋ちゃんの膚は甘いはず。あの柔らかそうな太ももにどれだけの男がぶっかけたいと夜な夜な右手やら左手やらを盛んにしたか。
     パン屋ちゃんは大きなつば広帽子、いわゆる女優帽子を深めに被っていて顔は見えなかった。だけど、善逸の妄想通りに長い黒色の髪をしていた。妄想のまますぎる。黒髪がゆるりと背に落ちていた。
     一瞬、何か既視感がした。喉元に落ちそうなのに、おちていかない違和。
     まずは写真を保存。ふと気付くとそれを投稿したのは三分前だ。
    「……もしかして」
     ごくりと生唾を飲み込んで待っていると、パン屋ちゃんがツイートした。
    『先輩とプールでも海でもいいから行きたかった。水着、勇気が出なかったわたし』
     この水着は先輩のためだったのだ。たぶん、パン屋ちゃんは誘われることもなければ、先輩が誘うことなかったのだろう。パン屋ちゃんに勇気がなくて。ついでに、先輩は甲斐性なしだ。
    パン屋ちゃんのアカウントはいつの間にか鍵がかかっていた。独り言のつもりなのか、それともひとりしかいないフォロワーに宛てているのか。何か反応すべきだと思ったけど、反応するのは間違っていると感じた。ただ分かったのは、今保存したパン屋ちゃんは俺だけのものだ。
    『先輩になら、水着、脱いでも良かった。ずっとずっと大好き』
     それからもう一枚の写真があげられる。女優帽を少しだけずらして、首筋をさらけ出していた。清楚な控えめな谷間がのぞく。
    しかし。
    「っっ!」
     善逸は口元を押さえ、うめき声をもらした。
     まさか、まさかだ。あり得ない。嘘だ、嘘だ、うそだ!!
    『先輩がお付き合いしてる。夏期講習で出会った年上の人なんて勝ち目無い』
     そのツイートを見てから、善逸は呆然とスマホをベッドに投げ出した。
     竈門家とは幼稚園の時からのお付き合いだ。まだ男女の区別がつかないような時から、善逸には襧豆子だけがずっと女の子だった。竈門家は兄弟が多いから、少し大きめのビニールプールを庭に出して真夏はそこで水遊びをする。善逸も何度も誘われて遊んだことがある。幼少期の襧豆子の水着姿は知っていた。長い髪をふたつのお団子に結わいて、きゃあきゃあとはしゃぐ彼女。幼心にちょっとドキドキしながら水着の襧豆子をおんぶしたこともあるし、抱っこしたこともある。そのままプールに飛び込んだり、走り回ったりした思い出だ。
     とても楽しかった。だから、しっかりと覚えていた。
     襧豆子の肩には特徴的な痣がある。生まれつきなのだろう。何かに噛まれたかのようにも見えるし、尖った花が咲いたようにも見えた。
     最後の写真、さらけ出された首筋は細い肩までも写しだし、そしてパン屋の処女娘の肩先にはあの痣がうっすらと咲いていた。

