無題 その日、最強がこの世からいなくなった。五条悟、享年33歳
「あの人は何があっても生きてると思ってたのよねぇ…」
野薔薇が斎場の煙突から昇る一筋の
煙を見送りながらポツリと呟いた。
「あんな人でも自分の大事な奴をなくしたのが相当堪えてたんだろう」
3年前、伏黒と野薔薇の同級生だった虎杖悠仁の秘匿死刑が実施された。ギリギリまで悠仁を生かそうと周囲は努力したもののそれはかなわなかった。処刑を行ったのは五条悟その人。心の底から愛した人をその手で殺した五条に誰も何も言えなかった。
悠仁がいなくなってから五条は笑わなくなり、淡々と次々と湧き出る呪霊を祓い続けた。まるで呪霊を祓うだけの機械になったようだった。そして3年、ある日、五条は大木が倒れるように誰にも看取られず静かに旅立っていった。
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