     その日の深夜、パン屋の処女娘のアカウントは削除された。



    その日、午後から夕方まで雨模様だった。残暑を吹き飛ばすかのような季節外れのひんやりとした雨。
    禰豆子の好きな人の誕生日なのに、雨。いつも朝に会えるはずなのにこういう日に限って会えなかった。会えたら嬉しいのに、今は会えなくて寂しくてほっとしていた。
    禰豆子の好きな人はもう誰かの彼氏だったから。
    ずっと、好きだった。はじめて会った時は覚えてないけど、きっと会った時から好き。体の奥深く、心の奥深くから自分でも分からないほど深いところから好きだった。
     襧豆子の好きな人は、まわりからの評価は芳しくない。どんな風に言われているのか悲しいことに想像できた。襧豆子が反論しても、襧豆子の優しさだと受け止められてしまう。まわりはそうやって襧豆子を過大評価して、禰󠄀豆子の好きな人には不当な評価をする。
     まわりが思うような良い子じゃない。
    だから。
    いけないことだから、やってみたかった。
    SNSのアカウントを取って、そこに恋の悩みと写真をアップした。写真をアップするのは危ないことだと学校から口酸っぱくして言われていたけど、良い子ではない襧豆子は顔を隠してアップした。
    地味なアカウントとつまらない写真に陳腐な恋の悩み。フォロワーはゆるゆると少なめで、リプライは送られたこともない。それは半年間続けられた。
    今日、アップした写真は禰󠄀豆子の後悔だった。夏休みが始まる前に、勇気を出して告白をすればよかった。告白までいかなくてもプールに誘えば、少しは禰󠄀豆子を幼馴染の女の子じゃなくて、恋するひとりの女の子として見てもらえたはずだ。
    恋愛関係に疎いのは自覚してたけど、自分の心に疎いわけではない。ちゃんと禰󠄀豆子にも欲はあった。好きな人に特別な感情をむけてほしい。わたしだけを見てほしい。好きと言ったら、好きだよって返してほしい。手が触れ合えば、握ってほしい。キスもしたい。それから、誰よりも近くにきて、禰豆子の隠したすべてを優しい顔で曝いて欲しかった、奪って欲しかった。
    新学期始まって早々の体育は雨のために体育館だ。前の時間は三年の先輩が使用していたようで、見知った先輩が何人かいた。
    その最後に禰豆子の好きな人は居た。王子様みたいだと小さい頃から思っている金色の髪をしたひと。俯き加減に目線を伏せていると、先輩の柔らかな印象が少しだけ翳った。でも禰豆子に気付いて、パッと顔をあげると笑いかけてきてくれると、雨雲に隠れている夏日に照らされるように禰豆子の頬は熱くなった。
    「先輩、こんにちは。今朝は風紀委員のお仕事じゃなかったの?」
    「えへへ、今日は遅刻しちゃったんだ。」
    「そうなんだ。珍しいね」
     ちくんと針が胸を刺した。なんで先輩が遅刻したのかなと考えた一瞬後、もしかしたら彼女と夜遅くまで電話でもして寝坊したのかもしれないと、そう思ってしまったからだ。
     禰豆子だったら、そうしたい。目の前のひとの彼女になったら、絶対に遅くまでお話をして、柔らかな声を耳元でずっと聞いていたい。好きだよ、と優しく言われたい。
    「禰豆子ちゃん、あの噂知ってる? ほら、俺が夏期講習で知り合った女の子と、さ」
    「あ、うん。知ってるよ……。おめでとうございます。先輩、ずっと彼女欲しいって言ってたもの」
    「んー、まあ」
     たははと恥ずかしそうに善逸は頭を掻いて笑った。頬がほんのりと赤くなって、少しだけ眉が寄っている。
     禰豆子は死んでしまうのではないかと思った。
     本人の口から聞きたくなかった。そんな嬉しそうに笑わないで欲しい。恥ずかしげに眉を寄せないで。きっと好きだと言ったのだ。禰豆子がずっと好きだった優しい声で、善逸は他の女の子に好きだよと囁いて、知り合ったばかりの女の子が禰豆子がずっと秘めていた好きという言葉を吐いた。
     体育館の床がぐらぐらしているようだけども、禰豆子の精神力はきちんと自立していた。
    「今日、お誕生日だし、ダブルでおめでたいね。あ、わたし次の授業があるんだ」
    「え、次の授業って体育でここでしょう? それよりもさ、禰豆子ちゃんにお願いがあるんだけど。今日、俺の誕生日でしょ。それでね、そのぉ……まあ、何というか。うん……夜にねえ」
     視線をきょろきょろとさせながら善逸がぼそりと呟いた。
    「その前に女の子の禰豆子ちゃんに俺の部屋を見てもらいたいんだ。なにかダサいところがあったら言って欲しい。この通りです!こんなこと頼めるの禰豆子ちゃんしかいないんだよう~!頼みますから!」
    「……彼女さんが今日の夜、遊びに来るんだ。そっか。──うん! いいよ、わたしに任せて。もし良かったら女の子が好きそうなお菓子もコンビニで一緒に買おう。善逸さん、お寿司はちょっと駄目だからね?」
    「え! マジで! ちょ、お寿司キャンセルしないと! 今日、じいちゃんが慰安旅行でいないんだよね。だから寿司って思ったけど。禰豆子ちゃんに聞いて良かったあ」
    「ふふふ。お寿司用意していたんだ。善逸さんらしいね。じゃあ、学校終わったら一緒に帰りながらコンビニに寄ろうね。──彼女さんはお夕飯食べる感じなのかな?」
    「んー。ちと分からないかも」


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